奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その909)

2019-02-19 08:15:00 | 奈良・不比等
北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「シベリア抑留最後の帰還者~家族をつないだ52通のハガキ(栗原俊雄著・角川新書2018刊)」を読んだ。栗原俊雄(くりはらとしお1967生まれ)氏は、早稲田大学(政治学科)卒、同大学院(日本政治史)修了で、毎日新聞に入社し、現在、東京本社/学芸部記者とのことである。------
「シベリア抑留最後の帰還者」は、満鉄調査部に務めていた“佐藤健雄(さとうたけお1899~1993)”氏が、シベリアに抑留されていた11年間(1945~1956)の間に日本の家族と交わされたハガキ(1952~1956)を元に、栗原俊雄氏が記者精神を発揮して、周辺を詳細に調べて、新書としたものである。-----
毎日新聞の記者らしく庶民目線で、日本政府や関東軍、満鉄の満州居留民へのあまりの等閑な処置を、赤裸々に書いている。終戦直前に日本政府はソ連に連合国との和平交渉を取りつけて貰おうとして、満州の使える居留民はソ連で使役しても良いとの条件を提示していたことを公文書から見付けている。----
シベリア抑留者は、旧軍の規律が戦後も存在したものだから、立場の弱い兵卒から、寝る処から食べるものまで、不自由して先に病気となり命を落としていったそうである。瀬島龍三氏など高級軍人は、悲惨な最下層の重労働をせずに済んでいることを、この「シベリア抑留最後の帰還者」では、書いている。この本の主人公の“佐藤健雄”は、満鉄調査部勤務だったために、戦時中はスパイ活動をしていたと認定されて、収容所に入れられたりして、重労働の現場には送られなかったことが逆に幸いして帰還できたのだろうと思われる。兎に角、シベリア抑留から生きて帰った人は、“生き残った者はね、加害者なんですよ”との発言があるように、これまでもこれからも真実を話す人はいないと言うことなのだが、このような状況の中で、少しづつ少しづつ零(こぼ)れ話を集めて、52通のハガキだけではなくて、紡がれているのである。シベリア抑留を知らない若い人には良い本だと思った。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 古都奈良・修学旅行と世界遺... | トップ | 古都奈良・修学旅行と世界遺... »

コメントを投稿

奈良・不比等」カテゴリの最新記事