遙ちゃんのダンナの親戚が、わたしたちに食べさせようと
20本もあろうかという松茸を届けてくれた。
ホテルで焼くわけにはいかないので、
ちかくの料理屋へ持ち込み炭火を用意してもらった。
日本では松茸が高価であることを知っての好意であろう。
香りも歯触りも久しぶりに堪能したが、
いくら美味しくても、そうそう食べられるものではない。
最後はのん兵衛の弟が焼酎のグラスに浸してしゃぶっていた。
私たち姉妹はアルコールはまったく呑めない。
両親も付き合い程度で、決して強くはなかった。
遙ちゃんが、うちの父だけどうして強いんでしょうね、と言った。
そう言われて思い出した。 母方の叔父に大酒飲みがいた。
転勤で広島にいるとき酒場の階段から転げ落ちて亡くなった。
階段を下りようとして脳の血管でも切れて落下したのか、
あるいは階段を踏み外して打ちどころが悪かったのか、
本人は亡くなってしまったので真実は分からない。
今なら検視解剖がされるかもしれないが、
意識不明で一日大いびきをかいたあと亡くなった。
あとにはまだよちよち歩きの男児と奥さんが遺された。