ゴエモンのつぶやき

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「医療差別」に高齢者は怒っている

2008年01月18日 23時37分06秒 | 制度の話し
「医療差別」に高齢者は怒っている


 「年を取ったら死ねというのか」、「年寄りに前期も後期もあるものか」、「『姥(うば)捨て山』化とはひどい」…。今年4月から始まる予定の「後期高齢者医療制度」に対し、高齢者の怒りが高まっている。75歳以上の国民を別建ての医療保険にする先進諸国では例がない新制度が間もなく施行される。「75歳の誕生日を迎えたら、『昨日の医療』が受けられなくなる」という医療差別への対象者の憤り・失望・疑問等は尽きない。青森県保険医協会が実施したアンケートに寄せられた高齢者の声や思いをまとめた。(山田 利和)


年を取ったら死ねというのか
 アンケートは「後期高齢者医療制度」に伴い、同協会が県内の高齢者を対象に実施。昨年11月末から今年1月10日までに回収できた590人分について集計したところ、211人が新制度をはじめとする高齢者医療に関して意見を寄せた。

 まず目立ったのは、高齢者とされる年齢に達していること自体への意見だ。80~84歳代の女性は「『年を取ったら長生きしないで死ね』と言わんばかりの政府のやり方に本当に腹が立つ」と反発。70歳代後半の女性は「生命の大切さがどこかで消される。終の棲家(すみか)も見つけられない。生きるも死ぬも地獄」と嘆いた。69歳以下の男性からは「老人をいじめ殺すような国に未来はあるのか?」という疑問が寄せられたほか、75~79歳以下の男性は、近年の政策を指して「小泉・安倍政権以来、急速に日本が破壊への道を走っている。介護が必要になった場合、財産はあっても早く死にたい」とまで訴えている。

年寄りに前期も後期もあるものか
 続いて、新制度をめぐる意見では、反対という声が相次いだ。
 70歳代前半の女性は「75歳の誕生日を迎えたら、『昨日の医療』が受けられなくなるような医療差別。年金より保険料を天引きする等、とんでもない。高齢になれば、ある程度、体力が衰え、病気になるのは当たり前」と、新制度に対する素朴な疑問を投げ掛けた。69歳以下の男性も「年寄りに前期も後期もあるものか」と批判。70歳代前半の男性は「何年か前に川柳で『老人は早く死ねよ、国のため』とあった。いま政府のやり方はそうなれ、と言わないばかりだ。役人・政治家は現実をきちんと分かろうとしていない」と、国の姿勢を批判している。

 また、「先日、夫が自ら命を絶ってしまった。高齢者に冷淡すぎる政治に希望を持てずに死を選んでしまったように思える。『姥捨て山』に行けと言わんばかりの後期高齢者医療制度は即刻やめるべきです」(70~74歳以下・女性)という深刻な事態も起きていることが分かった。新制度について、69歳以下の女性は「なぜ高齢者だけ別扱いの制度を設けなければならないのか。わざわざ別制度にするということは治療制限するのが最大の狙いだと思う」と追及。
 同じ世代の男性も「介護保険制度は崩壊寸前、療養病床は多額の国費を投入し、病院に負担をよせ、整備させたにもかかわらず廃止(や削減を計画)、リハビリ日数制限は1年もたたずに見直し、障害者自立支援法は障害者を社会から追い出す悪法。今度は高齢者を国民皆保険制度から締め出し、医療から介護保険へ、最期は看取りへとの流れを強行し、スタートさせようとしている」と、医療・福祉をめぐる一連の施策を批判した。

何のための政治なのか
 さらに、「医療制度の充実を」求める声も多数に上った。
 69歳以下の男性は「国の責任で誰もが安心して受けられる医療制度を確立させてほしい。医療費総枠を増やし、国民一人ひとりの負担を引き下げてほしい」と要望。医療体制に関しては、70~74歳以下の男性が「医師が安心して患者の立場で治療ができるよう診療報酬の引き上げを国に要求する。同時に医療体制に合わせて看護師の大幅増員も要求する」と訴えている。

 政治や行政の在り方をめぐっては、別の70~74歳以下の男性が「高齢化が進んでいる最中、病床を減らす政治は許されるものではない。国民の不安をなくし、国民生活を守ることが政治の基本ではないか。何のための政治・政府なのか。しっかりとした政治を望む」という声もあった。69歳以下の女性はマスコミの役割についても言及。「『国の財政が赤字』というと、すぐに『社会保障が多いから削減…』となるが、社会保障って悪いことなのか。削るべきは軍事費や大企業の優遇措置等たくさんあるはず。マスコミも『社会保障費削減』や『消費税増税』と言うが、『軍事費削減』とは言わない。マスコミの役割って何なの?」と感じている。

<後期高齢者医療制度>
 75歳以上が加入を義務付けられるほか、生活保護世帯を除き、子どもの扶養家族となっている人や寝たきり等で障害認定を受けた65歳~74歳も対象になる。これに伴い、被扶養者として保険料を払っていなかった人も、制度の対象者となった時点で、75歳以上なら後期高齢者医療、74歳以下なら国民健康保険等に加入し、保険料を支払う。
 各都道府県の後期高齢者医療広域連合が運営し、保険料は地域によって異なる。高齢者が使った医療費等が保険料の金額に反映される仕組みで、介護保険と同様、医療を使えば使うほど保険料は高くなる。保険料は介護保険料とともに、毎月の年金が一定額以上あれば天引きされ、医療内容も病名によって一月の医療費が決められる「包括制」となる。窓口負担は原則として掛かった医療費の1割だが、現役並みの所得があれば3割負担となる。
 一方、保険料を滞納すると、国保と同様に保険証が取り上げられ「資格証明書」が発行されるなどの制裁がある。