奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その270)

2017-05-21 07:13:48 | 奈良・不比等
「損する結婚儲かる離婚(藤沢数希ふじさわかずき著・新潮新書2017刊)」を読んだ。理論物理学を専攻された方のようであり、理系人間の解説する社会学の印象が強かった。文系的な煙に巻くような感覚的な論究ではなくて全て数値データに基づいて勘考しており、曖昧な議論は一切ない。但し、離婚裁判などの弁護士の法廷論争については折り合い調停していかなければならないことも十分に理解しておられる。-------
「金融工学」に似せて「恋愛工学」なる言葉を発案した方のようでもあり、「損する結婚儲かる離婚」では結婚の経済学的な意味合い、特に民主社会と一夫一婦制の取られている理由が良く分かった。人間社会においては一夫一婦制を法律で定めないとどうしても一夫多妻の傾向が強まるのだそうで、結婚できない男性が6~7割にも達してしまうそうである。------
確かに、江戸時代などは跡取りしか結婚は出来なかったのであり、旗本退屈男は旗本の次男・三男であり長男のスペアのようなものであり、養子の口でもない限り一生独身の部屋住みで跡を継いでいる兄から小遣いを貰って日がな一日を暮らしている訳であるから暇でしょうがないのである。------
近代国家を樹立するため富国強兵策を取った明治政府は、一夫一婦制で江戸時代ならば結婚出来なかった男共にも伴侶を与えて産めよ増やせよと子沢山を奨励し、兵隊の数の確保を図ったのである。間引きで人口調整までしていた江戸時代的な社会制度では人口の5%程度の武士階級の人口では近代国家の軍隊組織は作れなかったからであろう。-----
唯(ただ)、女性の社会進出が進むとフランスなどのように婚外子が増えるとかして、男性全てに平等に女性の伴侶が行き渡らないようになってしまう傾向があるのだそうである。
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