21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

政策金利格差から考える。

2008年03月09日 10時50分29秒 | Weblog
 日本の公定歩合は0.5%で、先進国中ではかなり低い。これが円キャリートレードを誘発し、昨年の円安を招いていた。

 アメリカでは、サブ・プライム問題で政策金利を引き下げて来て、ヨーロッパよりかなり低い水準になってきている。これが米$キャリトレを引き起こしているんじゃないかって、言われている。今後も米$安・ユーロ高を招いてると思惑が広がって、更なる$安を招いている感じがある。

 先週に、カナダでは政策金利が引き下げられて、オーストラリアでは政策金利が引き上げられた。これが、通貨価値の差になって表れてきている。加$は値下がり、豪$は値上がっている。
 今回の政策金利の引き上げで、オーストラリアの金利水準は、ニュージーランドと並び、先進国最高水準に達した。今まで、金利スワップ収入を得たいと思えば、NZ$を買っていた。が、背景的経済力の差が表れて、オーストラリア$の方が通貨的安定性が強いという期待感が表れて来て、豪$高・NZ$安に繋がっているのかな?

 オーストラリアは資源輸出国として、独占的な地位を占めている。金・銅・ウラン・石油・・・・なんでも取れる上に、政治的に安定していて、炭鉱技術も世界最高水準を独走しており、安定性・生産性が他地域に比べ、格段に高い。豪$高は、日本円で資源を買ってこなければならない企業にとっては、仕入れ価格の上昇につながっている。

 日本経済も輸出依存型と言われるが、オーストラリア経済こそ、完全に輸出に依存している。と言っても、日本製品(電化製品・輸送機器)は、アメリカ・韓国・中国・台湾地域でも生産できるのに比べ、オーストラリアの輸出品・天然資源は他では取れない。。。。つまり高くても売れるのだ。

 生産性をさらに向上させて、通貨高をコスト削減で吸収できるようにするとすれば、高い政策金利は足を引っ張る。投資・再投資するためのコストが増加するからだ。オーストラリアも、技術開発への再投資が異常収縮することがないように、これ以上の政策金利の引き上げは行わないだろうが、オーストライアの輸出品はすでに競争力が相当強いので、7.75%でも問題ないだろう。一方、インフレ抑制のためには、その程度の高金利が必要なのかもしれない。。。。
 日本は技術開発でしか経済的優位性を保っておけない。限界政策金利と言うのは6%前後になるのではないかと思う。0~6%までの選択肢では、インフレ抑制は中央銀行の政策力と言うよりは、政府の能力の問題になってくるのではないだろうか。もしくは逆に、政策金利に上限を設ける代わりに、技術開発への政府補助をしっかりさせる必要が出てくるのではないだろうか。政策運営能力が問われてくる。

 金融機関が競争にさらされているところでは、政策金利が実際の経済状態に与える影響は小さい。銀行が相互優位性を保つために、金利の上昇の貸出金利への転化を最小化するからだ。クレジットカードが決済で力を持っているところでは、企業の設定金利が消費・投資に大きな影響をあたえるのであって、政策金利の絶対影響力は小さくならざるを得ない。