横浜から大井埠頭にかけての空が私の家からよく見える。ほとんどいつも白い雲がかな
り分厚くたなびいている。はじめあの辺りにいつも不連続線があるのかと思っていたが、
あるとき、沿岸沿いの煙突から白い煙がもくもく上がり、それが上空の雲に溶け込んでい
るのに気づいた。つまり、おそらく火力発電所から排出される高温のガスが上空に滞留し、
それが白雲となっているのであろう。
地球温暖化でCO2 の排出が大きく取り上げられているが、使用エネルギーを得るために
空中に放出する熱量自体も問題にしなくてよいのであろうか。
たとえば電力を創出するために、発電効率によって発電しなかったエネルギーは熱として
放出される。各種発電手段の発電効率は以下のように言われている。
原発: 30% = η(1)
火力発電: 55% = η(2)
水力発電: 80% = η(3)
風力発電: 20% = η(4)
太陽光発電: 10% = η(5)
従って、発電以外のものが熱として空中に放出されるものとして(やや荒っぽいが)放出熱
を計算してみよう。発電量(たとえばkw)を W、発電効率をη、放出熱を H、発電に要する全
エネルギーを E で表せば
W = E × η、 H = E - W = (W / η) - W = [(1 - η)/ η]×W
W = 100 万kW = 10^2×10^4×10^3 = 10^9 W (^はべき乗を表す)とすれば
原発:233 万kW
火力発電:81.8 万kW
水力発電:25 万kW
日本の実際の総発電量2.92 億kW をそれぞれの発電手段単独で創出した場合の放出熱は
原発:6.8 億kW
火力発電:2.389 億kW
水力発電:0.73 億kW
原発は大きな熱量を放出することが分かる。2030 年のエネルギーミックス想定値
γ(1) = 0.21 (原発)
γ(2) = 0.56 (火力)
γ(3) = 0.09 (水力)
を用いれば、全体で
H = [(1-η(1))/η(1)]×W(1) + [(1-η(2))/η(2)]×W(2) + [(1-η(3))/η(3)]×W(3)
={ [(1-η(1))/η(1)]×[W(1)/W] + [(1-η(2))/η(2)]×[W(2)/W] + [(1-η(3))/η(3)]×[W(3)/W] }×W
= { [(1-η(1))/η(1)]×γ(1) + [(1-η(2))/η(2)]×γ(2) + [(1-η(3))/η(3)]×γ(3) }×W
風力発電、太陽光発電は自然エネルギーを使っているので除外。
数値を入れると
= { [(1-0.3)/0.3]×0.21 + [(1-0.55)/0.55]×0.56 + [(1-0.8)/0.8]×0.09 }×2.92 億kW = 2.83 億kW
ほぼ同じ量の熱を放出していることになる。
そこで、太陽光のエネルギーと比較してみよう。
晴天時の太陽光エネルギー:1kW/m2 と言われている。
1 日の日照時間:6 時間
晴天の確率:50%
と見れば、
単位面積当たり実効太陽光エネルギー:1kW//m2 ×6/24×0.5 = 0.125 kW/m2 (これをeと表す)。
日本の陸地面積:約37.8×10^4 km2
日本の陸地全体が受ける太陽光エネルギー:0.125×37.8×10^4 ×10^6 kW
= 4.73×10^10 kW = 473 億kW
日本の総発電量は日本の陸地が得ている太陽光エネルギーの0.598%に相当している。結構な額だ。
熱放出自体も節約しなければならないのではないか。
ちなみに、太陽光パネルに降り注ぐ太陽光エネルギーのうち発電以外のものがすべて空中
に放出されるとすると、単位面積当たりの e と発電効率η(5)を用いて、単位面積当たりの放
出熱h は
h = e - (η(5)×e) = (1 - η(5))×e
Wの発電量を得るための太陽光パネルの面積M は
e×η(5)×M = W ∴ M = W/(e×η(5))
従って、発電量W を得るために太陽光パネルが放出する熱量は
H = h × M = (1-η(5)) × e × W/(e × η(5)) = {(1-η(5))/η(5)} × W
で、前と同じになる。η(5) = 10%、W = 100 万kWとすれば
太陽光発電放出熱: 900 万kW (青)
り分厚くたなびいている。はじめあの辺りにいつも不連続線があるのかと思っていたが、
あるとき、沿岸沿いの煙突から白い煙がもくもく上がり、それが上空の雲に溶け込んでい
るのに気づいた。つまり、おそらく火力発電所から排出される高温のガスが上空に滞留し、
それが白雲となっているのであろう。
地球温暖化でCO2 の排出が大きく取り上げられているが、使用エネルギーを得るために
空中に放出する熱量自体も問題にしなくてよいのであろうか。
たとえば電力を創出するために、発電効率によって発電しなかったエネルギーは熱として
放出される。各種発電手段の発電効率は以下のように言われている。
原発: 30% = η(1)
火力発電: 55% = η(2)
水力発電: 80% = η(3)
風力発電: 20% = η(4)
太陽光発電: 10% = η(5)
従って、発電以外のものが熱として空中に放出されるものとして(やや荒っぽいが)放出熱
を計算してみよう。発電量(たとえばkw)を W、発電効率をη、放出熱を H、発電に要する全
エネルギーを E で表せば
W = E × η、 H = E - W = (W / η) - W = [(1 - η)/ η]×W
W = 100 万kW = 10^2×10^4×10^3 = 10^9 W (^はべき乗を表す)とすれば
原発:233 万kW
火力発電:81.8 万kW
水力発電:25 万kW
日本の実際の総発電量2.92 億kW をそれぞれの発電手段単独で創出した場合の放出熱は
原発:6.8 億kW
火力発電:2.389 億kW
水力発電:0.73 億kW
原発は大きな熱量を放出することが分かる。2030 年のエネルギーミックス想定値
γ(1) = 0.21 (原発)
γ(2) = 0.56 (火力)
γ(3) = 0.09 (水力)
を用いれば、全体で
H = [(1-η(1))/η(1)]×W(1) + [(1-η(2))/η(2)]×W(2) + [(1-η(3))/η(3)]×W(3)
={ [(1-η(1))/η(1)]×[W(1)/W] + [(1-η(2))/η(2)]×[W(2)/W] + [(1-η(3))/η(3)]×[W(3)/W] }×W
= { [(1-η(1))/η(1)]×γ(1) + [(1-η(2))/η(2)]×γ(2) + [(1-η(3))/η(3)]×γ(3) }×W
風力発電、太陽光発電は自然エネルギーを使っているので除外。
数値を入れると
= { [(1-0.3)/0.3]×0.21 + [(1-0.55)/0.55]×0.56 + [(1-0.8)/0.8]×0.09 }×2.92 億kW = 2.83 億kW
ほぼ同じ量の熱を放出していることになる。
そこで、太陽光のエネルギーと比較してみよう。
晴天時の太陽光エネルギー:1kW/m2 と言われている。
1 日の日照時間:6 時間
晴天の確率:50%
と見れば、
単位面積当たり実効太陽光エネルギー:1kW//m2 ×6/24×0.5 = 0.125 kW/m2 (これをeと表す)。
日本の陸地面積:約37.8×10^4 km2
日本の陸地全体が受ける太陽光エネルギー:0.125×37.8×10^4 ×10^6 kW
= 4.73×10^10 kW = 473 億kW
日本の総発電量は日本の陸地が得ている太陽光エネルギーの0.598%に相当している。結構な額だ。
熱放出自体も節約しなければならないのではないか。
ちなみに、太陽光パネルに降り注ぐ太陽光エネルギーのうち発電以外のものがすべて空中
に放出されるとすると、単位面積当たりの e と発電効率η(5)を用いて、単位面積当たりの放
出熱h は
h = e - (η(5)×e) = (1 - η(5))×e
Wの発電量を得るための太陽光パネルの面積M は
e×η(5)×M = W ∴ M = W/(e×η(5))
従って、発電量W を得るために太陽光パネルが放出する熱量は
H = h × M = (1-η(5)) × e × W/(e × η(5)) = {(1-η(5))/η(5)} × W
で、前と同じになる。η(5) = 10%、W = 100 万kWとすれば
太陽光発電放出熱: 900 万kW (青)