風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

恥ずかしながら

2012-06-19 22:40:23 | ショッピング
         断捨離という言葉はあまり好きではないが、
        物にとらわれずに生きるのはカッコいいと思う。

      洗濯機もあることだし、ほんらい衣類などは数枚あれば事足りる。
     箪笥の引き出しを開けると、清潔に畳まれたシャツが二、三枚、というのが、
          風子ばあさんの理想の暮らしである。

       しかし、理想と現実はかけ離れているのが常である。

           風子ばあさんは、洋服が好きである。
          見たら欲しくなる。見ないでも欲しくなる。

    昨日も街に出たら、マリンブルーに白襟のかっこいいシャツが店頭にあった。

             すうっと身体が寄っていってしまう。 
         しかし、鏡の前であててみると、いささか若向きに過ぎる。
 
          店員は買わせようと思うから、そんなことはないという。
           
         「いや、これはちょっと無理だわねえ」というと、
         「では、こちらなんか……」
       と持ってきたのは、一転、歴然としたババア色、ババア型である。

          「なに、これ。おばあさん向きじゃない」
           言ってから、しまったと顔が赤くなった。
 
     74歳の風子がおばあさんでなくて、どこにおばあさんがいるというのだ。
      
          「今日はやめとこう」
      
      おかげで、昨日はひとまず箪笥のこやしをふやさずにすんだ。
          いくつになっても愚かなことである。

コメント (3)
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