21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

インフレの時代

2009年06月13日 23時35分13秒 | Weblog
 「金融危機だ」ってことで、世界中の中央銀行が大量の紙幣を印刷し始めて、世界中の通貨で貨幣価値が下がって来ている。その象徴が「純金価格」だ。今のところ、$900/オンス を上回る程度で安定している。これは、ブレトン・ウッド体制がニクソン・ショックで変更されて以来、20年程度で20倍になっている。
 不動産価格・ダウ平均株価の上昇幅に比べて、純金価格は異常な上昇率を示した。

 「金」は資金保全のためには完璧な資産だ。永遠に劣化することがなく、インフレに合わせて価格が上昇する。唯一の問題点は「流動性」だったが、ETFの登場で流動性の罠も消滅したように見える。

 つまり、「金価格」はrisk-freeにインフレ率に反応することになる。純金貨価格が20年で20倍になったのなら、物価もその水準まで上昇しなければならない。しかし、ここ20年間の物価上昇スピードはそこまでではなかった。確かに「技術革新」による生産技術の工場で生産コストが抑えられた部分はあると思う。がしかし、デフレ状態が続いているのは「技術革新」では説明がつかない。金価格の上昇にインフレが追い付くためには、年率5%前後のインフレ率が今後30年間は続かなければならない。

 消費者心理が冷え込んでいる今年、消費者物価が上昇に転じる可能性は低い。本格的なインフレが始まるのは2010年6月以降になるだろう。インフレの発生が遅れれば遅れた分だけ、短期間で金価格の上昇幅に追い付くために、急激な物価の上昇が起こることになる。

 インフレの時代の片鱗はすでに見えはじめた。原油価格は上昇に転じ、ガソリン価格の上昇、商品輸送コストの上昇、生産コストの高騰につながっている。
 「ドル価値」の下落だけであれば、円高を通じて日本の国力は増すことになるが、「ドル価値」と共に「円の価値」も下落する可能性が高い。相対的に、アジア通貨価値が上昇すれば、海外生産を推し進めている商品の生産コストが上がる。


 21世紀は、「インフレの世紀」になるだろう。歴史を振り返っても、金本位制を離れた通貨が、50年以上も価値を保ち続けた例は見つからない。「基軸通貨ドル」が金本位制から離れてから50年後、2020年、世界はどうなっているのだろうか。