風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

水害疎開

2018-07-08 10:19:10 | 昭和つれづれ

  大雨による土砂崩れ、堤防決壊などの被害は

九州、広島、岡山、岐阜、四国と、全国規模となってしまった。

死者、行方不明者数十名を出すに至っている。

一日も早い救出を願い、亡くなった方々のご冥福をお祈りします。

        

 「水害疎開」

70年以上むかし、

東京の水害から所沢の叔母のところへ、母ときょうだい三人で避難したときのことである。

伯母の家にも同年齢の子供たちが三人にいて、大人は大変だったろうが、

子ども達はよく外で遊んだ。

 あるとき、きょうだい同士で組んで、陣地取りかなにかで走りまわり、

相手のきょうだいを負かせた。

悔しがったコウちゃんという従兄が、わたしに、パンツ返せ、パンツ返せと喚いた。

着のみ着のままでの居候は、洗い替えもなくこの子たちの肌着を借りていたのである。

肌着さえまだ配給の時代であった。

男の子のパンツを穿いているだけで屈辱的なのに、

返せと言われてもパンツだから脱ぐに脱げない。あんなに悔しかったことはない。

ほかのことは忘れているのに、70余年たっても忘れられないわたしの水害の記憶である。

 

 この水害をもたらしたキャサリン台風による死者は1077名、行方不明853名、

罹災者40万人という記録がある。

 自分が今日まで無事に生きているのは、偶然の僥倖であるのかもしれない。

 


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