炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

子供が壊れる

2013-07-27 18:07:00 | Weblog
 中学から高校に入った孫二人が相次いで故障した。息子の方の孫は足首と腰を痛め、娘の方の孫は膝だ。医師のアドバイスに従って、正規の体育授業の運動も、許しを得て自粛している。しかし、これは本人たちにとって心理的な負い目になっているようだ。
 二人とも病弱体質ではなく、中学時代までは元気に動き回っていた。それが、いずれも(別々の)高校に入り、運動系の部活に加わった途端の故障だ。こうも相続くと、何か一般的に、部活の活動状況に問題があるのではないかという気もしてくる。部活が大変だとこぼしているのを二人から聞いたこともある。
 実情を知らないので、的外れかもしれないが、中学時代から運動系の部活に加わり、体を鍛えてきた子供にレベルを合わせ、勝利至上主義から、成績を上げようと、部活の目標を高いレベルに設定しすぎている嫌いはないのであろうか。高校時代の部活としては、新たに加わった子供たちのレベルにも配慮し、全体として、過酷にらない様に適切に取り仕切る指導者を望みたいものだ。
 大変なら部活から抜ければよいではないかと、我々大人は考えるのだが、子供の心理として、途中からの辞退には敗北感を持つようだ。そこで無理してでも続けてしまう。
 体育の授業に、必修科目として、剣道、もしくは、柔道を導入することが検討されている。しごきに偏らない、バランスのとれた判断力を持ち合わせた指導者が足りているのだろうか。(青)

文明機器の凋落化

2013-07-26 12:54:41 | Weblog
 最近、故障した文明機器を買い換えたが、その時の感想を書きとどめたい。
 一つは、エアー・コンディショナー、いわばエアコンであり、いま一つはハイビジョン・テレビである。いずれも日本の大メーカーの製品であり、保証期間を過ぎて故障したが、気に入っていた製品なので修理をすることを考えた。
 しかし故障修理するとすれば、高価な修理費用がかかり、むしろ新品を購入した方がよいと思わせるほど新品価格が安い。しかもこれまで親しんでいた日本国の大メーカーの製品である。エアコンもハイビジョン・テレビも新しい日本国の大メーカー国産製品と思いこんで新規に購入した。

 ところが届いた製品は、日本国内の大メーカーのブランドがついてはいるが、Made in Chinaと明確に記載されている。いずれも安価である理由は製品が届いて判明した。これらの製品を使いはじめて、文明機器の凋落をヒシと感じたのである。
 いずれも、できる限り安価にするための限りない努力が中国国内で行われたことは明らかである。エアコンは日本国の大メーカーにはふさわしくない粗雑なプラスチック外装であり、製品の機能もこれまでの至れり尽くせりの機能は単純化され、部屋の中が冷却しさえすればよいというエアコンとなっている。
 ハイビジョン・テレビも音響効果が甚だしく凋落している。背面の様々なコンセントも必要最小限になっているから、これまで接続していた外部録画機器などの接続に支障をきたしている。リモコンも何となくやぼったい。
 簡単な表現をすれば、グローバリゼーションの波風として中国大陸の文明機器と日本の文明機器は同一レベルになりつつあるといえる。凋落する文明機器の信頼性も疑わしい。いま、ある家電販売店の保証に加入すれば、一定期間の故障には対処できるが、その期間を過ぎて故障を起こした場合は、ふたたび安価な製品を購入することになりそうである。その時の製品はメイド・イン・ミャンマーかなという思いがよぎる。

 日本の工業製品は、極めて高い信頼性を誇っていた。
しかしながら戦後のある時期には、欧米諸国の模倣のもとに製品の製造を行った。模倣にとらわれて、必ずしも信頼性はよくなかった。メイド・イン・ジャパンという表現は安物で、しかも信頼性が低いことを意味していた。アメリカのお笑い芸人が「メイド・イン・ジャパン」というギャグを入れると観客が笑い転げる様子がテレビに映し出されたことを憶えている。東京オリンピック以前の時代であった。
 そのギャグを全く別の意味に変え、信頼性の高い製品の製造を行うことができるようになったのは、日本の素晴らしい信頼性にかかわる技術者の日夜をわかたない努力の結果である。その貴重な技術的資産は、他国での生産技術に導入されているであろうか。

 中国の長春のある食堂で、当地に滞在し衣服縫製の技術指導をしているという日本人に話しを聞いたことがある。その日本人は、まず環境の整備と清掃を指導したそうである。現地の職人からは、清掃作業が製品の製造にどのように結びつくかと詰問されたという。環境整備に関わるヒマがあれば、その時間を製品製造にかけた方がよいというのが言い分である。ホコリだらけの乱雑な環境で、優れた衣服の縫製ができるはずがない、とその日本人は答えたそうである。

 文明機器の凋落は、今回の参議院選挙で国会のねじれ状態を解消した自民党政権、アベノミクスの政策で改善されるであろうか。実態の伴わない仮想的な経済政策だけでは、これを阻止することはできないであろう。日本経済の本質的な実態を取り戻すばかりではなく、より昂進した経済実態をかもし出す政治を期待したい。
(応)

原野商法のこと

2013-07-22 10:50:51 | Weblog
 原野商法とは、ほとんど無価値に近い北海道の原野を紙上で適当に線引きし、その分筆された土地を高値で売りさばく、1970年代に発生した詐欺的な商法である。
 すでに高齢の域に達し、旅立ちの支度を始めているある知人から、その原野商法に巻き込まれて購入した土地の相談を持ちかけられた。
 当時の広告は、女性刊行誌に掲載され、将来は新幹線が施設される等の誇大広告が行われたらしい。残された文書には、「これが最後の物件です」との添え書きもある。知人は、物件を見ないまま、細分化された原野の一部を購入したという。

 最近北海道を訪れる機会があり、知人から依頼された物件を現地で確かめるために訪れた。その土地は図面上では数百坪はあるはずであるが、境界標も設置されていない。このあたりであろうと思われる場所は10メートル程の標高差がある不整地である。その近くには平坦なジャガイモ畑が拡がり美しく花を咲き競う景観が広がる。
 開拓に当たり不整地を避けて開墾した残りの場所を悪徳業者が安く買い取り、これを紙上で分筆して、数百倍以上の価格で販売し、大儲けをしたのに違いない。明らかに詐欺商法である。しかし、そのことで訴訟を起こすことは、多分不可能であろう。

 さて、高齢の知人にどのように説明すればよいか。
この原野商法に巻き込まれた方々は残された書類から類推すると多数ある。いまこれらの土地を再販売するとなれば、購入価格にみあう金額にしたいと持ち主は考えるに違いない。すでに40年以上経過しているが、現在の価値は当時とほとんど変わらないから、購入価格の数百分の一になる。すでに他界された持ち主もあろうが、存命の持ち主はいまの価格で手放すことは考えられない。
つまりは放置されたままになる。数百年後もそのままであろう。

 考えあぐんでいたとき、この説明を聞き終わった家人の一人は「大自然は残るよ」という。
 確かにそうだ。
北海道の土地を外国人が買いあさっているとも聞く。原野商法で販売された土地を外国人が買いあさることはできないであろうから、自然原野のまま末代まで残るであろう。
悪徳商法が残した功徳であると依頼された知人にはその顛末を語り、多額の資本を投下して自然を残す貢献をしたと諭すことにしたい。
(納)

嘘をついても許されるといったのはルーズベルトか。

2013-07-03 21:30:04 | Weblog
 政治家は嘘ついても許されるといったようなことを臆面もなく言ってのけたのはルーズベルト大統領であったか。今に始まったことではないが、日本の政治家もその時々に応じていい加減なことを言っている。
 大規模な金融緩和を半ば強制して、日本円が下落し、株価が上がると、「株価が上がることは景気によいことだ」と自画自賛し、更に、「経済は気分しだいですよ」といい加減な期待感を煽るようなことをいう人まで現れた。しかし、2ヶ月もたたないうちに株価が下落したところ、「株価についてはコメントする立場にない」という。財政担当の政治家は、「株が上がれば年金もよくなる」などとうまそうな話をしていたが、株価が乱高下すると「株は上がったり下がったりするものですよ」などと自分とは関係がないと言いたげだ。
 日本円が下がり輸出産業は一見潤っているようだが、早稲田大学の野口教授による(2013年1-3月頃の)分析によれば、評価額が上がっただけで、物の生産量そのものはそれほど増えていないし、設備投資も目だって増えていないので、実体経済はまだそれほどよくなっていないと言う。食料品その他の価格が上昇して庶民の生活を直撃すると、「景気指標を上げることと物価上昇を抑える妙案はないのですよ」などと言う。金融緩和で日本円が下落すれば輸入品の価格が上昇するという副作用があることは、在野の評論家がつとに指摘したことではなかったか。
 日銀の国債購入による金融緩和で、国債の金利が上がり、だぶつく投機資金で金融マーケットが不安定になることもはじめから懸念されていて、実際にもそのような動きになっているようである。
 政治家の言うことより、在野の評論家の指摘のほうが確かなように思えるのに、その批判が政治の中枢に届かないようだ。経済成長戦略にしても、かっこよい文字だけが踊っているだけで、具体的内容を示せないでいる。財政再建や、消費税増税をどうするといった、指摘される多くの懸念に対して、政治家はまじめに答えていない。
 与党も野党も、選挙目当ての論点のぼやかしや、問題の先送りをしてはならない(成長戦略の第4の矢も選挙が終わったら提示するのだそうだ)。いい加減な「気分」に乗った政策手法はとるべきではなく、空威勢の吹聴もすべきではない。地道な政治をして欲しい。(ボブ・ニールセン)