北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「戦後入門(加藤典洋著・ちくま新書2015刊)」を読んだ。加藤典洋(かとうのりひろ1948~2019)氏は、東大(仏文科)卒で、国会図書館、明治学院大学を経て、早稲田大学教授を務めた。“アメリカの影(1985刊)”でデビューし、以後“日本の戦後”を考えるスタンスを続けた。-----
「戦後入門」は、日本が第2次大戦の敗戦を経て、本当に独立しているのかとの疑問を国民すべてが一人一人考えるべきだろうとの想いから、“戦後”を知るための教科書として書いたものだそうである。まるで受験参考書のような、辞書のような大部の本に仕上がっているが、中身はどれも外せなかったものであるようだ。-----
“敗戦後論(1997刊)”で冷戦後の日本の進むべき道の考え方を言論界に発表し、その種の執筆活動は最後まで続いた。どうしてもアメリカの属国である限り、日本の立場は拘束されるのであり、色々な議論をなさったが、結局、世の中への影響力はそれ程ではなかったようだ。-----
加藤典洋氏自身は、戦後世代として、日本をそれなりの国にしたいと考えて提言もされたのだが、日本自体はエコノミックアニマルを超えることはできず、未だに良く分からない外国からみたら不気味な国となっているのではとの恐れもあるのだと、能天気な日本人に忠告してくれているのだ。遺言でもあるのだろうと思った。
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