社会福祉法人が6事業所と連携
「今年もおいしい梨ですよ」。青空の下、意気揚々と梨を収穫する若い男性ら--。障害者の就労支援などに取り組む社会福祉法人「福井県セルプ」(福井市)が、複数の施設と連携した支援プロジェクトを進めている。各施設が育てた農作物の販売会を合同で開くことで採算性を高め、障害者の収入アップを目指す。
プロジェクトは同法人の永田弘幸さん(40)が中心となって昨年10月に始めた。きっかけは、ある障害者が花に水をあげる瞬間だった。両手を合わせ祈る姿を見て「農業の『手』と福祉の『手』をつなぐ懸け橋になれないか」と願い、「ててファームプロジェクト」と名付けた。
支援があっても就労が難しい障害者を対象にした「就労継続支援B型事業所」を主な対象に声を掛けると、脳性まひで歩行困難な若者を含め県内6事業所の約70人が集まった。生産、販売するのはホウレンソウや梨といった約20種類の季節の野菜と果物。県特産トマト「越のルビー」も扱い、利益は全額をプロジェクト参加者に還元する。
農作物販売会、売り上げ増
県内各地で開いた販売会は、立ち上げからの1年で100回を数えた。どの事業所もプロジェクト実施前より売り上げが増加、中には前年度比10%近くも上がった事業所もあるという。
会場では参加者が働く様子を紹介したリーフレットも配る。「消費者は障害者が手間暇かけて作った農作物のおいしさを味わいながら支援できる」と話す永田さん。「今後は人手不足の一般農家で障害者の働く機会を増やす取り組みを進めたい」と意気込む。
毎日新聞 2017年11月11日
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