炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

小浜島と津波

2010-02-28 10:39:12 | Weblog
いま、このとき、昨日起こったチリの地震により日本にも津波が押し寄せる大津波警報が発令されている。
今年、大寒の時期に石垣島からフェリーで30分ほど離れた小浜島に観光で訪れた。地図上での距離は18キロメートルほどである。
小浜島は、2001年のNHKアサドラ「ちゅらさん」で人気をはくした島である。サトウキビ畑が拡がる自然豊かな南国の島、関東の真冬を逃れてきたことに感謝する。
島の真ん中をまっすぐに通り抜けるちゅらさんのドラマでもあった「シュガーロード」を歩いた。驚くほど正確に1キロメートルの距離である。
歩き始めた道の側に牛舎があった。恐らく石垣牛として飼育されているのであろう。
シュガーロードの真ん中あたりに古い松がある。
伝説によるとこの松のあたりまで津波が押し寄せたという。小浜島の最も高い場所は大岳(うふだき)で標高99メートルの高さであるから、この松の位置は標高20メートル程度と推定される。
調べると1771年4月に八重山地震津波の記録があり、石垣島周辺で家屋流失二千余、溺死約一万二千名とあるからこのときの津波であろう。かなり標高の高いところまで津波がきているから波が丘を駆け上がってきたと思われる。
シュガーロードの突き当たりはさらに標高が高くなり、その一帯に集落がある。津波を避けて高台に集落を設けた先祖の遺産である。
小浜島の最西端は西表島が目の前に拡がる漁村があり「ウミンチュ」と呼ばれる漁師が住んでいる。ウミンチュは、もとからの小浜島の住民ではなく本州から移住してきた人達であるという。
チリのからの津波警報が出されているいま、小浜島のウミンチュは、高台に逃れていると確信したい。
ちゅら(美しい)な小浜島に津波の被害が少ないことを願っている。
(農)


山里の音

2010-02-26 18:48:09 | Weblog
 意図的にけたたましい爆裂音を響かす暴走バイクや車の類は論外として、以前、日常の騒音として駅の案内音が問題になった。自動車の騒音はかなりよくなったようだが、最近では、テレビだ。静かにしていた方が緊迫感がいっそう迫ると思うのだが、アナウンサーやゲストが滅多やたらとわめき立てる。うるさい都会の生活で、無音の間についての感性が磨り減ってしまっているのであろうか。
 都会の我が家でも普通の音が途切れることはある。しかし、空気が落ち着いていない。何かが動いている。あたり一面、低いうわーんという振動や、耳には音として聞こえない超低周波の音がいくつか混じりあって響いているのであろうか。
 山里に行き来し始めて、山里と都会の音に深いところで違いがあるのに気付くようになった。山里には音がないと言うのではない。草刈機のうなり声や、時には車が通る音、遠くの有線放送の音など、結構いろいろな音がする。しかし、音が途切れたとき、山里の空気は微動もせずにしんと身の回りに落ち着く。先日、深夜に停電したが、全く無音の闇となり、身を動かすと、周囲の空気のかき乱されるのが感じられるようであった。やはり山里は静かだ。静かさの質が違う。
 逆に、いろいろな音に敏感になる。山里の森の小鳥の鳴き声を録音しようとしているが、夏の盛りなどは、セミの鳴き声が他を圧倒して、かなりの音圧であふれているのに改めて気付く(やはり、夏は駄目だ)。秋の始め、庭で草むしりをしていたら、突然、天空がゴーッと鳴り響き、思わず身を縮めた。森を吹き抜ける風の音であった。そういえば、都会の街で、木々を揺らす風の音など最近は聞いたことがないなあ、と侘びしい気になる。(青)

トヨタ自動車の急加速現象について

2010-02-25 20:16:08 | Weblog
トヨタの自動車が急加速する現象があるということが問題となり、部品の不具合によるリコールが遅れたこととともにトヨタ社長がアメリカの議会で喚問証言を行った。2010年2月24日であったが、オリンピック・ニュースがなければさらに大きく報道されると思われる内容である。

電子化技術の進歩に伴って表面化している課題と受け止めた。
トヨタ製造の自動車のエンジン制御には、アクセル・ペダルの踏み込み情報はディジタル化され、電子制御装置を経由して機械的なスロットル・バルブを開け閉めする構造になっていることはアメリカ・トヨタの社長のビデオ報道から、始めて知ることになった。
かっての自動車は、アクセル・ペダルからケーブル・ワイヤでスロットルに接続されていた。機械的な直接接続構造である。このケーブル機構には様々なトラブルがあった。ケーブルの破断、ケーブルが引っかかってスロットルが戻らなくなりエンジンが高回転のままになること、接続部分のボルト締めの調整が困難で高度の機械的な技術がいることなどから、定期的な点検はかかせなかった。スロットルが戻らないことによる交通事故も起こっていた可能性は否定できない。従来の機械的なスロットル制御機構の信頼性は低かったといえる。
このアクセル・ペダルとスロットルの制御系に電子装置を取り入れることで、機械的な側面からの問題はすべて解決したと考えられる。電子制御系にすることで信頼性は格段に向上している。トヨタの技術者も、電子制御スロットル系の安全性については、全力を尽くして技術的な検討を加えていたと信じる。日本トヨタの社長も自信を持って、「現在のところ、スロットル制御系の安全性については問題ないと確信している」とアメリカ議会で証言した。
しかし絶対に欠陥(fault)がないとは言えないであろう。神仏ならぬヒトの造る物に欠陥がないものはない。

欠陥について数値的に考えてみよう。
トヨタの自動車のある類型車種は、全世界で一千万台販売されたという。10の7乗台である。電子制御装置には多分コンピュータが使われている。どの程度の集積度のコンビュータかはわからないが、最も性能の低いコンピュータと仮定して半導体素子が一万素子、つまり10の4乗個の素子が使われているものとする。単純に考えるとこの10の11乗個の素子に欠陥が存在するとすれば、電子制御系の急加速があるかも知れないと筆者は危惧する。10の11乗個の素子について欠陥を見いだすことは人智を越えると思われる。

手もとに(青)さんから、これはいい書物と紹介された白水社1967年初版刊行のエミール・ボレル原著、平野次郎訳「確率と生活」がある。その中に無視できる確率及び実生活上の確率という章がある。まず人間的尺度において無視できる確率とは、人口数百万のパリーでの平穏な時期、平均1日に1件の交通事故で死亡する人がいるが、交通事故に合うかも知れないと自宅に閉じこもる人はいないであろうから、確率百万分の一程度ならば無視できると述べている。百万分の一とは10のマイナス6乗である。筆者は、東京周辺の人口が数千万といわれているので、一千万分の一、つまり10のマイナス7乗であれば人間的尺度において無視できる確率ではないかと考える。
しかしながら自動車の致命的な事故遭遇率が、10のマイナス7乗程度といえば、果たしてそのような車を消費者は購入するであろうか。
ついでだがエミールは、さらに地上的尺度において無視できる確率について述べている。地球の人口を10億から20億とみて、10億は10の9乗であるから、上記の人間的尺度において無視できる確率10のマイナス6乗を掛けると10のマイナス15乗となると記述している。いま地球上の人口は100億を越すといわれているから、筆者による独断的な修正をすると、地上的尺度において無視できる確率は10のマイナス17乗になる。
さらにエミールは宇宙的尺度、超宇宙的尺度についても述べているが、ここでは割愛する。
納さんは、エキスコンのシリーズで10の18乗であるエクサ、Eの単位を用いている。その逆数である10のマイナス18乗の単位はアト、aである。ちなみにマイナスの単位に関して、マイナス12乗はピコ、p、マイナス15乗はフェムト、fである。

さて本題に戻ろう。
トヨタの社長が、議会証言した事実を全世界の人類が認めるとするためには、たとえ1千万台の販売車であっても、車に搭載されたスロットル制御系統の欠陥によって致命的事故を起こしてはならない。自動車の致命的な欠陥を起こす確率は10のマイナス8乗以下が目標となる。でき得れば、この確率を10のマイナス9乗以下にしたい。それが実現すれば日本の自動車は、安全性が高いことで高い評価が得られる筈である。

上記に、10の11乗個の素子について欠陥を見いだすことは人智を越えると思われると述べたが、それではいかにすればよいだろうか。
すでに鉄道技術の分野で一定の成果を収めているフェール・セーフ技法を取り入れることがある。フェール・セーフとは安全側の「設計」故障率は高くとも、致命的な「設計」故障率を10のマイナス3乗程度低くする。つまり「設計上の故障率」として、致命的な故障は安全側の故障の千分の一以下にするのである。
より分かり易く言えば、安全側は故障が起こり安く設計し、安全側の故障が実際に発生する件数の統計をとることによって、「設計が正確」かどうか、さらに製造品質がよいか評価できるから致命的故障の発生確率が予測できる。
安全設計が正しいかどうか評価するため実際に故障が発生したデータが証拠になる。
いまのところ日本の新幹線が世界に誇る安全性を確保している事実に見習って、その技術的手法を導入し、日本の自動車産業がグローバリゼーションの中で育成され、真価が認められるようになることを期待したい。
急加速が実際に生じたかどうかは、航空機に搭載されているフライト・レコーダのようなモニタリング記録機能がなければなければ実証できないこともつけ加えておこう。これも安全性を評価するためには必要である。
(応)

COGNITIVE RADIO (7) ミリ波帯の通信デバイス

2010-02-22 10:06:55 | Weblog
コグニティブ・ラジオ、新たな展開がある。そこで話題として続ける。

最近手元に届いた学会の雑誌に掲載されている記事内容によると、半導体技術の進歩により、さらに微細加工が可能となり、半導体素材も改良されて、電磁波の利用がミリ波に及ぶという。日本では、59-66GHZ間のミリ波帯電磁波利用には免許が必要ないことになっているという。
60GHZの電磁波は波長にして5ミリメートルである。数十nm(ナノメートル、10のマイナス9乗メートル)の半導体の微細加工技術を使い、半導体集積回路の中に送受信機、さらには送受信アンテナを収容したわずか数ミリ四方の大きさのチップが試作されている。

立春の前夜には豆まきを行う風習があるが、この送受信機は豆よりも小さい。
豆より小さい送受信機を背景に考えてみる。
 これが実用化されると前のCOGNITIVE RADIO(2)に述べた機器間の電線による配線接続は不要になると予想される。現在のパソコンはプリント配線基板の上にはり廻らされている導線にハンダ付などによって接続されている。半導体素子間をミリ波の電磁波で接続すれば、これらの配線はなくなる。
 まったく配線をなくすとすれば、半導体素子にいかにして電力を供給するかということが課題としてある。しかしこれも光り領域までの電磁波を利用することで可能である。実際のところ、アメリカで商品に添付し普及しているラジオ・タグ(RFID, Radio Frequency IDentification のこと)には電源がなく、外部からの電磁波エネルギーで内部回路を動作させている。プリント基板が不要になると基板上導体の銅とか、重要な接続部分の金メッキなどはなくなるから、貴重な資源が大いに節約できる。

 将来の電子機器は、いま子供のオモチャのレゴのような形態となり、コネクターも電線も要らずに、単に組み合わせることで製品化できること、夢ではなさそうである。
(納)

設計者のおごり?

2010-02-17 18:57:55 | Weblog
 (応)さんも取り上げているが、トヨタのプリウス問題が騒がれている。ブレーキの効き具合の違和感云々もさることながら、不思議なのは、車に組み込まれた制御用コンピュータのソフト(しかも、単なる設定を)を直せば済むというのであれば、どうして初めからそうしなかったのであろうか。これは想像だが、おそらく、新型プリウスを発売する前に、テストドライバーはその違和感に気付いていて注意したはずである(そうでなければ、トヨタのテストドライバーはなんと鈍感かと言うことになってしまう)。にもかかわらず、設計者(あるいは開発担当の責任者)が、これでいいと押し切ったのではないか。そこには、ユーザの気持ちを大事にしない設計者のおごりがあったのではないか。
 以前(2006年4月1日)、私は、車のドアミラーは安全上問題があると指摘し、フェンダーミラーに設計を変えるべきであると主張したが、省みられていない。ディーラーにそのようにしない理由を尋ねたら、格好が悪いからと言うことであった。安全より、格好を重視する設計者(開発担当の責任者)の姿勢にも、安全上大事なことに高をくくるおごりのようなものを感じるのは、シニアのひねくれであろうか。(青)

エキスコン(6) MISDの話題

2010-02-16 11:24:14 | Weblog
さてここまでくるとMISDの話題が残される。Multiple Instruction Single Data、すなわち単一のデータに対して複数処理を扱うスパコンなんて意味があるのだろうか。

 先般、茨木京都大学名誉教授の講演を聴く機会があった。茨木氏はオペレーションズ・リサーチ学会(以下OR学会という)の分野で多くの貢献をしておられる。題目は「汎用ソルバによる問題解決」である。現実の課題は多種多様であり、マンパワーでも処理できないし、コンピュータで処理するにしてもNP困難な壁にぶつかる。
NPとは Nondeterministic Polynomial timeのことで、日本語に訳すと非決定性計算時間である。
計算手順により処理しようとする対象の個数をnとするとき、このnの2乗とか3乗などの多項式で表すことができるものを多項式程度といい、多項式程度では処理できないようなnの階乗、すなわちn!とか、nのn乗の処理回数を要することをNP困難というのである。nが10程度であれば、nのn乗は、100億回程度であるのでパソコンでも何とか処理できそうであるが、nの数が千とか万の数になると、スパコンでも処理困難である。
 いかなるスパコン、あるいは将来出現するであろうエキスコンでも処理できない問題が現実にある。
この課題を汎用ソルバで解決しようとする趣旨である。茨木氏は、NP困難であっても、最適解ではないが現実的に許容できる解が得られる。「近似解を求めるのはNP困難ではない」と説明された。「ただしこれは必ずしも証明されていないが」と茨木氏はつけ加えていた。
そのためにメタ・ヒューリスティックな手法として
•遺伝アルゴリズム(genetic algorithm)
•アニーリング法(simulated annealing)
•タブー探索(tabu search)
•反復局所探索(iterated local search)
•可変近傍探索(variable neighborhood search)
などを用いる。メタ・ヒューリスティックの適切な訳語は難しい。「仁王様のような強大な力をつかって、なんとか問題解決すること」とでも解説しておくことにする。
汎用ソルバとは、これらのアルゴリズムを統合的に包含するシステム・ソフトである。OR関係の学会としてInternational Timetabling Competition 2007で出題された3つの課題にこの汎用ソルバで応募したところ、それぞれ3位、2位、3位を獲得している。揃って3位以上を獲得したのは、茨木氏が主導した汎用ソルバだけであった。

この汎用ソルバは、見方によれば単一の課題を複数のアルゴリズムで解析して、NP困難の近似解を求めると解釈できる。別の視点からすればMISDである。将来を展望すれば、それぞれのアルゴリズムごとにスパコンを構成し、そのスパコンの集合体のエキスコンが汎用ソルバとして威力を発揮する事になろう。茨木氏の言葉を借りれば、NP困難な課題を許容できる時間内で、最適解ではないが許容できる解が与えられる。
様々なアルゴリズムを搭載した多数のスパコンで同一の課題を処理するエキスコン、あくまで想像の範囲ではあるが、米国の政府機関には設置されていて、様々な問題に対処しているかも知れない。
(納)

サイド・ブレーキの位置

2010-02-14 07:47:08 | Weblog
車のブレーキの話題、多くの関心が寄せられているようである。
万が一、あるいは万万が一にもメイン・ブレーキが故障した場合には、サイド・ブレーキに頼ることになる。車がいかに進歩しようとも、このブレーキの二重系は崩れないと信じて疑わない。

しかしここに課題がある。
メイン・ブレーキが故障したとき、カミさんがパニック状態になりサイド・ブレーキのことに気が付かなかったことは前に述べた。思い起こすと、この車のサイド・ブレーキはペダル式の左足で踏みこむ位置にあった。
これはよく考えると安全性にかかわる課題である。

サイド・ブレーキが運転席と助手席の間にある車もある。私は運転初心者に乗せてもらったとき、助手席にいて、いつでもこのサイド・ブレーキを引けるように、手に汗をかきながら握りしめていた経験がある。
サイド・ブレーキは、この位置にあることが優れている。
なんらかの理由により運転手が運転不能状態に陥ったとき、助手席の者が咄嗟の気転で車を停止できる。バスの運転者が高速道路で運転中に失神したとき、乗客の一人がサイド・ブレーキを操作して、事故を未然に防止したというニュースを聞いたことがある。
サイド・ブレーキが運転席の左足ペダルであれば、まずこの咄嗟の気転動作はできない。車の安全性への配慮は、サイド・ブレーキの位置にもある。

サイド・ブレーキの位置は統一規格化され、運転者はメイン・ブレーキが効かなくなったとき、サイド・ブレーキを操作する訓練を重ねておくことは、将来とも必要と考える。
将来のことばかりではなく、いま、貴方が車を購入しようとするとき、この話題が役に立つであろう。
(応)


(続)ブレーキ機構は本当に安全か

2010-02-12 07:51:42 | Weblog
トヨタのハイブリッド車のブレーキ機構について、さらに調べてみた。トヨタが公開している企業情報の研究・技術の中にブレーキ機構の図がある。
図については版権が設定されていると判断するから、ここでは図から読みとれる内容を記述する。
図から見るとブレーキ・ペダルは機械的にブレーキには直接つながっていない。ブレーキを踏むとストロークセンサーによって、ブレーキの動作が電気信号に変換される。この信号はブレーキ制御ECU(コンピュータと思われる)に入力され、ブレーキ・アクチュエーターを制御して油圧ブレーキを動作させる。つまりブレーキ・ペダルの動作は、コンピュータを介して油圧ブレーキをかけているわけである。
ここで気がかりなのは、ブレーキ制御コンピュータが故障したら、ブレーキ・アクチュエーターが動作しなくなり、ブレーキが効かずに「抜ける」ことになりはしないかということである。フェール・セーフ機構になっているのだろうか。
電気的な回生ブレーキは、図から見ると別系統になっている。前回のブログではこの「油圧ブレーキと回生ブレーキを切り換えるのでないか」と書いたが、これは思い過ごしかも知れない。
ホンダに関する記事には、「ホンダのハイブリッド車にはそうした切り換えがなく、ブレーキを踏めば油圧と回生の両系統が利く構造」(広報部)がある。ホンダのブレーキ機構に関しては資料が見あたらないので、コメントできない。

かってカミさんは車を運転していて、ブレーキが「完全に抜けてしまう経験」をしたことがある。その理由は、油圧ブレーキ系統のパイプが破断して、ブレーキ・オイルが流出、ブレーキがまったく効かなくなったことにある。何とか立木に車をこすりつけて停止したそうで、私は後になってから、「サイド・ブレーキを使ったらよかったのに」といったが、カミさんいわく「ブレーキが効かないとき、頭が真っ白になって、そんなことに気がつくわけないでしょ」と逆に怒られてしまった。
最新式の車は、万が一にもメイン・ブレーキが効かなくなることはあり得る。その時はサイド・ブレーキがあることを思い起こすことが教訓としてある。
万が一とは、22万台の新型ハイブリッド車が国内ですでに売れているそうであるから、22台にブレーキ機構の故障があるかも知れないことを意味している。
トヨタの技術陣は、「万が一ではありません。弊社の製品のブレーキ故障率は千万分の1以下です」というかも知れない。そうあってほしいものである。
(応)

新型プリウス、ブレーキ機構は本当に安全か

2010-02-10 07:18:12 | Weblog
私は、最初に発売されたカローラを購入し、それに魅せられて以来、トヨタを愛車にしているトヨタ親派である。
2010年2月9日、ハイブリッド車、新型プリウスなどのブレーキ機構リコールの実施について、トヨタ自動車の豊田章男社長が「品質について ご迷惑をおかけしことに対し、改めてお詫びします」と陳謝したという。テレビによると、ブレーキ機構のリコールは、ブレーキ制御のコンピュータのソフトウェア入れ替えだけで済むといい、その様子の映像が報道されていた。

これを見て、背中に寒気が走った。
電気ブレーキから機械式油圧ブレーキにコンピュータで切換える。その切換のタイミングが社長の言う「ブレーキが抜ける感覚」という。その切換時期をソフトウェアで変更すればいいというのがリコールの内容らしい。
私は、コンピュータにほぼ半世紀にわたってかかわっている。およそ人が設計・製造する機器で故障しないものはない。コンピュータも例外ではないこと、イヤというほど体験している。
ましてやコンピュータのメモリは故障しやすい。ブレーキ制御のコンピュータに書き換え可能なメモリを使うとは何事かというのが、寒気の一つの原因である。メモリの内容は、宇宙線の影響で反転するということを聞いたことがある。アップセットいい、ソフトエラーとして位置づけている。このようなソフトエラー、コンピュータを再立ち上げすることで回復できる。ブレーキ制御コンピュータのメモリにアップセットが起こったとしたら回復可能だろうか。
寒気の理由はまだある。
電気ブレーキから機械式ブレーキに切換える機構、コンピュータの故障を含めて、故障が生じても安全だろうか。切換機構が故障してブレーキがまったく効かなくなることはないか。いわばフェール・セーフ設計になっているかという問である。
ある報道記事によるとホンダのハイブリッド車は、電気ブレーキと機械式ブレーキを切換えることなどはしていないという。ブレーキ機構は二重系であるとみなし得る。その分電気ブレーキの電力回収能力は低いのでトヨタのハイブリッド車より燃費は悪いかも知れない。
トヨタのハイブリッド車のブレーキ機構は一重系でしかも故障に対して弱点があるのではないか。もしこの危惧が正しければ、トヨタの技術力に疑念が重なり、トヨタ製品の今後にも影を落とすことになる。技術的な安全性評価を行った内容を公開していただきたいものである。製造責任にかかわる重大事ではないだろうか。

これを機会に、ハイブリッド車に限らず、製品の安全性については第三者機関による評価があってほしいと考える。世界市場に受け入れられる日本製品、安全性が高いことをブランドの誇りにしたいものである。
(応)

エキスコン(5) SISDの話題

2010-02-07 13:59:05 | Weblog
将来の展望をSIMDとかMIMDのスパコンからSISDのスパコンに向けてみよう。SISD はSingle Instruction Single Dataのことであるから普通のコンピュータである。普通のコンピュータを高速化すればいいというかも知れないが、視点はいささか違う。
「3.14159・・・」で知られる円周率π、スパコンを用いて主計算に400時間かけ、小数点以下約1兆桁まで計算したことを東京大学情報基盤センター(旧東京大学大型計算機センター)の金田康正教授を中心として2002年12月に報告している。現在のπ計算の世界記録となっているという。
ここで提案するSISDは、これ以上の桁でのπの値を計算するSISDスパコンである。普通のコンピュータは64ビットの加減乗除演算しかできない。10進数にすると20桁に満たない。1兆桁の計算をするとすれば、10進数1兆桁の演算器が必要である。普通のコンピュータを用いて、1兆桁の計算をするためにはこの桁数を分割して行わなければならない。おおざっぱにいうと1兆桁の計算をするためには約30億個に桁分割をして、分割ごとに計算することになる。πの計算に時間がかかる理由がそこにある。
仮に1兆桁の演算器を持つスパコンがあるとすれば、この桁分割は必要としないからπの値を求める計算は極めて短時間で実行できる。1兆桁の演算を行う演算器がハードウェアとして今後20年の内に実現できるかどうか。「それは多分無理でしょう」といわれるであろう。現実的には、10進数にして1万桁程度の演算器であろう。長大な演算器を持つSISDに夢として挑戦するのもロマンがある。
そもそもπの値の計算だけにそのようなスパコンを作成していいものだろうかといわれそうである。長大な演算器を必要とする数学的な課題は残されている。その一つには素数に関する課題がある。
2のn乗-1で素数となるものを特にメルセンヌ素数というが、現在のところ47個ほど見つかっているといわれている。素数であるかどうかの判定には、長大な演算器を持つSISDが威力を発揮するであろう。貴重な生データの暗号化に、素数は必要不可欠であるという。
他にも整数論にかかわる課題が多くあると聞いている。
数学での研究にはSISDのスパコンが役に立つといえそうである。
(納)