木村憲洋+川越満『イラスト図解・病院のしくみ』(日本実業出版社)
基本的な病院のしくみから、各現場の仕事内容、診察・検査のしくみ、病院経営のアウトライン、病院とお金、医療ビジネスの最新トレンドまで、病院のすべてをやさしくイラスト図解する。(「BOOK」データベースより)
◎「あとがき」をかいてみよう
木村憲洋+川越満『イラスト図解・病院のしくみ』(日本実業出版社)は、「イラスト図解」シリーズのなかの1冊です。「農業のしくみ」「控除のしくみ」など、ユニークなラインナップで売れ行きは好調のようです。
『イラスト図解・病院のしくみ』の発売は2005年ですが、10年を経たいまもシリーズのなかではダントツに売れています。私は共著者の川越満さんから署名入りの献呈本をいただいています。
本書には「はじめに」はありますが、「おわりに」は書かれていません。そこで私が代わりに、「おわりに」を書きたいと思います。
むかし「KEN研」(ケンケン)という異業種交流会がありました。私はそこで校長と呼ばれ、阪本啓一さん(推薦作『ゆるみ力』日経プレミアシリーズ新書)は塾長と呼ばれていました。KEN研は、ナレッジ・エンジョイ・ネットワークの略称です。私が日本ロシュ時代に立ち上げた集まりで、参加者は多岐にわたっていました。トヨタ自動車、NTTデータ、キリンビール、富士ゼロックス、日経BP、キュピー、日本実業出版。ユートブレーン、リクルート、ソニー生命、亀田総合病院などです。
ある日、日本実業出版の大西さんから、聴診器つきの本の企画の話がありました。本に付録として、聴診器をつけるというアイデアです。私は聴診器が悪用されるとして「ノー」の立場でした。ところがその企画が実現されて、聴診器つきの本は話題になりました。
そんなときに大西さんから、川越満さんに「病院のしくみ」執筆の依頼がなされたのです。先に書きましたが、「イラスト図解」シリーズには、「病院」がなかったことが不思議でした。
そんなわけで、『病院のしくみ』は、KEN研メンバーの、大西・川越のタッグにより生まれた書籍なのです。川越満さんはおそらく、こんな内容のことに触れ、大西さんとKEN研メンバーへの感謝を書きたかったことだと推察できます。しかしこのシリーズには、「はじめ」はあっても、「おわり」がありませんので、前例にないと却下されたのだと思います。
◎病院の待合室で読む本
「病院」を知らない人は、いないと思います。医者がいて看護士がいて、長い時間を待たされて、あっという間に診察が終わってしまう。そんなイメージで病院をとらえている人は多いと思います。
本書を読むと、それ以外の病院のすべてがわかります。薬剤師がいて、臨床検査技師がいて、事務長がいて、病院に出入りしている業者やMRがいて……。私は本書を病院の待合室に平積みしておいてもらいたいと思います。患者さんは長い待ち時間の間、それを読み、自分がどんなに大切にされているかを理解することになります。
病院経営、診療報酬など患者さんからは見えない世界も、本書によって理解できます。私も若いころはMRとして病院に出入りしていました。そのときに本書があったら、医師や薬剤師と、病院の運営について、もっと語り合えただろうと思います。
『病院のしくみ』は名著です。自分が通っている病院が、かくもたくさんの専門スタッフによって、支えられていることを知っていただきたいと思います。筆者の川越満さんは、私よりジャスト2回りも年の違う同じ誕生日に生まれています。現在KEN研は休眠状態ですが、川越満さんは精力的に講演や取材で飛び回っています。
KEN研から生まれたロングセラーを、ぜひ病院の待合室でお読みいただきたいと思います。きっとあっという間に、診察の順番がくることでしょう。
川越満さんは製薬業界では、若きオピニオンリーダーです。会社の合併で製薬企業向けデータサービス会社に籍をおくことになりました。川越さんは私が顧問をしている株式会社コラボプランが提唱する、「人間力」の実践者でもあります。『病院のしくみ』の行間から、プロフェッショナルである医療スタッフのなかに、「人間力」が垣間見えてうれしく思いました。
(山本藤光:2013.05.30初稿、2018.03.17改稿)
基本的な病院のしくみから、各現場の仕事内容、診察・検査のしくみ、病院経営のアウトライン、病院とお金、医療ビジネスの最新トレンドまで、病院のすべてをやさしくイラスト図解する。(「BOOK」データベースより)
◎「あとがき」をかいてみよう
木村憲洋+川越満『イラスト図解・病院のしくみ』(日本実業出版社)は、「イラスト図解」シリーズのなかの1冊です。「農業のしくみ」「控除のしくみ」など、ユニークなラインナップで売れ行きは好調のようです。
『イラスト図解・病院のしくみ』の発売は2005年ですが、10年を経たいまもシリーズのなかではダントツに売れています。私は共著者の川越満さんから署名入りの献呈本をいただいています。
本書には「はじめに」はありますが、「おわりに」は書かれていません。そこで私が代わりに、「おわりに」を書きたいと思います。
むかし「KEN研」(ケンケン)という異業種交流会がありました。私はそこで校長と呼ばれ、阪本啓一さん(推薦作『ゆるみ力』日経プレミアシリーズ新書)は塾長と呼ばれていました。KEN研は、ナレッジ・エンジョイ・ネットワークの略称です。私が日本ロシュ時代に立ち上げた集まりで、参加者は多岐にわたっていました。トヨタ自動車、NTTデータ、キリンビール、富士ゼロックス、日経BP、キュピー、日本実業出版。ユートブレーン、リクルート、ソニー生命、亀田総合病院などです。
ある日、日本実業出版の大西さんから、聴診器つきの本の企画の話がありました。本に付録として、聴診器をつけるというアイデアです。私は聴診器が悪用されるとして「ノー」の立場でした。ところがその企画が実現されて、聴診器つきの本は話題になりました。
そんなときに大西さんから、川越満さんに「病院のしくみ」執筆の依頼がなされたのです。先に書きましたが、「イラスト図解」シリーズには、「病院」がなかったことが不思議でした。
そんなわけで、『病院のしくみ』は、KEN研メンバーの、大西・川越のタッグにより生まれた書籍なのです。川越満さんはおそらく、こんな内容のことに触れ、大西さんとKEN研メンバーへの感謝を書きたかったことだと推察できます。しかしこのシリーズには、「はじめ」はあっても、「おわり」がありませんので、前例にないと却下されたのだと思います。
◎病院の待合室で読む本
「病院」を知らない人は、いないと思います。医者がいて看護士がいて、長い時間を待たされて、あっという間に診察が終わってしまう。そんなイメージで病院をとらえている人は多いと思います。
本書を読むと、それ以外の病院のすべてがわかります。薬剤師がいて、臨床検査技師がいて、事務長がいて、病院に出入りしている業者やMRがいて……。私は本書を病院の待合室に平積みしておいてもらいたいと思います。患者さんは長い待ち時間の間、それを読み、自分がどんなに大切にされているかを理解することになります。
病院経営、診療報酬など患者さんからは見えない世界も、本書によって理解できます。私も若いころはMRとして病院に出入りしていました。そのときに本書があったら、医師や薬剤師と、病院の運営について、もっと語り合えただろうと思います。
『病院のしくみ』は名著です。自分が通っている病院が、かくもたくさんの専門スタッフによって、支えられていることを知っていただきたいと思います。筆者の川越満さんは、私よりジャスト2回りも年の違う同じ誕生日に生まれています。現在KEN研は休眠状態ですが、川越満さんは精力的に講演や取材で飛び回っています。
KEN研から生まれたロングセラーを、ぜひ病院の待合室でお読みいただきたいと思います。きっとあっという間に、診察の順番がくることでしょう。
川越満さんは製薬業界では、若きオピニオンリーダーです。会社の合併で製薬企業向けデータサービス会社に籍をおくことになりました。川越さんは私が顧問をしている株式会社コラボプランが提唱する、「人間力」の実践者でもあります。『病院のしくみ』の行間から、プロフェッショナルである医療スタッフのなかに、「人間力」が垣間見えてうれしく思いました。
(山本藤光:2013.05.30初稿、2018.03.17改稿)