きのう、1月8日のレバノンでの記者会見で、カルロス・ゴーンが日本の司法を非難したことを、日本のメディアは、不法脱出したゴーンにはそういう権利はないと逆に非難した。
私は、不法脱出したかどうかにかかわらず、ゴーンに日本の司法の不満をぶちまける権利があると思う。私は金持ちが嫌いだが、それと関係なく、日本の司法は非難されるべきだと思う。
日本の司法は、政府に歯向かうどころか、政府のいいなりになってきた。司法の独立は守られてこなかった。
また、検察は自分に都合の良い情報を裁判の前に流して、メディアを操作する。逮捕されたあとの長期拘留を裁判所が簡単に認める。また、逮捕した後の警察、検察の容疑者への扱いは、人の人格を無視したものである。ゴーンが自分の “dignity”を傷つけると怒るのは無理がないと思う。
そして、検察が裁判所に起訴しても、裁判がなかなか開かれず、被告の自由が束縛された状態がずっと続く。ゴーンの場合も、起訴されているにもかかわらず、いつ公判が開かれるか決まっていなかった。公判で日本の司法をゴーンが批判すれば良いというのは、お門違いである。
よく理解できないのは、被告の思いを代弁すべき弁護団が、すさまじく人権を無視した釈放条件を昨年のんだということである。ゴーンがレバノンで怒りをぶちまける前に、弁護団が司法を糾弾すべきだったのではないか。
本当に日本は糞みたい国である。現実を直視せず、日本バンザイに走ったりしてはいけない。日本がなめられたとか、いう問題ではない。
3年前に、ゴーンが逮捕される前だが、国連人権高等弁務官事務所が日本の司法における人権侵害の懸念の報告を日本政府に渡した。
そのとき、私がYahooに書いたブログをつぎに再録する。
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2017年5月29日
安倍晋三は法と秩序を唱える人である。実態は、先に秩序を力で貫き、後から法を合わせる人である。
日本では、法は秩序のためと思っていて、人権を守ることを忘れている人が多いから、安倍晋三は罰されない。秩序のためなら、法はいらず、暴力だけで良い。法は人権を守るためにある。
沖縄の米軍施設建設に反対する市民団体の代表の長期拘留について人権侵害の懸念を国連人権高等弁務官事務所は〔2017年〕2月28日に日本政府に文書で伝えた。そのときの文書を、NHKニュースによれば、5月26日になって国連人権高等弁務官事務所は明らかにした。
この件は、昨年10月17日に抗議活動中に、沖縄平和運動センター議長の山城博治が、有刺鉄線1本を切ったとして逮捕され、その際、沖縄防衛局の職員の肩を掴んで揺さぶったとして、11月11日に公務執行妨害の罪でも起訴された。しかし、公判日程が定まらず、今年の3月になっても、そのまま那覇拘置所に勾留されていた。
問題は、日本では、地裁と検察とグルになって、長期拘留できるという実態にある。人権を守るための法が実施されず、秩序維持の法が優先されるのである。そのために、国連人権高等弁務官に日本の人権団体が直訴し、特別報告者デービッド・ケイら4人の人権問題専門家が連名で2月28日に日本政府に人権侵害を止めるよう伝えたのである。
また、5月18日、国連人権理事会から任命された特別報告者のジョセフ・ケナタッチは、日本政府の共謀罪法案に人権侵害の危惧があるのに、衆議院で十分な審議を行っていない、との懸念を同じく日本政府に伝えた。
共謀罪法案は、犯罪行為が行われていないのに、犯罪行為を二人以上で計画した段階で、逮捕できるとするもので、人権より秩序を優先した考えである。人権を守るためには、対象の犯罪を絞り、また、計画が確実に犯罪に導くとの証明を求めるのでないといけない。また、共謀の捜査手法が人権を侵害しないよう、制限がなされないといけない。予見からくる盗聴、密告の奨励などがあってはならない。
特別報告者が懸念するのは当然である。
安倍政権は、これらの国連人権理事会の特別報告について、「特別報告者は国連を代表していない」「日本の法的手続きに基づいて行っている」と無視している。
「国連決議」になるためには、国連での多数派工作が必要である。そのため、緊急を要する人権問題では、国連人権理事会が任命した特別報告者に、人権侵害の調査と是正勧告の権限が与えられている。この無視は、戦前の大日本帝国が満州国樹立への国際連盟の非難を無視したのと似ている。
いま、日本政府による人権侵害はドンドン広がっているように見える。
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