心身に深い傷を負ったことが原因で自分の中に複数の人格を現れる「解離性同一性障害」を発症したアメリカ人の女性が、みずからの経験を語る講演会が東京都内で開かれました。
講演会は虐待や暴力を受けた女性を支援する「NPO法人全国女性シェルターネット」が開き、アメリカ人の弁護士、オルガ・トゥルヒーヨさんが、幼いころから10代にかけて父や兄から性的な虐待を受け、解離性同一性障害を発症した経験を語りました。
解離性同一性障害は虐待や暴力が繰り返されるなど心身に深い傷を負ったことで発症すると言われ、当時の記憶が失われるケースもあります。
オルガさんも一時、虐待の記憶が失われていましたが、30代になり、医師のカウンセリングを受ける中で、心の中に幼い頃の何人もの自分が現れ、つらかった経験を大人の自分に向かって語りかけたといいます。
オルガさんは「暴力を受けた痛みや恐怖の記憶を、例えればさまざまな部屋に閉じ込めていたが、幼いころの自分が現れ1つずつ思い出すことで記憶がつながり、回復に向かっていった」と述べ、解離性同一性障害への理解を求めるとともに、カウンセリングなど適切な治療を受ける大切さを訴えていました。
参加した性暴力の被害者を支援する団体の女性は「暴力など強いストレスによって誰にでも解離性同一性障害が起こりえることがわかった。今後の支援に生かしたい」と話していました。
精神科医「周囲が理解し専門治療を」
解離性同一性障害について、精神科医の飛鳥井望さんは「患者は、幼児期からの虐待や不適切な養育などで強いストレスがあったり、トラウマを抱えたりしているケースが多いという報告がある。周りの人が病気だと理解して専門的な治療につなげることが大事で、時間をかけたカウンセリングが治療の中心になっていく」と話しています。
10月2日 NHK
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