極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

電動アシスト自転車の実力

2012年08月14日 | WE商品開発

 



【電動アシスト自転車の実力は】

朝のNHK放送の「まちかど情報室」で電動アシスト自転車のバッテリからアダプターで分岐して電気を
取り出せる
ということを取り上げていた。当たり前だといえば少し頭をひねれば実現可能だが、これがい
けなかった。それじゃ
電動アシスト自転車の実力はどんなものか興味を惹くことになる。ネットで下調べ
してわかってきたことは、競合す
る国内メーカはパナソニック(三洋)、ブリジストン、ヤマハ、NTN
など数社の寡占状態にあり、回生充電機構付き
(坂道を下る時などの余裕トルクを自動充電する)を必須
条件として、電動機の取付け方式、搭載電動機の種類
や起動・走行条件の自動制御の相違、搭載蓄電池(
静電容量・ニッケルリチウム二次電池とう)の相違もしくは容
量の相違などが主な差別化としてあるもの
のほぼ基本仕様での競合は成熟段階にさしかかっているように看える。


ところで、雨風といった天候に左右はされるけれど電動アシストのエコ貢献度は、上のパナソニックのプレゼンによ
ると 内燃機関自動車に比べ1/34の二酸化炭素負荷と実力は充分だ。走行距離はバッテリー容量に依存するの
で、充電限界回数が前提となるとして初期コストだけが問題として残る。

電動アシスト自転車の知識

ところで、技術的な課題を考えてみると1つは、アシスト用の電動モータの設計が2つの観点から議論さ
れている。それは、レアーアースレスモータの開発という点ともう1つは、モータの理想型を巡る問題だ。
そして、その2つ同時に解決しようとする試みがなされている(下図参照)。例えば、理想的なエネルギ
ー変換を行うためアキシャル形DCモーターの開発には、電磁石を2つの円板上に配置されたマグネットで
挟み込み、マグネットの磁束が通る通路を最短にする構造を実現している。さらに電磁石においても最適
な巻線構造を実現し、鉄心で発生する「鉄損」や銅線で発生する「銅損」を抑え、エネルギー変換の効率
を向上させている。加えて、この構造はマグネットと電磁石の向き合う面積が大きく取れるため、小型化・
軽量化を図っている。

  

下の図は上と同じく、日立製作所のレアアースを用いない産業用11kW高効率永久磁石同期モーターの開発
実績を伝える記事(2012.4.11)である。その他に、車軸周辺にモータ及び変速機を設けた電動補助自転
車(ハブモータ方式)は、前輪側に配置するにしろ後輪側に配置するしろ配線の引き回し、操作性、変速
機との両立が難しいという問題があり、人力駆動系と、モータによる補助動力をクランク軸に合力させる
駆動系とを単一に収容したセンタモータ方式が有利とされる反面が装置の複雑化は避けられない。



そこで、駆動輪のハブと遊星歯車との変速機構と逆入力用ワンウェイクラッチと変速制御機構とで構成す
ることで、太陽歯車有した変速機構の駆動力をスプロケットを通じ駆動輪に伝達。また、駆動力に対しラ
チェットクラッチの第一変速用ワンウェイクラッチを介して遊星キャリアと太陽歯車とを相対回転可能、
相対回転不能に切り替え、ローラクラッチの第二変速用ワンウェイクラッチを介し太陽歯車を車軸回りに
回転可能、回転不能に切り替えて変速を行い、直結状態と少なくとも一段階の高速状態に変速し、逆入力
に対し、ローラクラッチの逆入力用ワンウェイクラッチを介し逆入力を伝達可能にする変速制御機構が新
規考案されている。

特開2012-066723

また、下図は補助動力を有効に走行距離を飛躍させるために新規考案された制御回路であり、さらにその
下の
図は、走行に影響を及ぼすおそれのある外的要因によるユーザに過度の身体的負担を低減する制御回
路の新規考案だ。


特開2011-178254

特開2011-168241

このように駆け足で電動アシスト自転車の技術インパクトを看ると、非常に緻密な設計が日常的に百花繚
乱のよう
に展開していることが理解できる。もっとも、それがどうした、人間には自前の足があるじゃな
いかという反論も出て
きそうだし、それに対し素直に「それもそうだよな」と思えるところもある。環境
リスク本位制のなかの移動手段の1つの
オプションに過ぎないが、構成要素技術からみると明日につなげ
る技術の集合体のようにも看える。 



 

 

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