あらっ、おっちゃけた!
バスの中でうとうとしかけていた私は、その声ではっと目が覚めた。
前の座席の女性が、座席の下に何かを落としたらしい
周囲の何人かがクスクスと笑った。
くだんの彼女は、屈みこんで拾い上げたあと、何事もなかったように前を向いている。
周囲の忍び笑いは聞こえただろうから、しまった、と自分のひとり言を悔いているかもしれない。
それにしても、方言とはなんと和やかな笑いを誘うものだろう。「あら、落ちた」 なら、誰も笑いはしなかったかもしれない。
私は関東の出身である。縁があって九州に住みついた。
長男の小学校入学式の日、教室で担任の挨拶があった。
親になってはじめてのことで、子供よりもこちらが、緊張もしていたし、張り切ってもいた。
どんな教育方針が述べられたのか肝心のことは記憶にない。
ただ、「オシッコをしかぶったら」と言われたそのシカブル、という方言は覚えている。
当時はこちらが、まだ若くて気負っていた。
先生ともあろう人が、こんな日に、方言丸出しでと、がっかりした。
年寄りになった今は、方言を親しく微笑ましいものに思う。
「なんで方言が悪かとね、よかろうが」
すっかり九州弁がうまくなったと自分では思っているが、さて、他人にはどう聞こえているのだろうか。
さぞ、いい加減な出自不明の九州弁を喋っているのだろうが、 ま、よかじゃなかですか。
バスの中でうとうとしかけていた私は、その声ではっと目が覚めた。
前の座席の女性が、座席の下に何かを落としたらしい
周囲の何人かがクスクスと笑った。
くだんの彼女は、屈みこんで拾い上げたあと、何事もなかったように前を向いている。
周囲の忍び笑いは聞こえただろうから、しまった、と自分のひとり言を悔いているかもしれない。
それにしても、方言とはなんと和やかな笑いを誘うものだろう。「あら、落ちた」 なら、誰も笑いはしなかったかもしれない。
私は関東の出身である。縁があって九州に住みついた。
長男の小学校入学式の日、教室で担任の挨拶があった。
親になってはじめてのことで、子供よりもこちらが、緊張もしていたし、張り切ってもいた。
どんな教育方針が述べられたのか肝心のことは記憶にない。
ただ、「オシッコをしかぶったら」と言われたそのシカブル、という方言は覚えている。
当時はこちらが、まだ若くて気負っていた。
先生ともあろう人が、こんな日に、方言丸出しでと、がっかりした。
年寄りになった今は、方言を親しく微笑ましいものに思う。
「なんで方言が悪かとね、よかろうが」
すっかり九州弁がうまくなったと自分では思っているが、さて、他人にはどう聞こえているのだろうか。
さぞ、いい加減な出自不明の九州弁を喋っているのだろうが、 ま、よかじゃなかですか。
博多の人は「しろしかぁ~」と言います。
標準語なら「うっとうしい」でしょうが、
それだけではない何かが「しろしかぁ~」
にはこめられ入る気がします。
方言大好き人間としては、言外の暖かさが好きです。