風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

遠距離介護

2011-10-08 12:33:34 | 家族
    知人男性のお母さんは、目下、癌で闘病中である。
   病状は進んでいるらしい。

    サラリーマンの彼は、往復五時間かけて
   実家近くの入院先に、日曜ごとに、母親を見舞うという。

    このごろ、個室に移ったんですよ……、と彼は心配している。
   電話だけは毎日かけるそうだが、近くにいるようには行き届かない。

    昨日も電話したら、食欲がなくてご飯が食べられないから、
   今度来るときは、味塩を持って来てくれというんですよ。

    彼は、それを寂しそうに笑って言った。

    彼は一人息子である。

    遠距離介護の息子に味塩を頼む母も哀しい、
   頼まれる息子も哀しい。

    何もしてあげられない風子は切ない。