炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

四半世紀の進歩

2009-04-10 13:31:47 | Weblog
 およそ25年前に(正確には1982年)、Tさんがある新聞に書いた未来予想の文章(電波新聞1982年1月7日号、“マイコン夢譚”)を、最近、見て驚いた。予想がほとんど当り、克服しなければならないとされた技術課題がほぼ解決されているのだ。将来への見通しが的を得ていたことにも感心するが、技術課題を克服した人々の英知に敬意を表したい。
 全体的には、インターネット社会の到来を述べているのだが、具体的論点をいくつか示すと、次の通りである。
<発展>
①MicrocomputerからMy computer(すなわち、PC)+ ネットワークへ:現在のインターネットの世界として見事に結実。
②ネットによる遠隔通勤:SOHO(Small Office/Home Office)が浸透。
③ネット教育:インターネットで教育する大学がアメリカのみならず、日本でも生まれた。スタンフォードなどの主要大学の、computer science関係の修士課程の学生の多くがネットで勉強していると言う。
④電子図書館。IEEE Computer SocietyのDigital Libraryほか、日本の学会でも電子図書館がすでに稼動している。大変便利だ。
⑤電子書籍:すでに販売されている。
⑥新聞、放送の電子化:この頃、新聞はほとんど買わない。インターネットニュース(ドキュメントだけでなく、リアル音声のラジオもある)で事足りる。
⑦鉄道会社はレジャー志向へ:論じられているいくつかのうちで、これは見事に外れた。通勤ラッシュが依然として変わらないのは何故だろうか。
<解決しなければならなかった課題>
①ネットワーク交換の高効率化:パケット交換として解決。これはディジタルの特性を活かしたすばらしい技術だ。
②通信回線の高速化:光ファイバー網の幹線、同軸ケーブル、ADSLなどの導入などによって解決。次世代のケータイはさらに高速化。
③実用規模のデータベースおよびそのマネジメントシステム(DBMS)の構築:Googleなどのすばらしい検索システムが実用化。すでに多くの人がその恩恵を享受している。
④最適なPCのアーキテクチャ:ネットワークを介したソフトウエアサービスやcloud computingの環境に適したPCの機能のあり方が検討され始めている。
⑤法的規制の開放:詳しくはないが、通信の多様化、参入の自由度などが許容され、改善が進んだのではないか。
⑥Dependability:ハードウエアの技術的進歩は著しいが、ソフトウエアのdependabilityやいわゆるサイバーアタック対策は未だ不十分だ。

 当たるにしろ当たらないにしろ、将来の予想を立てることは大事だ。当たれば、考えが妥当であったということで自信になるし、当たらなければどこが間違っていたかを知り、反省の手がかりを得る。この頃は、いわゆるロードマップを描くということが盛んに行なわれるようになったが、歓迎したい。予想とその結果がどうなったかと言う対比を見るだけでもなかなか面白い。
 ところで、これからどうなるかということになると、さっぱりイメージが湧かない。私のイマジネーションが衰えたか、社会の変動がカオス的で、安定的な予見がむずかしくなったということであろうか。大げさに言えば、お先真っ暗と言う感じしか残らない。皆さんはどのように予想されますか。(AO)

想い出の言葉集

2009-04-06 08:44:29 | Weblog
 認知症の母親のために作成した「想い出の言葉集」が届けられた。
作者の了解を得たので、その一つをここに紹介する。

コンニャクは腹の砂払い
母ちゃんは「コンニャクは腹の砂払いで体に良い」と言ってコンニャクの煮物を作ってくれました。私はこれを食べた後、いつもお腹から砂が出てくるか自分のお腹を見ましたが、出てきませんでした。

認知症の母親は、これを読むたびに、にっこりと微笑んだそうである。食事をしたことさえ忘れるのに、子供の頃のエピソードははっきり憶えている。
ほほえましい光景が目の前に浮かぶ言葉集である。
(脳)