弊ブログではこれまで何回か、資産形成の達人たちが「ローンを組んで住宅を手に入れることの愚」を啓蒙していることについて紹介した。
住宅ローンを組んで家を手に入れるということは、収入額に比べて大きな負債を抱える一方、利益を生む保証のないリスク資産を持つことである。このバランスシートのいびつさを考えれば賢い資産形成が難しいことは容易にわかる。その考え方に大筋で異論はない。
それなのに家を建ててしまっている身として、以前ひらきなおりのエントリを立てたりもした。
今回はそのほかにいくらかのなぐさめになるかもしれない視点をお披露目してみる。
まず、暮らし、家計、バランスシートを違う視点で眺めてみたい。
「無形資産(Intangible Assets)」という概念に注目してみる。
無形資産とは、バランスシートにあらわれない価値のこと。企業で言えば、ブランド価値、顧客価値、従業員の価値、知財の価値、などである。
それらは金額で表すのは困難だけれども確かに価値として存在するものだ。
これを「家」で考えてみたい。
「家は有形だから、無形資産ではないだろう」と思われるかもしれない。
家は有形の固定資産である。事実、固定資産税を納めている(笑)。ここでいいたいのは、家には無形資産も付随しているのではないか、ということだ。形のある企業の「ロゴ」にブランド価値という無形資産が付随しているのと似たような考え方である。
以前「プライスレスな家のスペック」というエントリで、照明を引き合いに出して、照明器具にはプライスがつけられるが、巧拙ある「照明器具の配置のし方」に巧拙によるプライスはつけにくい、というようなことを書いた。
バランスシートで考えると、固定資産として価値を算定するとき、照明器具の価格は表せるが、優れた照明配置の価値をバランスシートに表すのはまず無理だということになる。
そのエントリでは他に「外観」「内観」「眺望」「家事動線」「収納のしやすさ」などもプライスレスな価値を持つものとしてあげてみた。
これらは価値をバランスシートに表せない点で無形資産的にその価値を考えてもいいのではないだろうか。
個人住宅における無形資産的な価値は市場価値を算定できないため、やっぱり資産形成上、意味がないではないかということになるのだけれど、暮らしを豊かにするという目的での資産のようなものはバランスシートの外側にもあるんじゃないの、っていう話。
値段はつけられないとしても資産が付随して持っている価値を意識できれば、お金で表せる資産の増やし方が少々下手でも豊かな生活がおくれるということだ。
資産形成によってお金を増やす豊かさと質は違うが、資産に付随する(値段が付けられない)価値を上げることでも豊かになれる。
竣工時点の家が家としての頂点だと考えていると貯金を取り崩していくのと同じ感覚になる。だから、年を経ながら、素材の変化、味、趣、佇まい、風格、使い勝手等々、価値を積み重ねていると思えるようにすることがポイントだ(関連エントリ*)。
「買ったらあとは消費するだけ」と考えるのではなく、「苗木を買って成木に育てる」というような気持ちで家を使えば資産が増えている気になれる。さらに、まっとうなモノを長年大事に使うことで骨董的価値が生まれる希望だってある。
青臭いと思われるかもしれないが、豊かさを実現するのは「お金」だけではないということである。資産形成の指南者にしてみれば、あまりにバランスシートを無視した家計が多いゆえに啓蒙しているのだろう。確かに市井の家庭のやりくりをみればその活動には大いに意味があると思うし、個人としてもその視点は重要だと思う。
しかし、逆にそればかりに目を奪われるとバランスシートに表せない豊かさの存在に気がつかなくなる恐れがある。それで「無形資産」を持ち出してみた。
「我が家のバランスシートは優れた状態とはいえないが、バランスシートの外にお宝がある」と思うと気が楽になる。
話の強引さは先刻承知。当然バランスシートはできるだけいびつでないほうが好ましい。だから「なぐさめになるかも」というレベルであることを冒頭で示した。
長々と書いたが、こんな↓言い方に集約できるかも。
「自分用の付加価値を創造(想像)できる『おめでたい』人間になることも豊かさにつながる」(笑)
住宅ローンを組んで家を手に入れるということは、収入額に比べて大きな負債を抱える一方、利益を生む保証のないリスク資産を持つことである。このバランスシートのいびつさを考えれば賢い資産形成が難しいことは容易にわかる。その考え方に大筋で異論はない。
それなのに家を建ててしまっている身として、以前ひらきなおりのエントリを立てたりもした。
今回はそのほかにいくらかのなぐさめになるかもしれない視点をお披露目してみる。
まず、暮らし、家計、バランスシートを違う視点で眺めてみたい。
「無形資産(Intangible Assets)」という概念に注目してみる。
無形資産とは、バランスシートにあらわれない価値のこと。企業で言えば、ブランド価値、顧客価値、従業員の価値、知財の価値、などである。
それらは金額で表すのは困難だけれども確かに価値として存在するものだ。
これを「家」で考えてみたい。
「家は有形だから、無形資産ではないだろう」と思われるかもしれない。
家は有形の固定資産である。事実、固定資産税を納めている(笑)。ここでいいたいのは、家には無形資産も付随しているのではないか、ということだ。形のある企業の「ロゴ」にブランド価値という無形資産が付随しているのと似たような考え方である。
以前「プライスレスな家のスペック」というエントリで、照明を引き合いに出して、照明器具にはプライスがつけられるが、巧拙ある「照明器具の配置のし方」に巧拙によるプライスはつけにくい、というようなことを書いた。
バランスシートで考えると、固定資産として価値を算定するとき、照明器具の価格は表せるが、優れた照明配置の価値をバランスシートに表すのはまず無理だということになる。
そのエントリでは他に「外観」「内観」「眺望」「家事動線」「収納のしやすさ」などもプライスレスな価値を持つものとしてあげてみた。
これらは価値をバランスシートに表せない点で無形資産的にその価値を考えてもいいのではないだろうか。
個人住宅における無形資産的な価値は市場価値を算定できないため、やっぱり資産形成上、意味がないではないかということになるのだけれど、暮らしを豊かにするという目的での資産のようなものはバランスシートの外側にもあるんじゃないの、っていう話。
値段はつけられないとしても資産が付随して持っている価値を意識できれば、お金で表せる資産の増やし方が少々下手でも豊かな生活がおくれるということだ。
資産形成によってお金を増やす豊かさと質は違うが、資産に付随する(値段が付けられない)価値を上げることでも豊かになれる。
竣工時点の家が家としての頂点だと考えていると貯金を取り崩していくのと同じ感覚になる。だから、年を経ながら、素材の変化、味、趣、佇まい、風格、使い勝手等々、価値を積み重ねていると思えるようにすることがポイントだ(関連エントリ*)。
「買ったらあとは消費するだけ」と考えるのではなく、「苗木を買って成木に育てる」というような気持ちで家を使えば資産が増えている気になれる。さらに、まっとうなモノを長年大事に使うことで骨董的価値が生まれる希望だってある。
青臭いと思われるかもしれないが、豊かさを実現するのは「お金」だけではないということである。資産形成の指南者にしてみれば、あまりにバランスシートを無視した家計が多いゆえに啓蒙しているのだろう。確かに市井の家庭のやりくりをみればその活動には大いに意味があると思うし、個人としてもその視点は重要だと思う。
しかし、逆にそればかりに目を奪われるとバランスシートに表せない豊かさの存在に気がつかなくなる恐れがある。それで「無形資産」を持ち出してみた。
「我が家のバランスシートは優れた状態とはいえないが、バランスシートの外にお宝がある」と思うと気が楽になる。
話の強引さは先刻承知。当然バランスシートはできるだけいびつでないほうが好ましい。だから「なぐさめになるかも」というレベルであることを冒頭で示した。
長々と書いたが、こんな↓言い方に集約できるかも。
「自分用の付加価値を創造(想像)できる『おめでたい』人間になることも豊かさにつながる」(笑)
実は私は企業でも歴史のある企業がけっこう好きなんです。
そういう企業には本当に無形の資産が感じられ、そういう無形資産こそが、バランスシートなどで表されるものよりはるかに社会的存在感として財産になっていると思います。そこに魅力を感じて人が集まってくる。歴史とは信用力を示すものでもあります。
それもまた無形資産なのでしょう。
今回、またこの「家が含む無形固定資産」も実にユニークな分析。
確かに、企業についても「ブランド力(商品・開発・)・社員の人間力など・・。固定資産に計上されないものがありますからね。
なるほど、納得・・・。面白い分析。