指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『福沢諭吉』

2022年12月12日 | 映画

慶応大学の創立者福沢諭吉の伝記映画だが、関係者は岡田祐介以外は、慶応の人間がいない。

                 

脚本の笠原和夫は日大で、桂千穂は早稲田、プロデューサーの一人の岡田裕も早稲田、監督の沢井信一郎は東京外語大である。慶応出の映画監督は意外にも少なくて、日活の藤井克彦くらいだと思う。テレビの演出家は多いと思うが。藤井は、かなり良い監督で、高校は都立小山台と私の先輩である。

恐らく、映画界で一番多いのは、日大で、次いで早稲田だと思う。その理由は、どちらにも映画科や演劇科があったからである。今は、どこの大学にもエンターテインメント系の学部があるが、人集めには面白そうな学科がないとまずいからで、大学はイメージ産業なのだ。

さて、私は、慶応の文学部を受けて落ちた。絶対に受かると思っていたので、ショックだった。同様に落ちた小山台の学生には、与謝野文子もいて、彼女はフランスに行った後に、阿部知二の息子・阿部良雄と結婚することになる。かなり、年齢の差はあったはずだが。

私が、慶応に落ちて早稲田に入ったのは良かったと思う。

学生劇団の劇研はレベルが非常に高かった上に、2浪して8年生という林裕通さんにあったことが最大の事件だった。

林さんは、何しろ1960年6月15日の「6・15」事件の時、国会に突入したという人だったのだから、大変に驚いたものだ。

早稲田の劇団のレベルがいかに高かったかは、かの「つかこうへい」先生が、慶応の学生劇団には飽き足らず、早稲田の劇研の周辺にいたことでも分かると思う。

この映画は、偉人の伝記映画としては、ましだと思うが、それは非慶応大の人間によって製作されたからだと思う。

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