指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

首相官邸を初めて作った『皇帝のいない八月』

2023年12月25日 | 図書館

小林久三原作の映画『皇帝のいない八月』は、クーデターを計画した連中が、九州からノロノロと上京する間抜け映画だが、このとき初めて松竹大船では、内閣首相官邸のセットを作ったそうだ。

            

松竹は、基本的に庶民映画だったので、小津安二郎の鎌倉の屋敷や山田洋治の虎屋のセットの実績はあっても、首相官邸の実績はなく、仕方ないので現地に行って寸法を取り、図面を書いてセットを作ったとのことだ。

クーデターというものは、深夜等に起こしてサッとやるもので、政治的に無知な小林の原作では、九州から列車に乗ってノロノロと来るので成功するはずもなく、山本薩夫監督らは、最後を列車爆破にしてしまったそうだ。

松竹というのは、非常に面白い映画会社である。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「皇帝は・・」は大スクリーンで。 (広い世界は)
2023-12-25 10:40:25
山薩は庶民を描かない。「華麗なる・・」で大富豪。「金環食」で政商(金貸し)。「戦争と・・」で財閥。左だから権力中枢を描くのか。松竹は「皇帝の・・」に「カサンドラ・クロス」のような映画を期待したらしい。自衛隊は一切協力しないし、撮影は苦労したと思う。山薩しか撮れない事を知っていた松竹は凄い。音楽は佐藤勝で、疾走感溢れる。映画館の大スクリーンで映える。渡瀬(東映)と山本圭(監督の甥・俳優座スター)の対決だが、左の山本圭が右の渡瀬に負けている。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。