炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

ネコの爪 -Amazon Herb-

2010-10-31 09:49:09 | Weblog
我が家の戸棚に前から気になっていたものがある。
それは大きな薬の瓶で、ラベルにはCat’s Claw と表示されている。当初はネコのための食料かなと思っていて気にもとめなかった。そもそもどうしてこの様なものが戸棚にあるかもよくわからない。どうやら娘の友人から届いたものらしい。それも海外滞在の永かった友人なのか、あるいは外国の友人かもわからないという。
ラベルの英文を読んでもよくわからない。原材料はCat’s Clawとだけ示されている。健康増進剤であるが、服用にあたっては医者と相談すること、妊娠中の女性は用いないこと、異常を感じたら服用を中止すること、などの注意書きがある。

知らないことは調べるという、「こだわり」の性癖からインターネットで調べてみた。わかったことは、南米の原住民が古くから薬用として用いたCat’s Claw(学名Uncaria Tomentosa)という植物を乾燥したものが原材料である。ネコの爪とは植物の茎の側から出ている枝根から名付けられているという。漢方薬になぞらえれば南米方薬である。

健康増進剤というが薬効も気になる。
次に主としてインターネットの「アマゾンハーブ」の中からネコの爪と呼ばれている南米方薬の薬効を引用するが、さらに詳しい内容について興味がある方は、これに直接アクセスして頂きたい。
その一つは免疫力の増進らしい。従って免疫不全症のエイズに効くとして服用されている。南米方薬として原住民が用いたのは、喘息、尿道炎、肝臓の能力増進、傷薬、関節炎、炎症止め癌治療などである。
最近の研究では、細胞を若返らせる作用も報告され、胃炎、潰瘍、癌、リューマチ内臓系の不調に効果があり、また別の報告では、痔病、下痢、アレルギー性疾患などにも効果があるという。
原住民は避妊薬として大量に服用していたということから、Cat’s Clawの英文ラベルには、これから子供を欲しい方とか、妊娠中の女性は服用しないようにという注意書きがあることは理解できる。
またインターネットの英文資料には、Cat’s Clawの副作用としてアレルギー症を増進することもあると書かれている。
成分については、最近の研究結果から数種類のアルカロイドが検出されており、これらの作用で免疫作用が増進されていることがわかったという。アルカロイドには、モルヒネとかコカイン、煙草の中に存在するニコチンなどもある。かって若年のころアルカロイドについて興味を持って調べたことがあり、その記憶を辿るとアルカロイドとは、炭素化合物だけではなく窒素化合物が有機成分として存在する総称のことをいう。

いずれにしても現在「ネコの爪」は日本の薬局には見あたらない。自己責任のもとに個人的に入手する他はないであろう。医者に相談したら「そんなよくわからない健康増進剤はやめておきなさい」と忠告されるであろう。はてさて我が家の「ネコの爪」と、どのようにつきあえばいいのか。
(悩)

リタイヤしたシニアは何と名乗る?

2010-10-26 16:38:19 | Weblog
 わが国では何かと、職業とか勤務先とかを尋ねられることが多い。リタイヤしたシニアにとって現職とか所属などを聞かれると困惑する。単に「無職」とすると、生来働かず、遊び人で過ごしてきた者のようにも聞こえる。「無職」は責任能力に欠ける半端な社会人と見られることもあるようだ。先日、娘の亭主が手術をするので保証人が必要になった。「無職」者は駄目と言うことで、私は役立たず、憮然とする。
 「リタイヤ者」と言うのも変だ。そういえば、先日の国勢調査でも、マークしながらたどる「無職」の先に「職を探している」と言うのがあったが、それとも違う。あちこち見ていたら、「高齢者」(記憶が少し違うかも)と言うのがあった。そこにはご丁寧に「ここで終わり」と記されていた。はいもうこれで終わりよ、と人生の引導を渡されたような気分になった。
 ある専門家の会合で各自の所属を言うことになった。retireした外国の友人は「Independent」と言い、皆はそのスマートさに感心した。私も時々それを真似るが、日本国内では「自営」となってしまうのであろうか。これもしっくりしない。知人の京都大学名誉教授は、所属のところに「京都大学」と書くと言っておられた。大学名誉教授は現職ですかね。確かに大学の職員名簿に名誉教授の欄があって氏名が記されているから現職の「職員」と言うことになるのだろうか。「○○会社OB」と言うのも公的用語としては定着していませんね。
 皆さんはどう名乗りますか?
 ところで、わが国では組織に所属すると、厚生課の類があって、年金とか所得税とか、いろいろな生活上の配慮も(十分とはいえなくとも)一応はしてくれる。それに対して、「Independent」だと、誰も防衛してくれない。年金額がいつの間にやら減額されたり、高齢者医療保険が増額されたりしている。自分で気をつけていないと、むしろ出し抜かれてしまうのではないかという恐怖を覚える。これも自己責任ですかね。人を放り出すのに便利な言葉だ。
 リタイヤしたシニアにとって、心安らかな社会ではない。(青)


これからの屋内照明のお話し-炉端長老談

2010-10-25 10:15:30 | Weblog
おう久しぶりだなあ。
なに、お土産に栗か。ほう今年の栗は猛暑のせいか、ホクホク感がなくて実が固いのだって。そうか、むかしは実のかたい天津栗というのがあった。駅近くの露天で焼け石と一緒に回しながら焼いている。それを袋詰めにしたものを買い込んで、道々歩きながら、その栗に親指をたてて外の皮を剥いでかじる。ほのかに甘みがあってうまい。
そんな栗にならないかな。
ばあさん、栗をいただいたよ。栗御飯はどうかな。

屋内照明の話しを聞きたいっていうのかい。「緑色発光素子の話題」を読んだが、発光素子の進歩も速い。それだけに、これからの屋内照明も革命的に変化することもある得ることだ。
夜の照明は、長年の間ハダカ火が使われた。ローソクとかランプだ。ガス灯も明治の初期にあったようだが私は見たことがない。ローソクといえば、ファラデーの講演をまとめた「ローソクの科学」という本があるが、これはいまでも面白く読める。1980年代の科学の夜明け頃に若い人にわかり易く、実験をしながら説明した、その講演を記録してある本だよ。なに電子書籍で読むって? 安い文庫本であるよ。どこでも手軽に読める文庫本の方が手軽ではないのかい。

エジソンが開発したと言われている白熱電球が出現してから、これが屋内外の照明に使われた。二十世紀の照明は白熱電球全盛といってもいい。
なになに、蛍光灯があるって。
しかしなあ、欧米諸国の海外旅行をするとホテルなどでは蛍光灯が少ない。欧米人は蛍光灯があまり好みでないらしい。私の知人などは自宅には絶対に蛍光灯を使わないと言うよ。どうしてかなあ。
点灯するまでに時間がかかるとか、蛍光灯は劣化するとチラツク、白熱電灯の方が暖かみがあるとか、夜は部屋全体を明るくせずに、部分的に照明した方が落ち着くというのだろうか。これからの屋内照明のあり方の参考になるかもしれないな。

うーん、発光ダイオードは、街角の交通信号機に見かけるようになった。電球よりも寿命が長く、しかも省エネだそうだ。そういえば乗用車のバックライトも発光ダイオードに換わっているね。
今日は発光ダイオードの照明について聞きたいって。
わしも少し使ってみているけど。寝て本を読むときの照明に。しかし光りの出る部分よりもその後ろの部分が大きくて重い。全体が重くなっているから安定性がよくない。
いまひとつは旋盤工具の照明だよ。知っての通り旋盤工作は趣味のひとつだが、蛍光灯の照明だと工作物が縞模様に見えることがある。この現象をなんとか言ったかな。フリッカーとかストロボ現象だったかい。これは困ることがある。発光ダイオード照明だとこれはない。
なになに、ついこの間のニュース、ある地方の役所で発光ダイオード照明を取り入れたら気分が悪くなる職員が続発し、よく調べてみたら発光ダイオード照明のチラツキが原因だっていうのかい。それは省エネのために発光ダイオードを直流点灯にしないで、交流点灯させたのが原因だろうねぇ。そう、これも将来の照明のあり方に参考になる。
ほう、発光ダイオード単体で数ワットクラスのものが市販されいうのか。しかしそれは危険でもある。発光ダイオードは白熱電球に比べても点光源に近い。その点光源から高いエネルギーの光りが出れば、目の中の一部に点のようなヤケドをすることは間違いない。これが盲点にあたれば失明しかねないな。
発光ダイオードの電圧に対する発光特性は急峻だから、電圧が僅か上がるだけで急激に光量が増える。驚くことに光量が増えると発熱も意外に大きい。このことは電圧を僅かに変化させただけで発光ダイオードは破壊することになるね。
そこでこのことを防ぐために、動作電圧よりも高い電圧から抵抗を通して電圧をかけている。二倍以上の電圧であるとすれば、それだけで電力は半分が熱になるから無駄になっている。
100ボルトの家庭内配電に使うことができる発光ダイオード電球が販売されているが、発光ダイオードは数ボルトで発光するから、かなり大がかりな変換回路が組み込まれているわけで、私が使っている枕元灯が重い理由だよ。

将来はどうだって。
新しく家を建てるときには、低圧直流電源を100ボルトの動力線とは別に設置しておくことを薦める。配管だけでもいいよ。いまジャバラ配管などは手軽にできるからな。これは憶測だが、中点をアースにしてブラス・マイナス6ボルト程度の3線式直流配電がいいのではないかと思っている。
これに発光ダイオードの照明はもとより、テレビをふくめたあらゆる電子機器の電源にする。テレビもブラウン管から液晶式になってから、高い電圧は必要としなくなった。液晶テレビの発熱の大部分は、バックライトの供給電源であり、現在これも発光ダイオードに置き換えて、省エネ・テレビとして販売している。将来は低電圧供給テレビが出現するとさらに省エネ化できる。
最近は、屋根の上に太陽光発電パネルが載せている家屋が増えているが、発電素子自体の発生電圧は低い。これを商用電力の100-200ボルトにまで高めるためには無駄な電力を使っているわけだ。いうまでもないが、低い電圧のままの方が効率はいい。
まあ、低い電圧の直流を貯蔵する電池のことも別の課題があるが、これはまた別のときに話しをしよう。

発光ダイオードは僅かな電圧の変動で発光量が変わり、そのための電流も急激に増えることはすでに話した。そのために抵抗を接続していて、結構エネルギーを無駄にしていることも言ったよね。この無駄を無くすには、どうすればいいかって。それには電流制限素子を使うのが理想的だよ。
電流がある一定以下であれば抵抗値が低くて、電流が増えると熱が発生し、そのために抵抗値が急激に大きくなる素子が既に開発されている。これを利用すればいい。ただし、いまは高い発光出力ダイオードに適した電流制限ダイオードは入手できないようであるが、時間の問題だね。
それが実現すれば、低電圧供給電源に接続する構造が簡単なしかも安価な照明源ができる。

なになに、蛍光灯の嫌いな欧米人に受け入れられる、しかも危険性のない照明器具にするにはどうすればいいかって。
それは、この年寄り出番ではないよ。若い君たちが、大いに芸術的な感性を働かせて解決してくれたまえ。

なが話になったな。
オーイ、ばあさん栗御飯はどうかい。なになにようやく栗を塩ゆでにしたから、これから皮を剥くのか。それも手伝いしろっていうの。
そうか、では一緒に栗の皮むきをしよう。
(応)

逃げる政治家

2010-10-21 17:07:47 | Weblog
 勤め先近くの蕎麦屋で昼飯を食べていたとき、一人の男が入ってきて二人前のそば(おそらくかけ蕎麦だったのではないか)を注文し、どんぶりを二つ抱えて、店から小走りに出て行った。後で店の親父が薄ら笑いを浮かべながら、「あれこれ噂のあるあの先生(店の辺りが地盤の政治家)は報道各社に追われて、みなの前に顔を出すことが出来ない。それで、車の中で食べるそばを秘書が注文に来たのさ」と話しているのを聞いた。ゆっくり食事も出来ず、こそこそと逃げ回る政治家のあわれな姿を見た気がした。件の政治家は、かつては労働大臣や政党幹事長まで務めた人だが、結局、横領/詐欺容疑で逮捕され、罪人となった。
 かつては政界汚職で逃げおおせたものが大勢でいたが、政治家に対する国民の目が厳しくなった今日、悪いことをしていたら逃げ回っても駄目だ。自分は間違っていないと本当に自信があるなら、堂々と対決したほうが得策である。逃げ回って成功しても、ごまかして逃げおおせたというイメージが貼り付き、胡散臭い政治家として大きなダメージを受ける。対決して潔白が明らかになれば、その実直な態度が、逆に、尊敬されよう。決着をつけるにはそのほうが早道だ。裁判を回避するために、行政訴訟を起こすなどは、どう考えても賢明ではない。手練手管をろうして政治の混乱がいつまでも続くようでは、国民が困る。
 ちなみに、件の政治家の弁護士であった男と、後年、ある財団の運営をめぐって対峙する羽目になった。弁護士もいろいろで、法廷闘争をチラつかせ、歪曲した論理を押し通そうとする者もいるようだ。(ボブ)

検索雑感

2010-10-16 06:10:55 | Weblog
納さんの「検索エンジンのこと」の話題提供は興味をそそられた。

確か1980年代の初め頃であったと記憶している。 ある著名な脚光を浴びていたシンクタンクのN総合研究所の知人から、米国国防省が開発した文献検索システムを導入したので、試しに使ってみてはどうかという嬉しい誘いがあった。検索エンジンの黎明期であった。
そこで何となく興味を持っていた「光ジャイロスコープ」の文献検索を依頼してみた。届いた検索結果は、千件に近い項目のリストであった。光ジャイロスコープのことは話しには聞いていたもののこれほどまでに研究開発が行われていることには驚かされた。これだけ膨大な資料をすべて取り寄せて読むわけにもいかず、どの資料が有益なのかもわからない。有り難く検索結果は受け取ったが、このとき「過ぎたるは、及ばざるが如し」との諺を実感として体験した。

納さんによると「炉端での話題」で検索エンジンをかけると152,000件の検索結果が示されたという。一般に短い単語で検索エンジンをかけると、この様に膨大な検索結果が得られるが、その中から目的とした検索結果を見出すのは至難である。少しばかりの知識欲を充たすため、検索エンジンを用いるときには躊躇なく「ウィキペディア」を見るが、最近のウィキペディアは、これまた膨大な過剰となっている項目もある。

 検索内容を絞るために、AND条件としていくつかの項目を並べると、ある検索エンジンでは、「この項目については見つかりませんでした」と突き放される。また別の検索エンジンでは、これをOR条件として扱うのか、検索結果の内容要約の項目を太字にしてさらに多くの項目が表示される。
 Yahoo とGoogleは検索エンジンを提携したという。この検索エンジンによる検索結果、まことに重複が多い。152,000件にはネズミ算的に膨らんだ重複がある。この検索エンジンはフィルター機能が貧弱であるといわざるを得ない。未熟である。

 光ジャイロスコープのことは、文献検索の結果はそのままにして、著名な物理専門家にパーティの席上でうかがったところ、「それは光りの直進性を利用するのです」と答えられた。レーザ光を鏡の様なもので回転反射させておく。この光学系が運動すると光は直進するので、光学系の中で光りの位置が変位することを検出すれば、ジャイロスコープになるのかと推量した。回転する光り進路の位置変化をいかに検出するかというのが膨大な文献に記されていたと思っている。
 いま市販されているゲーム器の中には、微少な半導体加速検出器が組み込まれている。加速成分を積分することで位置検出を行い、ジャイロスコープの役割を果たしている。
(応)

検索エンジンのこと

2010-10-09 11:52:40 | Weblog
この「炉端での話題」の内容についてどのように捉えられているか、ときたま検索エンジンを使って調べている。
最近の2010年10月に入ってから注目すべき変化は、Google とYahooの検索結果内容がほとんど一致していることである。業務提携は噂としては聞いていたが、ついに提携したと考えている。
いくつかの検索エンジンで「炉端での話題」の検索をかけると2010年10月9日では
Google  152,000件 検索所要時間 0.17秒
Yahoo   152.000件 検索所要時間 0.13秒
Bing    53,800件
Grobe.it 115.940件
であり、いずれもトップに表出される。いまこの時、このブログを見ていただいておられる方々に、まずは御礼申し上げる。

これまではGoogle の検出結果には、いくつかのキーワードが含まれているので、検索された結果から内容を隙間見ることができたが、新しくなった検索結果では前回の「懐かしい干物のアジ」しか出ないから全体的な内容は把握できなくなった。
Yahooの検出の結果は、これまではやや古く、Googleの検出結果とは明らかに差違があり、キャッシュも空振りになることが多かった。
Bing とGrobe.itは最近になって搭載したので、あまり深く言及することはできないが、Bingの検索結果は、かってのYahooの検出と同じように古い内容のままと見受けられる。
その点Grobe.itは、Google+Bing+Askとして、言葉はいささか悪くて恐縮だが「人のふんどしで相撲をとる」ことに加えて内容を表す10ばかりの表題を掲げているので、ブログの作者としては嬉しい。この著者の個人的意見ではあるが、お薦めできる。
いずれにしても、たかだか「炉端での話題」の検索キーワードだけでYahooの場合は15万件の検索を0.17秒で実施できるのは驚異的であり、いかなる検索技法が用いられているのか、技術的な側面からも興味はそそられる。

ある方から、いかなる理由で「炉端での話題」が検索エンジンの検索結果のトップに表出されるのか問われたことがある。広告代理店にしてみれば興味深いことであろう。この理由については、このブログを少しでも見ていて頂いている皆様方、そして著者との企業秘密にしておきたいと思っている。
僭越ながら「炉端での話題」の著者の方々に代わり、さらには、これを見て頂いている方に感謝しつつ、今回は検索エンジンのことについて述べた。
(納)
追記
 検索エンジンを調べていると国産品としてMARSFLAGがあることがわかった。この検索エンジンは検索速度が極めて遅く、しかも検索結果は貧弱であるから、現在のままでは使用できない。更なる奮進努力と健闘を期待する。
追記-2
 上記掲載したときに、Qrobe.itを誤ってGrobe.itと記した。
このことはお詫びして訂正する。この誤りに対する「お叱り」のせいか、このサイトを「炉端での話題」を検索しても表示されなくなっている。想像であるがGoogle+Bing+Ask+「何らかの人為的な意図」がフイルタとして働いているようである。単に人のふんどしを借りているわけではない。
このこともお詫びして訂正する。

懐かしい干物のアジ

2010-10-03 16:03:54 | Weblog
親しい知人夫妻を誘って三浦半島をドライブした。
ある漁港の側で魚料理の昼食を摂ったが、やや新鮮さにかけるのが気になった。不満を残しながら散策していると新鮮さを売り物にする魚屋が数軒あった。その中でアジの干物が輝いて見え、しかも格安な感じの値段だったのでこれを求めた。
この干物を帰宅してから早速焼き、それだけをメインディシュとして食卓をかざってみた。なんとまことに懐かしい味わいのあるアジであった。そう、これこそが三浦半島特産のアジの干物である。地元で獲れたアジをすぐに開いて一日か二日干した程度であるから新鮮なみずみずしい味がする。スーパーで買い求めた干物のアジは、冷凍されてノールウェイあたりからとどくであろうから、全く別の味覚である。
懐かしさに嬉しくなる干物のアジであった。

しかしながら、この懐古をいざなう干物のアジは、いま若い世代からはうとんじられるのではないか。その理由は、新鮮な干物であるだけに特有な生ぐさい臭気がしつこく残るからである。特に最近の家屋のように機密性が高くなると臭気の残存期間は長引く。味がよかったことより、その臭気の故に敬遠することになると思わざるを得ない。特にマンションのような集合住宅では左右の住居と上階から文句をいわれることになりそうである。
スーパーの干物ならば、その心配はあまりない。ということは三浦半島の干物のアジはそれほど魅力的でないことになる。炉端で焼こうものなら、若者は逃げ出すかも知れない。そのとき、この干物のアジが賞味できる世代で一杯やろうではないか。
(農)