21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

フラット化する世界:トーマス・フリードマン著

2008年03月23日 23時27分24秒 | Weblog
 「国際化」の解説本を出しているフリードマンが、<フラット化する世界>の中で下記の文章を引用してました。


>昔ながらの古めかしい固定観念や意見を拠りどころにしている一定不変の凍りついた関係は一掃され、新たに形作られる物もすべて固まる前に時代遅れになる。個体は溶けて消滅し、神聖は汚され、人間はついに、人生や他者との関係の実相を、理性的な五感で受け止めざるをえなくなる。生産物を売るための市場をたえず拡大する必要に迫られて、ブルジョアは地球上をせわしなく駆けめぐる。あらゆる場所で家庭を作り、定住し、つながりを結ぶ。ブルジョアの世界市場開拓によって、生産物と各国の消費には、全世界共通の特徴が備わる。反動主義者は無念だろうが、それは、産業の拠って立つ国家の基盤から生じたものである。古くから確立していたその国に固有の産業は、とうに滅ぼされたか、あるいは徐々に滅ぼされようとしている。そうした産業を駆逐した新しい産業の導入が、すべての文明国の死活を左右する。新しい産業では、国産の原料ではなく、遠隔地の原料を加工する。生産物は国内で消費されるのではなく、地球のあらゆる場所で消費される。昔はさまざまな欲求を国内生産だけで満たしていたが、今は遠い国や地方の生産物によって欲求を満たすことが求められる。かつては地方や国が閉じこもって自由自足していたが、いまはあらゆる方面と交流し、世界各国が相互に依存している。物質ばかりではなく、知的生産物の面でも同じである。一つの国の知的創造が、共通の財産になる。国家が偏向したり狭い考えを持つことは、いよいよ難しくなり、無数の国や地方の文芸から、一つの世界文芸が生まれる。
 生産のためのあらゆる道具が急激に改良され、交通手段が飛躍的に便利になると、ブルジョアはきわめて未開に近い国までひっくるめて、あらゆる国を文明社会に取り込もうとする。商品価格の安さは、万里の長城をも打ち壊すことのできる巨大な大砲に匹敵する威力がある。外国人を毛嫌いしている非文明人すら降伏するだろう。絶滅を避けようとするなら、どの国もブルジョアの生産方式にわさざるをえない。いわゆる文明を取り込むことを余議なくされる。つまり、自分たちもブルジョワにならざるをえない。ひとことでいうなら、ブルジョアは世界を自分の姿そのままに作り変える。<



 原文は1848年の出版です。何か分ります?