業者も満足「懸命さ伝わる」
金沢開業が近づく北陸新幹線の関連グッズ製作に、金沢市内の就労移行支援事業所に通う発達障害者らが協力している。訓練の一環として、工程の一部を請け負う。人気商品を手掛ける体験は利用者のやる気アップにつながり、発注元も丁寧な仕事ぶりに感謝するウィン・ウィン関係が生まれている。
県の開業PRマスコットキャラクター「ひゃくまんさん」をかたどった金属板に液体状の樹脂を垂らし、機械で紫外線を当てて固めていく。ちょうど良く盛り上がる量の樹脂を載せることがポイント。器用さと慎重さが求められる作業だ。
同市広岡の事業所「リエゾン」。すぐ近くの金沢駅構内でも販売されているピンバッジやキーホルダーを、利用者の訓練として施設内で作っている。
バッジ、メダル、記念品を製造する同市二ツ寺町の桂記章から委託され、昨年秋に始まった。それまでは商品の包装を手掛けていたが、リエゾン側の要望でより複雑な作業に挑戦することに。「非常にきれいに仕上がる。何より、一生懸命さがひしひしと伝わった」と桂記章の大畑大さん(36)。今では樹脂加工の八~九割をリエゾンが担っているという。
リエゾンの就労支援員、古賀由紀恵さんは「企業の目で、自己満足ではない訓練ができる。品質の基準を学ぶことで発達障害の人が苦手な『あいまいさ』にも触れてもらえる」と効果を話す。製造から販売までの流れを知るのも大きいという。利用者の男性は、駅で商品を見かけては「自分が作ったやつ、と思っている」と満足げ。
ひゃくまんさんグッズはすでに大人気。北陸新幹線をかたどった商品も発注しており、大畑さんは「みんなで金沢を盛り上げていけたら」と期待を込める。
「ひゃくまんさん」グッズの樹脂加工作業=金沢市広岡で
2015年1月30日 中日新聞