狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

私の三冊

2006-09-04 22:10:50 | 本・読書

「図書」は、
 岩波文庫60年記念号、(1987年)、
 創刊50年(1988年)、
 岩波新書創刊50年期年号、
 岩波少年文庫創刊40年期年号(1990年)、
 特集:読書号(1996年)、
 岩波新書 創刊60年記念号(1997年)、
 岩波新書を読む―創刊2000点号(1997年)などなど、(その他多数あると思うが、すぐには捜せない。)増刊号や、特集号を度々発行してきた。
これは、偶然一つの段ボール函から出てきたものである。
改めてページを捲ると、大変興味深い。

○岩波文庫60年記念増刊号
私の3冊
「今までお読みになった岩波文庫のうち、今日なお心に残る書物は何でしょうか。
できるかぎり「岩波文庫解説目録」(在庫目録)掲載の書目のうちから3点をえらんでご回答ください。あわせてそれぞれに短評をお書きそえねがえれば幸いです。」

各界を代表するという各氏のアンケートへの回答が載っているが、ここでは政治家(1987年)だけに絞ってみよう。

●青木茂(参院議員)
(1)『きけわだつみのこえ―日本戦没学生の手記』(日本戦没学生記念会編)
学徒出陣で無理やり戦争にかりだされた私だが、私などよりはるかにすぐれた友人が戦死したのにおいめを感じつづけている。
一流が死んで二流・三流が残る、動乱の時期というのは残酷なものだ。
(2)『歎異抄』(金子大栄校注)
『蓮如文集』とともに、私は親鸞の生き方を書いたものをよくよんだ。私も自由が好きなものの一人として、へんな戒律をもたない宗教人の生きざまには共感を覚える。
(3)『若きヴェルテルの悩み』(ゲーテ/竹山道雄訳)
私はもう64歳、だが老人としての生き方にはどうもなじめない。生来、ロマンが好きらしい。若い頃熟読した本がこれだが、今でも机の真ん前においてある。

●赤城宗徳(衆院議員)
(1)『後世への最大遺物・デンマルク国の話』(内村鑑三)
著者が金持ちもその得た金を社会に還元すれば良しとし、芸術や事業を遣すことが出来ずとも生き方が立派であれば後世への最大の遺物であるとしているのが感銘をうけた。
(2)『草枕』(夏目漱石)
特に冒頭の〝智に働けば門が立つ。情に掉させば流される〟云々や那美さんが出征兵士を舟で送る情緒など人をして忘れ得ぬ銘編だと思っている。
(3)『資本論』(マルクス・エンゲルス編/向坂逸郎訳/全9冊)
高畠素之訳の『資本論』を読み、河上肇の『資本論略解』や本書により資本主義経済が良く分った。共産主義読本のようにいわれているが、私は資本主義の解説書であると了解している。