私は『三丁目の夕日世代』だ、別の言い方をすれば『団塊の世代』である。私が子供のころ、つまり昭和30年代の大卒男子の初任給は約1.3万円だった。それが今では約24万円程度だというから、給与は約18倍に跳ね上がっている。さらに賞与や福利厚生なども充実しているので、実質年収ベースだと20倍以上と考えてもよいかもしれない。だがもしそれ以上に物価が上がっているとしたら、ちっとも生活レベルは改善されていないし、逆に物価がそれ以下に押さえられているとしたら生活レベルは良くなっていると考えられる。
だがモノによって驚くほど物価の上昇率が異なるため、正確な比較は非常に難しい。そんな訳だから大雑把ではあるが、日常的なモノに絞って昭和30年代頃と最近の物価を比較してみようと思う。
人参(昭和30年代)1kg約40円⇒(現代)1kg約400円 約10倍
コロッケ(昭和30年代)1個約5円⇒(現代)1個約50円 約10倍
アイスクリーム(昭和30年代)1個約10円⇒(現代)1個約100円 約10倍
牛乳(昭和30年代)200ml約15円⇒(現代)200ml約40円 約3倍
ラーメン(昭和30年代)1杯約40円⇒(現代)1杯約700円 約17倍
かけそば(昭和30年代)1杯約35円⇒(現代)1杯約650円 約18倍(除く:立ち食いそば)
二級酒(昭和30年代)1升約505円⇒(現代)1升約1600円 約3倍
ビール(昭和30年代)大瓶約125円⇒(現代)大瓶約350円 約3倍
JR最低運賃(昭和30年代)大人20円⇒(現代)大人約140円 約7倍
バス最低運賃(昭和30年代)大人15円⇒(現代)大人約180円 約12倍
郵便(昭和30年代)封書10円⇒(現代)封書84円 約8倍
銭湯(昭和30年代)大人16円⇒(現代)大人約460円 約29倍
理髪(昭和30年代)大人約150円⇒(現代)大人約4000円 約27倍
新聞(昭和30年代)月330円⇒(現代)月約4000円 約12倍
週刊誌(昭和30年代)1冊約30円⇒(現代)1冊約450円 約15倍
テレビ・冷蔵庫・洗濯機は(昭和30年代)1台約6万円⇒(現代)性能が段違いで同価格以下なので全く比較にならない
きりがないので価格比較はこれくらいでやめておくが、これを見て気が付いたのは、日常的な食料品が約10倍、庶民的な外食が約17倍、ところが酒類や牛乳はたったの3倍程度だということである。また電車や郵便は約7倍程度だが、それに比べるとバス代が大幅に上がっている。さらに銭湯や理髪などは、なんと30倍近くも値上がりしているのに、電化製品は、画期的に性能が良くなっているにも拘らず、逆に安くなっているものもあるではないか。これらは一体どういうことを意味しているのだろうか……。
つまり給料が約20倍に上昇したわけだから、人件費の割合の高いサービス(上記の比較だと理髪や外食など)は、その影響をもろに受けて上昇率が高くなったのであろう。半面機械化が進み大量生産が可能になった電化製品は、逆に安くなったと言うことになるのだ。また為替レートが1ドル360円から110円程度の円高になり、海外からの原材料や工業部品等の調達が廉価になったことも後押ししている。さらに輸入食料品なども同様に廉価調達できるため、食料品全般もそれほど大きく値上がりしていないのだ。
いずれにせよ、給料がいくら上がっても同じ割合で物価が上がれば、何のメリットもないことになる。従って物価上昇をかわしながら、ある程度余裕ある生活を営むには、人件費の割合が高いサービスはなるべく利用しないことだろう。とは言え最近は1000円カットサロン、回転すし、100円ショップ、リサイクルショップ、格安ホテルなどの低価格指向に染まったかと思うと、高級サービスや高級品指向を目指す流れも発生して、単純な価格比較が難しくなっている。
さらに新型コロナウィルスの蔓延と、ウクライナ戦争の煽りを受け、世界的なインフレが勃発し続けている。少なくともこの二つの世界危機が収集しない限り、暴走する物価急上昇は、誰にも止められないだろう。
作:蔵研人
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