風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

欠席

2011-03-10 21:57:28 | 友情
 ちょっとした恒例のパーティに参加した。

 高齢者の多い会合だが、いつも必ず出席しているひとりの姿が見えない。
たまたま隣に座ったこれも顔なじみのじいさんに
「あの方、今日は、お見えでないですね」と訊いてみた。
欠席している彼と、隣席のじいさんは、同じグループで活動をしていて親交があるはずである。
当然消息が分かると思ったのだが、

「誰のことかなあ」という。
 名前が出てこない。

「ほら、彼ですよ、あなたとよく一緒にいるじゃないですか」
 首を傾げている。

 身体的な特徴をいうのは失礼なので、控えていたが、思いだしてもらうためには仕方がない。
「あの、身体の悪い方ですよ」
「僕のまわりは、みんな身体が悪いからなあ」
「足の不自由な方ですよ」
「みんな足が不自由だからなあ」
 じいさんは、皮肉でも冗談でもなく、首を傾げていた。

 どっちを向いても、あれ、あれ、あれ、ほらほらほら……のパーティだったが、それでも結構楽しかったから不思議だ。
コメント
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