指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『名シーンでつるるなつかしの映画歌謡史』

2022年09月17日 | 映画

1974年の松竹映画、30分ほどのものだが、こういう映画は、2番館以下は、すでに3本立てだったので、需要があったのだ。そうした館では、ピンク映画を付けることも多かったのだから。

監修は、東大を出て、晩年の小津安二郎の助監督もやった田中康義氏で、なんどか小津安二郎ネットワークでお話したこともあるが、温厚で真面目な方だった。

田中さんには申し訳ないが、ここには間違いもある。

『愛染桂』の霧島昇の『旅の夜風』に始まり、『人生劇場』の美空ひばりの『人生劇場』で終わるので、歌謡映画は、トーキーで始まったように思えるが、実は違う。

サイレント時代から、映画主題歌はあり、SP盤で販売され、館で掛けられていたのだ。

私が持っていた、ある盤では、A面は主題歌で、B面はいい場面の台詞入りになっていて、今のビデオみたいになっていたのだ。

そのように、映画会社とレコード会社は共に協力していて、映画主題歌は、ヒットしていたのだ。

そして、戦前の『純情二重奏』の後の、戦後の歌の『リンゴの唄』で、戦後の明るい世相を反映してとナレーションが付くが、この『そよかぜ』は、実は戦時中に戦意高揚作品として企画され、一部撮ったが、負けたので平和の作品と変更されたものなのだ。普通、このことを多くの人は知らないので、書いておく。

『懐かしのブルース』の髙峰三枝子の貫禄の後は、美空ひばりの『東京キッド』

そして、『君の名は』と来て、次は『この世の花』のメロドラマ時代。

カラーになって木下恵介の『喜びも悲しみも幾年月』

『下町の太陽』と『アンコ椿は、恋の花』の本当の歌謡映画。

井上梅次監督でピンキーとキラーズの映画『恋の季節』があるとは、初めて知ったが、これは見ていない。

水前寺清子の『365歩のマーチ』も横浜のシネマジャック&ベティで見たはずだが、中身はまったく憶えていない程度の作品だった。

                                                           

最後は、加藤泰監督の、田宮二郎、渡哲也らの『人生劇場』で、これは『宮本武蔵』等と同じで、非常に良かったと思う。

今回見て再認識したのは、主題歌が入るようなサビの場面は、良いシーンだと言うことだった。

田中さんのご苦労のたまものだと思った。

衛星劇場

 

 


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