炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

類似点・相違点

2017-05-28 17:01:39 | Weblog

 トランプは何か不利な状況になると相手を口汚くののしり、自分については、これまで誤った発言をしていても、話を摩り替えたり頬被りで、訂正も謝罪もしない。このような態度はどこかの政権首脳の連中と驚くほど似通っている。お互い、馬が合うと認め合うのもうなずける。

 ところが議会となると彼我の違いが際立つ。担いでいるトランプに不利かもしれないのに、与党共和党は事実関係を明らかにするためと証人喚問をしようとしている。これに対して、どこかの国では「政治の本質ではない」などと訳の分からぬ理屈を言いたて、事実関係をうやむやにしようと証人喚問を拒否している。事実関係を明らかにすることを逃げながら、一方ではトランプ流に、相手の人格を貶めようと躍起になっている。これこそ本質的ではない攻撃ではないか。

 どこかの国の政治倫理意識は100年も前のままだ。誤魔化せばよい、論理などは脇に置いておき数で押し切ればよい、と言った政治は終わりにしようではないか。(オリ)


「Fake News」と言うコトバの乱用はどこかの国だけではない

2017-05-18 18:20:07 | Weblog

 かつて私は「Fake News」と言うコトバの乱用はどこかの外国のことと思い、その悪弊を批判した。ところが、この乱用は外国のことだけではないようだ。わが国でも意図的にこのコトバを撒き散らしているものがいると言う。愕然とする。

  わが国でも貧富の格差が拡大し、さらには戦争国家に進みそうで、未来に対する明るい希望が見出せない。それどころか、現在の状況はまるで闇の中にいるようだ。隠蔽工作がまかり通っているからか、うやむやが蔓延している。

 敗戦直後、小学6生だった私は生活に窮したが、これからは日本はよくなるという希望はあった。戦後70年で日本は何故こんな社会になってしまたのか。あのときの私の希望は打ち砕かれ、いまや落胆のどん底だ。(Bob)


エントロピーとは(17)  -準静的のしばりを解きたい-

2017-05-12 09:21:39 | Weblog
熱学の教科書には、準静的という用語が最初の段階で遭遇する。
なんと、きちんとした定義はなされていないのである。熱が均等になるまで待ち、また摩擦熱が生じないようにゆっくりと静かにことを運ぶという概念であって、具体的な条件はない。つまり準静的という用語の科学的根拠はないのである。長年にわたり科学的な仕事に関与した筆者は、このような漠然とした条件の設定には馴染まない。

その原因は何であろうかと考える。
第一に思いつくのはカルノー・サイクルによる原因である。当時の熱機関に関して、いかなる原理に基づいて動力がもたらされるかを明らかにするためにカルノーが提案した熱機関のモデルがカルノー・サイクルである。高い温度の熱源と低い温度の熱源を想定し、その温度差によって運動エネルギーがもたらされることを理論的に明らかにする目的があった。いまだに熱力学のしかるべき教科書に引用されている。
カルノー・サイクルには熱源での温浴という概念がある。熱源は無限の熱容量を持ち、熱機関はその温浴に浸って、温浴と等温になりながら体積を増大させて、その体積増大により外部に運動エネルギーとして作用させる。気体媒体が熱源と温度が等しく、平衡状態となるようにゆっくりと動作する。
この状態推移を準静的とよんでいる。

熱学の歴史をひもとくと、クラジュウスはこのカルノー・サイクルを元に熱エネルギーから運動エネルギーへの変換の理論的な解明のために、エントロピーを提唱したといえる。つまりエントロピーの定義は、準静的という「しばり」の元に提起されている。
このことから、次に思いつくのは、この温浴状態には時間的概念が欠如していることである。すべての物体は、温浴に浸っても自身が持っている温度から無限の熱容量を持つ熱源と接して平衡状態となるまでには熱伝導による時間がかかるはずである。
準静的という概念には時間的概念がない。
熱学には時間的な推移は考えていない。熱学の歴史を辿るとオイラーが冷却に関する論文を書いているようであるが、完全に無視されている。
無視されている理由は準静的という概念に反するからである。
いま、教科書に書かれている熱学の理論に時間的要素を取り入れれば、熱学に関わる書物は、ほとんどすべてにわたって書き改めなければならないであろう。
しかしながら、エネルギー危機が叫ばれている人類にとって、熱学の準静的のしばりを解き、新たな熱学の展開を若き後継者に託さなければならない、といいたい。

時間的概念は運動エネルギーの学問分野では扱われている。
また電気エネルギー、光を含む電磁波エネルギーを扱う学問分野では、時間的概念は必要不可欠である。筆者は時間的概念の環境の中で過ごしたこともあって、準静的という概念に浴することはできない。
熱学から準静的というしばりを取り除いたらいかなる展開がもたらされるであろうか。
楽しみである。
(応)

エントロピーとは(16)-カルノー・サイクルの再考-

2017-05-06 21:12:04 | Weblog

カルノー・サイクルについては、このエントロピーとはシリーズ(10)で来歴と課題について記述している。ここではさらに新たな定義によるエントロピーを用いて、カルノー・サイクルの状態変化を解析する。まずは前回使用した図を再掲する。

 

前回も述べたようにカルノー・サイクルに相当する熱機関は現実には存在しない。カルノー・サイクルのような熱機関が絶対に実現しないとまではいわないが、もし実現したとしても恐ろしくスローにしか動かない機関である。カルノー・サイクルはいわば可逆変換可能な仮想モデルである。

曲線A-Bは等温膨張を表し、この間は膨張に従って仮想気体は温度が低下するが外部から200℃の温浴によって熱エネルギーが供給される。つまり気体そのものは仕事をしないともみなすことができる。気体の内部エネルギーの変化はなく、外界からの熱エネルギーの供給によって仕事をすると書かれた高等学校物理の教科書がある。一般の成書ではここでQ+の熱エネルギーが供給されると説明される。供給された熱エネルギーは、気体の膨張に伴う力学的な仕事に変化する。

まずカルノー・サイクルにかかわるエントロピーの再考にあたり少しばかり、議論の前提となる事項を述べる。

・熱から運動エネルギーへの変換

運動エネルギーから熱エネルギーへの変換は、ジュールが液体をかき回して発熱することから確認されている。しかしこの逆に液体を使って熱エネルギーから運動エネルギーを引き出す試みが行われた形跡はあるが、いまだに実現していないようである。

現在は、熱エネルギーから運動エネルギーへの変換は、すべてにわたり気体が担っている、といえるであろう。気体が熱と運動エネルギーの変換を行うのは、気体の体積の膨張と圧縮である。この膨張と圧縮を支えるのが気体の圧力である。圧力が外圧より高ければ気体は膨張し、低ければ圧縮する。熱エネルギーの量の大小とは関係がないことに注意したい。

・気体の膨張・圧縮と熱の関係

気体の膨張と圧縮には熱温度の変化がともなう。気体を外部から圧縮すると発熱する。これは圧縮する運動エネルギーが気体を構成する分子の活動領域が狭まることから、分子間の衝突が激しくなるから、と説明されている。

気体を膨張させると冷却される。これは膨張により気体内部の分子の活動領域が拡大し、より活発な分子運動のために熱エネルギーが運動エネルギーに変換される、と説明されている。

この変換能力と変換速度は、気体ごとに異なることから、熱学では理想気体をモデルにして理論的な取り扱いをしている。

・カルノー・サイクルにかかわるエントロピー

カルノー・サイクルの熱と運動エネルキーにエントロピーがどのようにかかわるか提示するにあたり、すこしばかり前提を述べる。

体積V、圧力P、温度Tはそれぞれ明示変数であり測定可能である。ここで前回の提示を元に温度Tの大きさにより熱エネルギーの担い手となる媒体をエントロピーSとしよう。エントロピーSは直接測定できないから誘導変数である。

さらに直接測定できない誘導変数として、Wを運動エネルギー

W=P・V

とし、Qを熱エネルギー

Q=S・T

とする。WとQは共にエネルギーの量である。

ここでカルノー・サイクルは可逆変換可能と想定するので、仮想気体の状態式はW=Qとして次式を用いる。

P・V=S・T    ・・・ ①

これを元にした微分式を参考までに示すと次式で与えられる。

dW=dQ=P・dV+V・dP=S・dT+T・dS   ・・・ ②

ボイル・シャルルの法則は、式①に1モルあたりの気体定数RによりS=Rとし、法則の持っている物理的な意味、すなわち外部からのエネルギーの供給・除去はないような孤立した系での状態式であることからWとQの誘導変数は除外して、明示変数のみによる次式が得られる。

P・V=R・T

気体定数Rは1モルの温度Tに変換する運動エネルギー単位Jであり、8.31 J/モル・Tである。以下のカルノー・サイクルの検討にあたり、気体の規模は1モルと仮定する。

・等温膨張における状態変化(曲線A-B)

この曲線A-Bの区間では、仮想気体が外部に存在を仮定する温浴環境Tに浸って、準静的に状態が推移すると仮定している。気体が激しく運動すると発熱、あるいは冷却が生じるから、対流運動などは想定しない。

A点の圧力と体積をP、VとしB点での圧力と体積をP、Vとしよう。

細部にわたる計算式については専門書に譲り、曲線A-Bの区間での外部への運動エネルギーの伝搬量WABは次式のように誘導される。

AB=QAB=-R・T・log(V/V)=-T・SAB    ・・・ ③

-の記号は、仮想気体の外部に向かって運動エネルギーとして移動することを示す。logは自然対数関数である。この式③の最左辺と最右辺から WAB=-T・SAB を導出すると運動エネルギー量の移動は、環境温度Tの指示する大きさのもとにエントロピーSABが担うという物理的な現象を示している。

この式⑤から曲線A-Bの外部への仕事を行った運動エネルギーの量は

AB=-R・T・log(V/V

であり、エントロピーは

AB=R・log(V/V

で与えられる。

再度にわたる説明になるが、高温温浴の温度TのもとにSABのエントロピーがWABの運動エネルギー量の外部に対して運び役となっていることが明確である。

これまでの図書ではカルノー・サイクルのエントロピーは必ずしも明示されていなかったことを指摘しておきたい。図書によっては「B点で突如としてエントロピーが発生する」と書かれているのもある。実際のところエントロピーは、体積Vの値によりR・log(V/V)と徐々に増大している。 

断熱膨張における状態(曲線B-C)

この状態変化では、気体膨張のための仕事エネルギーは仮想気体自身が負担するから、仮想気体は冷却して100℃に低下させる。断熱状態での温度の変化は体積の変化による運動エネルギーへの変換に伴い、気体の内部エネルギーの変化となる。この変化を表す微分式を参考に次に提示する。

dW=P・dV=R・T・dV/V および dQ=C・dT  ・・・ ④

ここにCは、気体の断熱状態での熱エネルギーの体積熱容量である。断熱での状態変化であるから外部との運動エネルギーの交換は内部の熱エネルギーの変化dQによって外部へ運動エネルギーdWを与える。したがってdW+dQ=0である。

細部にわたる計算式は専門書に譲り結果のみを提示すると

BC=-C・(T-T)    ・・・ ⑤

であり、曲線B-C間のエントロピーSBCは、気体の断熱・圧縮の体積熱容量C の一定値で与えられる。つまり断熱で気体が膨張するために、気体自身が保有している熱エネルギー量を温度差が生じる分に応じて放出していることを⑤式は示している。

断熱膨張での体積変化については、気体定数RとCにより次式で与えられる。

(V/V=(T/TCv 

温度の変化TからTの冷却に反比例してB点での体積VがC点の体積Vに増大することがわかる。 

等温圧縮における状態(曲線C-D)

この状態変化は低温100℃の温浴の中で圧縮する様子が示されている。温度Tの低温浴の中で気体は圧縮される。つまり外界から圧力を加える仕事があるから仮想気体は発熱する。その発熱を低温浴で吸収しながら圧力を加える準静的に仕事を続ける様子が曲線C-Dに示されている。この状態変化では発生する熱エネルギーを捨て去ることから、エントロピーを減少させると書かれた図書とかインターネットの記事があるが、加圧による運動エネルギーから変換された熱エネルギーの放出が行われていると解釈した方がよい。

この状態は、等温膨張の場合と同じようにして、曲線C-Dにおける外部から圧縮のために受けた運動エネルギーWCD

CD=QCD=R・T・log(V/V)=T・SCD  ・・・ ⑥

であり、エントロピーSCD

CD=R・log(V/V)  ・・・ ⑦

で与えられる。 

断熱圧縮における状態(曲線D-A)

この状態変化は100℃等温浴からの断熱圧縮を示している。ここでは断熱圧縮のために運動エネルギーを必要とする。

DA=C(T-T)  ・・・ ⑧

とD-A間の圧縮のために必要な運動エネルギーが導出される。

B-C間の膨張で得られる運動エネルギー

BC=-C(T-T

であるから相殺されると説明できる。エントロピーは断熱膨張と同様に体積熱容量Cである。

曲線B-Cにおける体積の変化は、曲線B-Cと同様にして

(V/V=(T/TCv

である。温度の変化TからTに温度が高くなることに逆比例して体積が圧縮されることがわかる。 

カルノー・サイクルの仕事量と効率については、優れた専門書に細かく書かれており、ここでは次に結果だけを示す。

外部への仕事量は

=-R(T-T)・log(V/V)  ・・・ ⑨

と導出されて、温度差T-Tと体積変化率(V/V)によって与えられる。低温温浴Tでの曲線C-D間でも体積変化率は高温温浴Tに等しい。 

式⑨から外部に移動する運動エネルギーは温度差(T-T)によりエントロピーとしてのR・log(V/V)の伝導媒体により熱エネルギーが変換されていることが示される。

効率ηは

η=(T-T)/T

と温度差T-Tを高い方の温度Tで除した値となる。一般に熱機関は温度が高いほど効率がよいといわれる根拠となっている。 

・クラジュウスの定義によるカルノー・サイクルのエントロピーとの差違

クラジュウスのエントロピーSの定義によれば③式から

AB=QAB/T=R・log(V/V

一方⑥式から

CD=QCD/T=R・log(V/V

となり、V/V=V/V

であるから

CD=-R・log(V/V

となり、次式が成立する。

AB+SCD=0

クラジュウスのエントロピーの定義にしたがえば、カルノー・サイクルにおいて系としてのエントロピーは0であるから、その増大あるいは減少もない。さらにクラジュウスの定義をもとにして考えれば、同量の熱エネルギーは温度によって変動、つまり同量のエネルギーについていえば低温になるほどエントロピーは大きくなることを意味している。

ここで提示したエントロピーの定義は、熱エネルギーの容量媒体とした誘導変数であるから、温度Tと直接的な関係はない。以上のように、③式と⑥式、さらに体積熱容量Cとしてエントロピーとして定義できることをカルノー・サイクルのモデルにより明らかにした。

クラジュウスの定義したエントロピーとは異なる誘導変数としての試みを、ここで提示した。

(応)