佐賀市で2007年、警察官に取り押さえられた直後に死亡した知的障害者の安永健太さん=当時(25)=の遺族が佐賀県に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は5日までに、遺族の上告を棄却する決定をした。1日付。遺族側の請求を退けた二審福岡高裁判決が確定する。
昨年12月の二審判決では、警察官の取り押さえ行為について、抵抗する安永さんの制圧が優先だったとして「保護行為として相当で、障害の特性を踏まえて対応する注意義務違反には当たらない」と判断。訴えを退けた14年2月の一審佐賀地裁判決を支持していた。
安永さんの父親の孝行さん(55)は「最悪の結果。どうして亡くなったのか真実を知るための裁判だったのに、何も分からないまま取り押さえを正当化するだけだ。司法は障害者の人権に目を向けなかった」と批判した。その上で「再び同じような事件が起きないように、支援してくれた人たちと一緒に、障害のある人が地域で暮らせる運動に力を入れたい」と話した。
判決によると、安永さんは07年9月、佐賀市の国道を自転車で走行中、停止を求めた警察官の手が肩に触れたことに驚いて抵抗したが、手錠を掛けられるなどして取り押さえられ、搬送先の病院で死亡が確認された。事件を巡っては、警察官1人が付審判請求で特別公務員暴行陵虐致傷罪に問われたが、12年9月に最高裁で無罪が確定している。
2016年07月06日 佐賀新聞
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