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ビリーの挑戦2-011cut:MRが単独で宣伝できるようになるまで

2018-03-25 | ビリーの挑戦第2部・伝説のSSTプロジェクトに挑む
ビリーの挑戦2-011cut:MRが単独で宣伝できるようになるまで
――Scene02:営業本部企画部の現状
影野小枝 漆原さんの実況中継は続きます。
漆原 現在ジョン・マネージャが女性MRサラさんと同行中です。金魚の糞みたいに、随行させてもらっています。サラさんは入社半年目で、まだ3品しか単独宣伝できません。アメリカR社のMRは教育を受けて合格しなければ、単独宣伝ができない規則になっています。サラさんの入社時からの、ステップを眺めてみます。

◎サラさん入社後1ヵ月目:
サラさんは元ナースです。アメリカではナースからMRに転職するケースは、たくさんあります。重点製品Aの知識を上司のジョンから学びます。上司は日中は別のMRと同行していますので、教育は夕方から夜に実施されます。最終テストで90点以上を取ったら、アメリカR社本社の研修部に派遣されます。

◎サラさん入社2か月目:
本社研修部はまるで、本物の病院にいるような設計になっています。本物のドクターと、製品Aについてのロールプレイを繰り返します。2週間以内に合格をもらったら、その時点で上司の元に戻されます。

◎サラさんの営業現場:
ロールプレイ研修を終えたサラさんは、初めて現場で上司同行を受けます。期間は1か月。サラさんは製品Aについてのみ、上司が見守るなかで、ドクターへ宣伝できるのです。上司がOKを出したら、その後は製品Aの単独宣伝が許されます。サラさんは現場同行しているこの期間の夜は、製品Bの知識教育を上司から受けます。後はこの繰り返しで、サラさんが重点6製品を単独で宣伝できるようになるまでには、およそ10カ月を要します。
サラさんは2製品だけ、単独宣伝できるようになっています。この日のジョンとの同行では、製品Cの現場教育がメインの活動でした。ジョンはやってみせて、次の顧客でやらせてみる、を繰り返しています。後の同行スタイルは、日本と大差はありません。

ビリーの挑戦2-010cut:営業マネジャーのマイオフィス

2018-03-25 | ビリーの挑戦第2部・伝説のSSTプロジェクトに挑む
ビリーの挑戦2-010cut:営業マネジャーのマイオフィス
――Scene02:営業本部企画部の現状
影野小枝 アメリカの営業マネジャーに関する、漆原部長の現地レポートです。ここも実況放送風にお伝えしますね。
漆原 午前8時。ジョン・マネジャーが、ホテルに迎えにきてくれました。まずはオフィスに向かうということです。高速道路を猛スピードで飛ばし、郊外のしゃれた一軒に着きました。
「これがマイオフィスだよ」とジョンは誇らしげに指さしています。そして「もっとも、会社が借りてくれているんだけどね」と白い歯を見せました。細身で胸だけは大きい、若い奥さんが出迎えてくれました。

リビングを抜けると、「OFFICE」という札が下げられた部屋がありました。会議用のテーブルが中央にあり、壁面は文献棚で埋まっています。隅にはジョンの机が置いてあります。さらに奥の部屋へ案内されました。「ここが倉庫さ。毎日どっさりと資材が運ばれてくるよ」とジョンは笑ってみせました。

資材の受け取りや配送は、奥さんの仕事になります。奥さんには手当がついています。独身の営業マネジャーの荷物は、運送会社に留め置きとなります。アメリカには営業所はありません。すべて営業マネジャーの自宅が、オフィスとなります。仕事のスペースとして2室は必要ですので、みんな広い家を借りているようです。

どん底塾06:対(つい)をつなぐ 

2018-03-25 | 小説「どん底塾の三人」
どん底塾06:対(つい)をつなぐ 
「人生というのは、永遠なる自分探しの旅なんだよ。仕事も家庭も趣味も酒も、全部そのための小道具にすぎない。ひとつの小道具にのめりこんじゃうと、他の小道具がおろそかに扱われる。つまり人生のシナリオが、偏った展開になってしまう。
 仕事バリバリ、家でゴロゴロ。これが最悪のシナリオだ。対(つい)がつながっていないから、人生のシナリオは悲劇の結末となる。対(つい)って、わかるか? 仕事と家庭、妻と夫、親と子、上司と部下。これらがつながってこそ、まともな人生になる。自分探しの旅のためには、バランスのとれた対(つい)を創り上げなければならない」

 そこまで話して、亀さんはかすかに微笑んだ。初めて見せた悲しげな表情だった。亀さんの胸のうちにある暗い部分を、加納は敏感に感じ取っていた。加納は夫という対(つい)を失っている。少し方向性を変えて、質問してみた。
「上司と部下って、自分の意思だけでは、つなげられないと思うのですが?」
「好きではない、上司がいたとしよう。会議中は一方的にしゃべりまくり、グチや小言のオンパレード。数字のことにしか興味がなく、部下指導など考えてもいない。部下はやってられないや、と思っている。部下は自分の意思では、上司を変えられない。こんな前提でいいか?」
「はい、これって絶対に、つながりようがないと思います」
「部下は毎日、上司のことをいやだいやだと思い続けている。会社へ行くのが、いやになっている。そんな環境で、対(つい)がつながるはずはない。おまえの疑問はこうだよな?」
「はい、そのとおりです」
「さっきもいったけど、人生には甘んじて受けとめなければならないシナリオがある。上司の存在もそのひとつだ。いつまでもその存在に、こだわってはならん。意識から消しちゃうんだ。
 おまえが上司になったとき、はじめて意識から呼び起こす。すると、いやな上司は、立派な反面教師となって現れるはずだ。ないものねだりはしないこと。物理的に変えられないものは、即刻意識から消し去るのが、人生の極意だ」

 大河内雄太は、自分の夢について考えていた。もうすぐ、3人目のこどもが生まれてくる。家族の幸せが自分の夢なんだろうな、と大河内は思う。そんな大河内にとって、亀さんの話はわかりやすいものだった。おれって仕事グタグタ、家でもグタグタだもんな。これでは浮かばれない。大河内に、小さな闘志が生まれた。

知だらけ054:起承転結を意識する

2018-03-25 | 知だらけの学習塾
知だらけ054:起承転結を意識する

文章を書くときに、心がけたいことがいくつかあります。

まずは、何を書くのか。
書きたいことについて、4つほどの見出しが思い浮かばなければ、まとまった文章にはなりにくいものです。

次の文章は、塾長のブログに掲載したものです。
4つの見出しを意識して書いたものではありません。しかし、自然に「起承転結」で構成されています。引用してみます。

(引用はじめ)
「会社が合併する」

(起)
全社員が衛星テレビに注目していた。
合併の発表だろう、との予感はあった。
(承)
これまでにも、何度か合併のうわさが流れていた。
どこの会社を買収するのだろうか。
私たちはそんな話をしながら、
社長の発表を待った。

(転)
「ロシュグループと中外製薬との統合がきまりました。
日本での存続会社名は、中外製薬となります」
緊張した表情で、社長が告げた。
目の前が真っ白になった。
32年間勤めてきた会社の名前が消える。
合併よりも、そのことの方がショックだった。
社長は、何度も「チャンスだ」と繰り返した。
声が微妙に、震えていた。

(結)
何がチャンスだ、と思った。
そして、なにも聞こえなくなった。

文頭の「起承転結」は、本稿のために付加したものです。
起承転結は、文章を書く上での基本です。

(起)は、ひとつの事実や目的を最初に提出して、
書きおこす部分。
塾長の「会社が合併する」では、ショッキングなそのときの情景から書き起こしています。

(承)は、それを受けて話を広げる部分。
塾長の文章は、ショッキングなできごとの背景を描いています。

(転)は別の分野へと話を転じて、さらに発展させる部分。塾長の文章は、再び現実の場面に話を転じています。

(結)は、だからこうなのだという結論の部分。
塾長の文章は、ショッキングなできごとの結末を書いています。

一般的な文章での、起承転結の代表例を紹介したいと思います。塾長は高校時代に、この文章を覚えました。

(起)京都三条糸屋の娘
(承)姉は十七、妹は十五
(転)諸国大名弓矢で殺す
(結)糸屋の娘は目で殺す

妙に知180325:「丁」は超奥深い漢字

2018-03-25 | 妙に知(明日)の日記
妙に知180325:「丁」は超奥深い漢字
相撲を観ていたら「もう一丁取り直し」と審判長がいいました。普通なら「もう一番」というのだろうな、と思いました。「丁」はサイコロの丁半で知られていますが、偶数を意味します。豆腐を数えるときや、本の裏表1枚も意味します。乱丁などといいますね。
ほかにどんなものに使われるのでしょうか。調べてみました。「天丼一丁」「一丁目」などがありました。「丁」を「てい」と読む場合は。「丁寧」などもあります。そのほかには、「丁稚」(でっち)や「丁髷」(ちょんまげ)など、別の読み方もあります。「丁」は超奥深い漢字なのです。
山本藤光2018.03.25

知恵を使って仕事をしているか:めんどうかい010

2018-03-25 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
知恵を使って仕事をしているか:めんどうかい010
――第1章:営業リーダーの使命
優れたリーダーのもとでは、営業担当者は驚くほどの成長をみせます。一方、業績不調のリーダーのもとでは、営業担当者が伸びないのも事実です。
これって鉄則のはずなのですが、意外に重視されてはいません。業績格差を生む要因は、営業担当者のモチベーションにあります。彼らのモチベーションは、営業リーダーにより七色に変化します。モチベーションの有無は、部下が「知恵 」を使って仕事をしているか否かを見極めれば判断できます。
「知恵」は、部下のモチベーションを測るバロメーターです。いやいや行う仕事には、知恵のカケラもありません。知恵は知識と意欲がなければ生まれないのです。部下のモチベーションは、ほとんどの場合上司に由来します。「あいつにはやる気がない」と、ぼやいているリーダーがいます。「違う」と叫びたくなりますし、「その要因はあなたにある」といってあげたくなります。

 私が北海道の営業責任者だったときのことです。3人の営業リーダーには、部下との徹底的な同行を命じました。それ以外の雑用は、私や支店スタッフが責任を持って代行することにしました。3つのチームはいつの間にか、市場規模の大きな東北6県を上回る業績になっていました。
 モチベーションは部下を甘やかすこと、と勘違いしているリーダーがいます。一般的に、部下に甘いリーダーは、自分自身にも甘いものです。典型的な仲良し集団は、環境の変化に押し流されやすい現実があります。
営業リーダーの同行は、業績アップの切り札となります。北海道が東北6県を凌駕(りょうが)したのは、営業リーダーの同行量とその質だったのです。

 もう一度繰り返します。業績格差はまぎれもない人災です。だれのせいでもなく、あなた自身の責任によるものです。優れた営業リーダーは自らを磨き続け、部下にも厳しく接します。そうした営業リーダーのもとでは、チームが活き活きとしており、知の交換もひんぱんになされています。


町おこし063:心のこもった一撃

2018-03-25 | 小説「町おこしの賦」
町おこし063:心のこもった一撃
――第2部:痛いよ、詩織!

 南川愛華が全国高校新聞コンクール最優秀賞の賞状と盾を持って戻ってから、一週間がたった。その間、北海道新聞、釧路新聞はもちろん、朝日新聞や毎日新聞などの取材陣が標茶町を訪れた。
 どの新聞社も、栄誉に輝いた標高新聞部以外に、山際校長と越川町長へのインタビューををおこなっている。学研の選評にあった「高校生と学校と町政が三位一体となって町の活性化に取り組んでいる」という記事の裏を取るためだった。

 越川町長と北海道新聞記者のやりとりは、次のような展開であった。
記者「標高新聞、最優秀賞受賞おめでとうございます」
町長「ありがとうございます。町としても誇らしく思っています」
記者「町の活性化のために、高校生が立ち上がった。これは画期的なことですが、町長として若い声をどう町政に活かすおつもりですか?」
町長「恥ずかしい話なのですが、受賞した新聞は回収させているのです。高校生が町政に口を出すべきではない。そうした見地から校長と相談して、新聞を回収させました。その新聞は回収命令以前に、コンクールに応募されておりました。そして受賞の選評を読ませていただいたとき、何と愚かなことをやってしまったのかと猛反省しました。生徒たちの熱い思いに、選評を読んで初めて気づいたのです」
記者「閑古鳥が鳴いている会社の博物館や日本三大がっかり名所は、不発に終わったとお認めになるんですね?」
町長「残念ながら、思わしい成果は上がっていません。私は町議会で、生徒たちに標茶町活性化の提案をしてもらうつもりでおります」
記者「町議会へ高校生を招聘(しょうへい)するのですか? それはすばらしいことです。ぜひその様子も取材させていただきたいですね」
町長「ぜひお越しください。案内はさしあげます。私は生徒たちから『しっかりしなさい』と背中を叩かれました。心のこもった一撃でした」