北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
奈良県北中部の京阪神へ通うサラリーマン家族(100万人)の住む幾つもの大規模住宅団地には、開発造成地の規模/面積に応じて集中豪雨災害に備えた空の貯水池がある。他方、農業灌漑用の貯水池は、何時も雨水を貯めて満水に近い。一方の住宅団地の集中豪雨対策池は空っぽなので、好対照なのである。-------
同じ池でありながら設置目的が異なると、その使い方が正反対になるのである。田植えが終わって水稲栽培が始まっている梅雨の時期、農業灌漑池の役割は大切であり、梅雨の降雨を出来るだけ貯め込んで農業用水確保のバックアップを万全にしているのだ。このようにして夏を経て秋の収穫期に至るまでの稲作用農業用水は確保されている処が多い。勿論、奈良県ならば遠く吉野川から人工の農業用水路を経由して奈良盆地に引き込んでいる農業灌漑用水も比率的には結構な部分を占めている。しかし、奈良盆地周縁/南流する小河川の両岸部を構成する丘陵地に降る雨をそれぞれの枝川に構築した小規模な農業用溜池に貯水する仕掛けが、日本列島で水稲耕作が本格化して以来ずっと2000年を超えて続いているのだ。-------
サラリーマン家族の住む大規模住宅団地が、盆地周縁部の丘陵地に開かれたこともあり、旧来の谷水を当てにしてきた水田用の溜池が住宅団地と共存する形になっている。だから住宅団地が開発されて雨水の保水能力が減少して一挙に流出する危険を避けるために一時的に其処で貯め込んでおく施設としての集中豪雨対策池が並んでいたりするのだ。--------
集中豪雨対策池は殺風景であるが、農業用対策池には、野鳥が憩(いこ)っていたり、魚影が見えたりして和(なご)めるのだ。場所によっては、野鳥の運んできた種が発芽して睡蓮(すいれん)が白や黄色の花を咲かせてくれたりして、住宅団地近隣の散歩/ウォーキングの楽しみともなるのだ。