4月から民間企業の障害者の法定雇用率が2%から2.2%に引き上がる。障害者雇用は「社会貢献」として語られることが多いが、本当にそれだけなのだろうか。
「人間は、障害があってもなくても、仕事を通して人の役に立ち、多くの方から感謝されることで幸福になれる存在です」
こう語るのは、大阪府在住の山中康弘さん。脳性麻痺の障害がありながら障害者の就職を支援する「バリアフリーオフィス」を経営している。
日常生活に支障をきたす重い障害がありながらも、経営や講演活動などを積極的に行う姿は、多くの人に勇気を与えている。
増える障害者雇用
今年4月からは、民間企業における障害者の法定雇用率が2%から2.2%に引き上がる。これまで算定基準に含まれていたのは身体・知的障害者のみだったが、これからは精神障害者の雇用も算定基準に含まれる。
こうした変化を受け、今後、障害者雇用を始める企業が増えることが見込まれるが、多くの企業において、障害者雇用は「コスト」と位置付けられているのが現状だ。
そんな中、障害者の持つ力を引き出し、働く喜びを提供しながら、業績を上げる企業もある。
大手電気機器メーカー「オムロン」は、障害者雇用が普及していなかった時代から、「保護より機会を」をモットーに、障害者の就労を支援する特例子会社を設立。同社の社員は、地域のスポーツ活動や小中学校での人権研修の講師を務めるなど、地域にも貢献している。
政府は30日、障害者の自立や社会参加を支援する様々な施策の土台となる2018~22年度の「第4次障害者基本計画」を閣議決定した。20年の東京パラリンピックを機に、施設やサービス、情報、制度などあらゆる面で「アクセシビリティー」(利用のしやすさ)を高めることなどが柱だ。
アクセシビリティーの向上策では、1日の利用客が平均3千人以上の駅や空港など旅客施設のバリアフリー化率(段差解消)を16年度の87%から20年度に約100%に、ノンステップバスの導入率を53%から約70%に高める目標を掲げた。
また地域ごとに自治体や医療機関、PTAなど関係機関が連携する「障害者差別解消支援地域協議会」の組織率を、市町村(政令指定都市など除く)で17年4月時点の38%から22年度に70%以上へ高めることを目指すとした。障害を理由とした差別などを禁じた障害者差別解消法(16年施行)の実効性の確保を狙う。
2018年3月30日 朝日新聞
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