今年になって、トヨタの労働組合は、国民民主党や立憲民主党の支持をやめたと公言している。もちろん、共産党も支持しない。会社がお金を儲けて はじめて 組合が存続できるという考えからくる労使協調路線が行き着くところまで来たと言える。会社が儲かることが第1となると、組合自体はオーバヘッドでいらないのではないか。
労使協調路線は、もちろん、岸田文雄が言っている、「経済成長があっての分配」と同じ考え方である。利害の対立を隠して協調というのでは、戦時体制と変わらない。
つぎは6年前のブログで、この頃からトヨタが進む道を誤っているのではと私は危惧している。
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私の中のトヨタ神話がいま崩壊しつつある
トヨタは私が若い頃にはヒーロであった。日本の中央政府に背を向け、また、銀行からの借入金を避けた。
1960年代に通産省が、ドイツや米国のメーカに対抗するために、日本の自動車産業の合併を推し進めた。トヨタは通産省に従わなかった。プリンス自動車工業が日産自動車に吸収合併されたのはこのころである。
1979年出版の『ジャパン・アズ・ナンバーワン』でトヨタの生産方式が取り上げられ、それ以降、ネットワーク化した会社間の生産管理システムのモデルケースとされ、注目をあびた。
1980年代の日米経済摩擦を、米国に工場、開発ラボを作ることで切り抜けた。
トヨタは銀行からの借入金を避けていたことによって、1990年のバブル崩壊を無事に切り抜けた。そればかりか、1997年に世界初の量産ハイブリッド車プリウス(PRIUS)を製造・発売した。
国策会社と化した日産自動車は、1990年の日本の金融バブル崩壊とともに、事実上の破産状態になり、1999年にフランス国営企業に買収されてしまった。
2009年から2010年にかけてトヨタは大規模なリコールを米国で行った。リコールの名目は機械的な不具合であったが、電子制御プログラムに欠陥があるのではと疑われ、米国議会で公聴会が行われた。公聴会での豊田章男社長の真摯な態度が評価され、米国の世論の風向きがかわり、2014年に米国司法省との和解が成立した。
2011年の原発事故の際、トヨタは、太陽光によって水を水素ガスと酸素ガスとに分解することを研究していた。太陽光で発電しても蓄電装置がいる。水素ガスを発生させるなら、蓄電装置がいらない。水素ガスを燃料として自動車を走らせればよい。燃えても水ができるだけだから、温暖ガスの問題も解決する。素晴らしい研究だと思った。
私の中でトヨタへの疑念が生じたのは、安倍政権への企業献金のトップがトヨタである、と、昨年、朝日新聞に報道されてからである。
ネットでさがすと、2014年6月10日赤旗には、2008年度から12年度までの5年間、国内で法人税を払っていないのに、自民党の政治資金団体「国民政治協会」への献金が、2010年からの3年間、毎年5140万円行っている、とある。2013年度のこの額が、6440万円になっており、日本企業の中で最高である。
これだけではない。昨年の7月から、トヨタの取締役、布野幸利が日本銀行政策委員会の審議委員になっている。布野幸利は大幅金融緩和、マイナス金利に賛成している。専攻は法学で、経済ではない。
TPPの重要課題は実は自動車の関税問題である。TPP交渉を担う日本の中央政府に関与すれば、当然、影響力を行使したことを疑われる。
それだけでない。電子制御プログラム欠陥の2014年の米国司法省との和解も、日本の中央政府への政治力を行使したのではないか。
実は、自動車の電子制御プログラムに欠陥があるか否かの判定は、非常に難しいのである。
プログラムは、運転状況を示すデータを受け取って、自動車の制御指示をだす。私はIT企業の研究所にいたが、プログラムにバグがないことを示すことは不可能である。通常は、色々なデータを入力し、不適切な指示を出さないか、根気よくバグを見つける。入力データがすべての場合を尽くしているかの保証がむずかしい。
私は、トヨタが画期的なバグ出し方法を見つけたとは聞かないし、トヨタでのプログラム開発やテスト方式を公聴会や裁判所で証言したとは聞かないし、実際に搭載した電子制御プログラム・コードを公開したとも聞かない。
トヨタが安倍政権と密着することで、私の中のすべてのトヨタ神話が疑わしいものになっている。
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