指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『流転の王妃』

2019年03月13日 | 映画

昔、テレビで見て、結構いい映画だと思っていたが、あらためて見るとただのきれいごと映画だった。

菅原家の娘京マチ子は、満州国皇帝愛新覚羅溥儀の弟溥哲・船越英二の嫁にと嘱望され、始めは満人のところにやれるかと思っていた父母や祖母も、溥哲の素直で優しい人柄に安心し結婚を認める。

関東軍の御用係の軍人が石黒達也で、非常に良い。溥儀や周囲の者は、中国人俳優のようで、満州での会話は中国語になる。

新京での生活は意外に質素なもので、それは皇帝溥儀の性格からきているようで、溥哲は派手好きとされている。

1941年に太平洋戦争が始まり、1945年夏にはソ連軍が侵攻してきて、満州国政府は新京を去る。

通化事件等の悲劇があり、石黒も死んでしまい、京マチ子は船越とも別れ、国民党軍に追われる八路軍に同行して満州奥地に行くが、1947年にやっと佐世保港に上陸し、父母の東京の家に落ち着く。

娘の英世は、女子学習院に通うが、ある日自殺してしまう。

これは天城山心中として、大事件となり、新東宝で石井輝男監督で『天国で結ぶ恋』として製作されていて、こちらの方が扇情的だったようだが、この田中絹代監督版は、非常にきれいに描いている。

最後、葬式に列席している女学生の真ん中に江波杏子がいた。

角川シネマ有楽町

 



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