ケンミジンコのうた

平和な日々の暮らしを綴った日記です

友達の歌

2021-10-11 07:06:26 | 雑感
癌で闘病中だった友達は、元気があるうちに、やりたいことは全てやっておこうと決めたそうだ。
そこで、ずっと気になっていた、ボーカロイドを使った作曲を始めることにした。
先生を探して、機材をそろえて、やる気満々だった。

色々試行錯誤して、ようやく完成した最初の曲を、私にも聴かせてくれた。
以前、一緒に働いていた職場の同僚に感謝しているので、その人に贈る曲とのことだった。

メロディーは耳に優しい、かわいらしいものだったが、私はその歌詞にびっくりした。
同僚の働きぶりをあれこれ褒めちぎった後、とどめにサビの部分で

 君の姿がまぶしかったよ
 君の笑顔に励まされていたよ
  
というストレートな表現が臆面もなく流れてきて、もうこれは間違いなく愛の告白ではないかと、聴いている方が赤面してしまった。

え、この曲、渡すの・・・
ものすごく重いし、受け取った方も迷惑では・・・

・・・と私は思ったが、友達がニコニコしていて、曲を渡すことに1ミリの迷いもない様子だったので、何も言えないでいた。

そんな友達も、コロナで会えないうちに、他界してしまった。
あっという間だった。

今となっては、自分の思いを偽りなく伝えようとした友達の気持ちが分かる。
自分の思いも、生きている自分の一部だ。
思いは相手に伝えなければ、そのままなかったことになってしまう。
友達は自分の思いを、心に閉じ込めたままにするのではなく、
開放して相手に届けたかったのだ。


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