21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

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インフレ・デフレ・・・

2008年08月25日 19時05分19秒 | Weblog
前にも似たようなことを書いているけれど、気が収まらないので、もう一回。

「インフレーション」「デフレーション」ってのは、「物価上昇」「物価下落」を指す言葉ではあるけれど、現実には「モノ・サービスの値段」は変化しないのです。
 変化しているのは「貨幣価値」です。そして、「インフレ・デフレ」が示している現象は、貨幣価値の「下落・上昇」です。ちょっとした違いだけど、勘違いしないでほしい。

「金価格が上昇している」と言うのは正確には、「貨幣の価値が下落している」と言うことなのです。ここを勘違いしていると微妙に経済情勢を読み違います。

技術革新が起こるか、使い古されない限り、モノの価値は変わりません。変化するのは「貨幣の価値」です。


では、なぜ「モノの価値」が変化すると勘違いされ始めたのでしょう?


これは、古典経済学が発展し「インフレ・デフレ」と言う概念が生まれた、19世紀から20世紀初頭の時代背景にあります。

まず当時は金本位制でした。つまり、変化しうる「貨幣の価値」は変化しない「モノの価値」に直結していたのです。そして、歴史的にみて驚異的にも貨幣価値が安定していた時代でした。少し調べてみればわかりますが、当時の定期預金には60年モノ、80年モノ、100年モノが世界中にありました。しかも、金利4%とか5%で。日本でも郵政の歴史を調べれば「100年定期」があったのが分かります。当時はそれぐらい貨幣価値が安定していたので、その環境で育った経済学者にとって、「貨幣価値が変化する」とは想像もつかなかったのでしょう。そのため、「インフレ・デフレ」は「物価」の変化を表す言葉として市民権を得ていったのです。



そして、「インフレ対策」としての政策金利引き上げは、「モノへの需要を減らすため」と捉えられていますが、現実には「貨幣の供給量を減らすため」です。需要が減ってモノの価値が下がるのではなく、供給が減って貨幣の価値が上がることで、インフレは抑制されるのです。逆もまたしかり。「デフレ対策」に必要なのは、モノ・サービスの需要喚起ではなく、貨幣の供給量の増加です。


スタグフレーションは、不景気と物価上昇(つまり需要の増加?)が同時進行する不思議な現象とみられていますが、インフレが「貨幣価値の下落」と考えれば疑問は残りません。スタグフレーションとは、不景気と貨幣価値の下落(供給過剰or信用低下)が同時進行する現象なのです。