「夜を行く飛行機」角田 光代著、読んでみました。

図書館に予約していた「夜をゆく飛行機」の順番が回って来たので、早速借りて読んでみました。
“生まれなかった子どもはぴょん吉という。私が名づけた。”と言う、ちょっと意味深な出だし始まり、「Y女子学園云々」の件までは面白そうな予感がし、この作品は久々の「当りかっ!」と思ったんですがそうでもなく、少しガッカリでした。
末っ子の「里々子」を中心に、ごく普通のありがちな(個人商店の)家族の中で生じる事件・出来事を描いている。「谷島酒店の改装」「有子の失踪」「寿子の作家デビュー」「里々子の初体験」等エピソードには事欠かないし、そのエピソードの描写のリアリティさは認めるが、ワクワクさせる訳でもなく、冷静に突き放す訳でもなく、どれも今一つ盛り上がりに欠ける。
「一人で家にいると事件が起こる」とか「祖母とミハルちゃん」とかのスピリチュアル部分も物語りのスパイスになっているが・・・・・・
最終的に「里々子」は、色々な出来事を経験することによって「少し大人」に成長し、不安定な少女の思春期の象徴?であった「ぴょん吉」と決別し、また普通の生活に戻ってゆく所で終了しますが、今回もあまり読後感は良くありませんでした。
「角田 光代」著作は少し間が空いたけど5冊目で、最初に読んだ「空中庭園」が良かっただけに「今度こそは、今度こそは」と期待をしつつ読むんですが、どうしても個人的評価で「空中庭園」を抜くことが出来ません。
数冊読んでみて少しづつ「角田 光代テイスト」らしきものが解って来た積りになっていますが、もしそれが当っているのならやっぱり自分には「合わないな」と言う気がしました。