風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

主婦の座

2012-06-17 01:37:16 | 家族
          風子ばあさんには、二人の弟がいる。
         どちらも脱サラのあと、自営業に転じた。

        どちらのお嫁さんも、サラリーマンと結婚したのであって、
        夫が事業を起こすなどは、夢思わぬ成り行きであったろう。

     零細企業のならいで、どちらもヨメサンがすぐに戦力としてあてにされた。

     下の弟嫁は、さっそくパソコンを駆使して、経理税務等、弟を助けた。
          一方、上の弟のところは、
 「あれは駄目だよ、得意先や銀行へ行かせると、帰りに必ず大根ぶら下げて帰ってくるんだよ」
         ということで、以来、花子さんは、子育てと家事に専念した。

     どちらも、この不景気な時代をなんとか生き抜いて、そこそこの企業に育った。
       下の弟のお嫁さんは、今や会社にとってなくてはならぬ存在となり、
          月月火水木金金の超多忙な日々をおくっている。
         これはこれで張り合いはあろうが、中々大変である。
 
      ところが、上の弟嫁の花子さんの方は、あれ以来、主婦の座にいて、
     今日は温泉センター、明日はショッピングの毎日で、優雅なものである。

    今にして思うに、大根ぶらさげて、「あれは駄目だよ」と弟に思わせたのは、
        もしかしたら花子さんの作戦勝ちだったかもしれない。

          人は、とかく頑張って見せたいものだが、
        ときには頑張らないほうがいいこともあるのかもしれない。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする