居間の薪ストーブの辺りでコトリと音がする。ストーブの周りには何もない。物が落ちたような様子もない。その辺で音が出るわけがない。ひょっとしたら、枯れ枝を詰めた小箱の中に小動物でも入り込んでいるのかも知れない。
放っておくのも気味悪いので、そっとストーブに近づき、脇の扉をあけて中を覗き込んでみる。暗い。が、目を凝らすと何かいる。そこで、今度は正面の扉を注意深く細めに開ける。小鳥だ。扉近くの桟につかまり、動かない。じっとこちらを見ている。暗い中で小さな目が光っている。あわてて、扉を閉める。そうか、家の外に突き出ている煙突から墜落したのだろう。
さてどうしたものか。明日はストーブを燃やさなければならないので閉じ込めておくことは出来ない。第一、そのまま餓死させるのも気がとがめる。妙手はない。
仕方がないので、居間からベランダに通じるドアを開け広げ、ストーブ正面の扉をもう一度そっと開ける。と、突然、ぱっと飛び出した。激しい羽音だ。広く開けたドアの空間ではなく、ドアにばたんと体当たりしながら、ドアと柱の狭い隙間をすり抜けて庭に飛び立っていった。一瞬のうちだが、小鳥はシジュウカラであることを目撃した。よかった。
気が落ち着いたところで、数年前にもストーブの中から小鳥が飛び出したことを思い出した。そのときは事前に何の兆候もなく、妻がストーブを焚こうとして前の扉を開けたらいきなり飛び出したのだ。妻は思わず悲鳴を上げる。このときは更に困った。居間の天井近くを飛び回る。庭へのドアを開けてもなかなかそちらに向かない。
なんとか向かわせようと捕虫網の竹竿を振り回すのだが、逃げ回るばかりだ。そこで一計を案じ、竿を振り回し続け、小鳥を疲れさせる。その効果が出て天井の柱に止まることが多くなった。頃あいを見て、そっと網を近づけ、ついに捉えることができた。そのまま庭に出て、小鳥を開放する。喜びに溢れるように、勢いよく飛んでいった。(青)
放っておくのも気味悪いので、そっとストーブに近づき、脇の扉をあけて中を覗き込んでみる。暗い。が、目を凝らすと何かいる。そこで、今度は正面の扉を注意深く細めに開ける。小鳥だ。扉近くの桟につかまり、動かない。じっとこちらを見ている。暗い中で小さな目が光っている。あわてて、扉を閉める。そうか、家の外に突き出ている煙突から墜落したのだろう。
さてどうしたものか。明日はストーブを燃やさなければならないので閉じ込めておくことは出来ない。第一、そのまま餓死させるのも気がとがめる。妙手はない。
仕方がないので、居間からベランダに通じるドアを開け広げ、ストーブ正面の扉をもう一度そっと開ける。と、突然、ぱっと飛び出した。激しい羽音だ。広く開けたドアの空間ではなく、ドアにばたんと体当たりしながら、ドアと柱の狭い隙間をすり抜けて庭に飛び立っていった。一瞬のうちだが、小鳥はシジュウカラであることを目撃した。よかった。
気が落ち着いたところで、数年前にもストーブの中から小鳥が飛び出したことを思い出した。そのときは事前に何の兆候もなく、妻がストーブを焚こうとして前の扉を開けたらいきなり飛び出したのだ。妻は思わず悲鳴を上げる。このときは更に困った。居間の天井近くを飛び回る。庭へのドアを開けてもなかなかそちらに向かない。
なんとか向かわせようと捕虫網の竹竿を振り回すのだが、逃げ回るばかりだ。そこで一計を案じ、竿を振り回し続け、小鳥を疲れさせる。その効果が出て天井の柱に止まることが多くなった。頃あいを見て、そっと網を近づけ、ついに捉えることができた。そのまま庭に出て、小鳥を開放する。喜びに溢れるように、勢いよく飛んでいった。(青)