指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『あずみ』

2011年05月29日 | 映画
言うまでもなく、上戸彩の主演作だが、面白くもなんともない。
こういう作品を作る連中の気が知れない。

話は、戦国から江戸時代の初期、徳川勢に破れた豊臣側の浅野、加藤清正等の要人を、徳川政権の安泰を維持するための暗殺の命を受けた刺客集団の女・上戸彩の活躍を描く。
討ち取ったと思った加藤清正は実は影武者で、「再度やるぞ」と言うことで終わる。

こんな単純な筋に2時間以上を持たせる脚本の水島力也(山本又一郎)と北村龍平の能力は、それなりのものだろう。
ハリウッド的であり、数十分ごとに、話の方向を変えて見るものが退屈するのを防いでいる。
途中で、オダギリジョーや遠藤憲一らは、オカマ風になったり、おふざけにしたりして変化をつけている。
上戸彩のアクション・シーンだが、吹き替え、アニメ等を使い、体がヤワで下手だが何とかボロが出ないようにしている。
見所は、言うまでもなく彼女の短い上着から見える両足のエロチシズムだが、あまり感じられない。
女性がアクションをするのは、昔から女剣劇としてあり、大江美智子や不二洋子、さらに現在の浅香美津代など、大いに人気があったものである。テレビの初期では、盛んに劇場中継されていた。
映画でも、宇治美佐子、松山容子といった女優が演じていたが、大体際物扱いだった。
こうした女性のアクションのチラリズムは、実際の劇場で見るとドキッとするものだが、映像で見ても何も感じないものである。
それに上戸彩は、エロを感じるには、体が鉛筆のようで細すぎると言うべきだろう。

途中で、連中が出てくる集落のシーンがあり、これは岡山の、みろくの里で撮影したものだと思う。
ここでは、篠田正浩の『梟の城』など、多くの時代劇が作られたが、現在はかなり縮小しているようだ。
時代劇のオープンセットを持続的に保持していくのは、なかなか経済的に大変なのだろう。
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