指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『Let's 豪徳寺』

2015年02月04日 | 映画
昔々からビデオ屋にあるなと思いつつ見ていなかった映画。
原作が漫画なので、出てくる人間はみな漫画的なのは仕方なく、脚本の斎藤博、監督の前田陽一も金儲け仕事と思ってやっているのだろうが、唯一本気でやっているのは三田寛子で、自然な明るさが作品を救っている。
話は、女子学生の三田が、同級生で大金持ちで大邸宅に住む鈴木保奈美の家にお手伝いとして働く。
そこで、不思議な3人姉妹紺野美沙子、岡安由美子、鈴木保奈美、母・岸田今日子、祖母の南美江に触れると言うものだが、どこにドラマがあるのとお聞きしたくなる。
女中が初井言栄で、この人もとっくの昔に亡くなった。

貧乏映画専門の松竹に、このような大邸宅を作る大道具はないので、セットは当時司法研修所として使用され、今は旧岩崎庭園として公開されている岩崎邸だろう。
1987年と、バブル時代なので、三田、鈴木、そして芳賀健二らの若者が、贅沢三昧をしているのが今見るとむしろ痛々しい。
松竹大船で、それなりの喜劇を作って来た前田陽一が、こんな砂利掬い映画で糊口をしのいでいたかと思うと悲しくなるが。
今や中村橋之助夫人となった三田寛子は、それなりに豪徳寺していると言うべきだろうか。
歌舞伎座に行くと、意外に高い背で驚くが、ロビーにいるのを見かけることがある。

                     

衛生劇場


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。