奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その253)

2017-05-04 09:14:05 | 奈良・不比等
「筑波大学(社会精神保健学)教授・斎藤環(さいとうたまき・1961生れ)」氏の「承認をめぐる病(ちくま文庫2016刊)」を読んだ。アブラハム・ハロルド・マズロー(Abraham Harold Maslow)の「マズローの欲求のピラミッド」を引用して、5段階の欲求(生理的欲求・安全欲求・社会的欲求・尊厳欲求・自己実現欲求)の内、低位の欲求で満たされていた戦後直ぐの日本ではなくなってしまい、今では高位の社会的欲求や尊厳欲求を満たして初めて自身が仲間や社会から承認されたと感じる承認欲求が満たされるのであると。従って、低位の生理的欲求が満たされるだけでは承認欲求の渇望状態は解消されない。バブル経済の崩壊やグローバル化による国内経済の不調は若者の社会デビューに暗雲となり、全ての若者が高位の承認欲求を満たされなくなってしまっている。戦後の焼け跡経済の時代から比べれば食べて行けるのであれば先ずは我慢すべきと考えることもできるが、中国の故事熟語じゃあるまいし「衣食足って礼節を知る」では「何をか言わんや」と云う事なのだろう。--------
昨今、若者にとって暮らしにくい社会になって来てその傾向は失われた20年、25年、30年にも及ぼうとしている。そうした中で、全ての若者が社会から認められ尊厳を保つことが出来る状況からは程遠い状況が続いている。------
斎藤環先生は、「引きこもり現象」や失業率と若年層の自殺の相関であるとか社会学的な学問成果も踏まえて精神医学の観点から、社会病理の診断と処方箋を求めて臨床研究に余念がない。-------
都道府県や市町村の公務員の世界では民間の様なブラック企業が蔓延(はびこ)ることは無いでしょうけれど、仕事が複雑になる割に公務員定数の削減などの影響を受けて職員数は決して十分ではないだろう。-----
マズローの高位の承認欲求を示して難しい仕事を押し付ける風も無いとは限らない。心して地方公共団体としても若年職員への親切な指導的配慮は怠(おこた)りなきように願いたい。

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