炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

アイスランドの噴火による海外旅行の影響

2010-04-18 15:47:19 | Weblog
2010年4月14日に発生したアイスランドの噴火により、フランクフルト空港が閉鎖する前に、無事16日成田に帰国した。一日遅れたら、欧州で足留めになっていた。4月18日現在未だに空港は閉鎖されている。
今回は団体旅行に参加した。もし、噴火による空港閉鎖に遭遇していたら、どのような事態になるか調べている。現在その状態にある旅行者が多いと想像する。

団体旅行の旅行条件書を調べると、このような天変地異の事態では一切旅行社としては補償しないことになっている。つまり噴火に伴って旅行の継続ができなくなったときから、すべての費用は個人負担になることを意味する。

旅行保険に関しては、偶然事故対応費用保険をつけることもできるが、地震、噴火、これに伴う津波には補償しないと記載されている。

いま現在、航空会社の御案内を見ると払い戻し手数料無しに払い戻し、もしくは予約変更をすることになっている。予約変更するにしても、いつからフライトが開始されるか全く目途がたっていない。

情け容赦のない旅行社であれば、航空会社の払い戻し金額で解約して、団体旅行を現地解散できる。参加者としてはいたしかたのない状況である。

いま少し情けのある会社で、しかも優れた添乗員がいれば、事変以降の費用は各自負担をお願いして、お客様にとって最も都合のいい最大限努力をするであろう。各自負担をお願いしなければ小規模の旅行会社は倒産しかねない。

あるいは一切の加算金無しに、全責任をもって旅行会社が処置するところもあるかも知れない。
いま渦中にいる団体旅行者が無事帰国後どのような処置を受けたか、それによって団体旅行社の態勢評価が定まるのではないかと考えている。

かろうじてアイスランド噴火の事態に遭遇しなかった者として、つい先日旅先で会い旅行をつづけている同胞を心配しながら書いている。
(応)

海外旅行の添乗員

2010-04-18 09:42:50 | Weblog
個人旅行にこだわっていたが、友人の誘いもありクロアチア観光団体旅行に参加した。
団体旅行は訪問先、旅行日程、参加者との融和、そして添乗員の采配ぶりによって楽しく愉快にしかも快適に過ごせるか、あるいは不満が残るかに分かれる。

今回参加したクロアチア旅行では五つ星と評価できる若い女性添乗員であった。印象に残る旅行となったのは、訪問先の素晴らしい景観、親和性豊かな参加者はいうまでもないとして、添乗員の並はずれた俊腕ぶりであった。
旅程が七分どおり進んだところでわかったのは弱冠25歳の独身女性であるが、それまでは30歳を越えたベテランとばかり思い込んでいた。

どうして30歳以上と見えたのか。

まずは、お客様を常に上座においた姿勢である。ほとんどすべての事象について添乗員自身の責任に帰する態度である。「スミマセンでした」とお客様の責任であっても謝る。それが自然にできる。
これは我慢することに耐えるベテランの技である。

次には、参加者のほとんどが賞賛した向上心と探求心を織り込んだ説明である。クロアチアは多くの文化遺産がある。その中にはシベニクの聖ヤコブ大聖堂、スプリットのディオクラティアヌス宮殿、ドブロニクの大聖堂、フランシスコ会修道院などがあるが、建築様式の歴史的な移り変わりについて資料を配付して参加者にわかり易くバスの中で説明する。若手から老人の数世代にまたがる参加者の車酔いをもたらすことのない話術である。

チトー元帥が統一していたユーゴスラビアから、スロベニア、クロアチア、セルビアなどの国が分離独立した背景と民族内紛の歴史的な背景と現況の説明も、自分で作成し、自前の費用でプリントした資料を配付して解説する。
はては「ギリシャ神話」のオトギ話は、私のような炉端老人も聞き惚れてしまう。星座の名前としていくつかは知っていたが、それにまつわるギリシャ神話にはうとかった。添乗員として業務する間に自分で調べたという。

さらには、クロアチア旅行内国旅行、すべてバス移動である。個人旅行として計画を始めてから、これを断念したのは、クロアチア国内の公共交通機関、内戦もあって極めて貧弱であることによる。今回の旅行も毎日のように4時間、7時間の長距離移動がある。日程表を渡されてから、娘に「こんな長距離バス移動で大丈夫なの」といわれた。確かに不安もあった。
若い女性添乗員は、独自発案の「バス内体操」を薦め、楽しく実行させる。体操の効果を東洋医学的なツボから説き起こす。私は、旅行社の添乗員マニュアルにそのような内容が記載されているのか質問したほどである。彼女は「ありません。スミマセン、私の発案です」とシャイに答える。
笑みがこぼれる。聞いた方も嬉しくなる。
最後の日のバスで渡されたのが「旅日記」、参加者からは「額に入れて残します」と声がかりがあった。聞くところによると夜なべをしたという。

私はこっそりと聞いてみた。「添乗員として業務遂行できない状態になったら、そのバックアップ態勢はどうなっていますか」と。このような優れた添乗員が不虞の事故に遭遇したら参加者33名が外国で放逐状態になるからである。彼女は、「もとは添乗員の保険がありましたが、保険金ではカバーできなくなったせいなのか、いまはありません。旅行会社によって、どのように対処するか異なると思いますが御心配なされないでください」という。
 けなげに心配ないと彼女はいうが、これは改善しなければならないと思う。例えば添乗員を付けて海外旅行を行う会社が共同で、バックアップできる人員を欧州の中に配置しておくのである。例えば欧州駐在員の家族がこれに登録しておいて、緊急事態に対応できれば、団体旅行の参加者も安心できる。

4月15日にフランクフルト空港を離陸して成田に着いたのは16日、無事帰国した。その日のテレビ報道によるとフランクフルト空港は、アイスランドで発生した噴火の影響で航空機の発着ができなくなったという。一日遅れていたら、添乗員には過重な負担がかかることは間違いない事態である。
いまこれを書き留めながら、胸をなでおろす。
若き女性添乗員の「ギリシャ神話」のお陰さまかなと神に感謝する。

知人からも「無事なご帰国(ドブレダモイ)でなによりでした」とメッセージが届いた。
(応)

珍論・奇説(その1)

2010-04-16 16:16:59 | Weblog
 ここのところ気温の上下変動が激しい。1日毎に最高気温の変動が10~15度くらいに及ぶことがある。冬から春へ、春から夏へとゆっくり変わってゆく季節感がない。人間のみならず、動植物、農作物などすべての生き物が戸惑っているのではないか。
 どうしてこのような激しい変動が頻繁に起こるのであろうか。これまでは太平洋高気圧と北極高気圧が、多少の局所的な流動があっても、大域的には安定的に存在し、太陽を回る地球の公転とともに、ゆっくりと、どちらかが拡大し、どちらかが縮小する事で、季節の移り変わりをもたらしていたのであった。
 ところが、大都市や工業地帯の熱放射によって、赤道よりやや北側の地球をめぐる地帯(ここに大部分の大都市圏、工業圏が集中している)に、局所的な熱気団がいくつか生じ、それが上の大域的な気団の分布を不安定にし、大気の流れにこれまでとは異なる擾乱を引き起こしているのではないか。この乱れによって、急激に、あるときは太平洋高気圧が流れ込んだり、北極高気圧が流れ込んだりして、気温の急激な乱高下を惹き起こしているのであろう。
 したがって、気象予報をする場合、局所的な熱気団を考慮に入れた新しいモデルが必要と思われる。気象庁は、スーパーコンピュータの性能を上げれば予報の精度が上がる、と主張するが、モデルが正しくなければ、いくらスーパーコンピュータの性能を上げても、正しい結果は得られない。
 われわれは物事をいつもモデル化して対処しているといってよい。したがって、正しいモデルを構築する事が重要である。モデルの構築は、人間の思考(頭脳)による。つまり、科学技術の進歩の基本は人間の思考であり、スーパーコンピュータの性能アップだけでもたらされるものではない(これが大きなサポートとなることは認めるとしても)。(青)

追記:この小文を書き上げた同じ日に、NHKテレビが、地球上の全地域のCO2の分布を観測できる衛星の話しを報じていた。これではもうこの小文は珍論・奇説の範疇に入らないのかもしれない。

諏訪の奇祭

2010-04-07 18:58:20 | Weblog
 長野県諏訪地方の奇祭、上社御柱祭り(下社御柱祭りもある)の山出しの当日に出遅れたので、この地方のケーブルテレビの録画放映を見る。思わず引き込まれ、なかなかスイッチを切ることができない。
 御柱祭りは、7年ごとに諏訪大社上社の本宮、前宮の境内4隅に1本ずつ立てる、直径は50cm近く、長さは15メートルはあろうかと思われる樅の巨木を、八ヶ岳山麓から切り出し、それを諏訪大社の氏子の皆さんが曳きながら、本宮、前宮まで運ぶ行事(彼らはこれを神事としている)である。
 1本の御柱を曳くのに、曳き綱、追いかけ綱(曳かれる御柱の向きを調整する)を受け持つ人、御柱にv字状に打ち込んだ2本の斜めの柱(メドデコと呼ばれる)によじ登る人、メドデコを横から引っ張って(命綱という)御柱を左右に回転させる(ねじりと言う)人、梃子で御柱の向きをコントロールする人、木遣り歌を唄う(山の神様、お願いだー、と小さな子供まで唄う)人、ラッパを吹き鳴らす人など、参加する人数は1,000人を超えるという。このような多くの人々が、エイサー、エイサーと掛け声をかけながら一致団結して御柱を曳く姿は雄渾であり、その心意気に感動してしまう。さらに、あれだけ大勢の人々が持ち場を分担して、一糸乱れず、力仕事を行う、その指揮系統はどうなっているのであろうか。見事というほかはない。何百年も奇祭を続ける地域の団結心の強さには、うらやましい気持ちと、一方では、何か近寄りがたいようなものも感じてしまう。
 曳行の行程は10キロにも及ぶ。途中、民家の間を90度近く曲がる所では、家に接触しないか、細心の注意で進む。急坂を滑り下りる木落としでは、けが人が出ないか、緊張が全員にみなぎる。川を渡る川越えでは、岸辺から水中に御柱が落ちる際にその先頭に座っている人々が水中に没入する。大丈夫かと、はっとしてしまう。
 これらの難所を通り抜けた人々の顔には安堵感と、充実した達成感があふれる。万歳のなか、総代表が「有難う、有難う」と何度も叫ぶ。
 5月には、運んだ御柱を、本宮、前宮の境内で、垂直に立てる行事が行われる。(青)

無重力実験装置 -ご隠居談-

2010-04-05 10:45:32 | Weblog
「おう、久しぶりだね。この近くにある桜の名所に花見のついでに立ち寄ったって。そう、今年は開花し始めたのが、お彼岸の頃だった。しかし寒波のために満開になるまで10日以上かかっている。関東地方ではその間にミゾレも降った。
ばあさん、花見酒といきたいので、一本つけてくれ」。
「うん、『ネジのこと-ためしてガッテンでの話題について』は読んだよ。
ネジは奧が深い。しかも最近は様々なネジがある。いずれネジの話題を取り上げて書いておいてほしいところだ。
テレビ放映は見ていないので、無重力実験装置などよくわからないところがある。ここに植松努著の『NASAより宇宙に近い町工場』2009年11月発行の本がある。このなかに書いてある北海道の赤平という場所にある個人所有の無重力実験装置のことかな。この本には世界に3つしかないと書かれている」。
「高い鉄塔の上から、カプセルを落下させて、停止寸前に軟着地させる構造のようだ。この軟着地は難しい。そのまま地上に激突させれば、衝撃実験装置になる。衝撃実験も重要だから、無重力実験だけでなく、これで衝撃実験もできるようにするといいかもしれない。大変危険な実験だけど」。
「この無重力実験装置、落下直後にマイナスの重力が瞬間的にかかることは確かだ。無重力にするために、衝撃的にマイナスのGが作用するわけだ。
若い頃のことだが、さがる方のエレベーターに乗ったら、下がり始めるときに胃の腑が持ち上がるような感じがしたものだ。いまの高速エレベータ-はそんなことはないがね。
この間、船に乗ったところ、大きな波で船が下がった瞬間に同じような体験をしたよ」。
「おお、花見酒がついたか。ネジの話題、さらにネジをかけるために乾杯してから、桜見物、一緒にでかけよう」。
(嚢)

ネジのこと -ためしてガッテンでの話題について-

2010-04-03 07:11:40 | Weblog
NHKの「ためしてガッテン」3月31日放映では、ネジのことを話題として取り上げていた。家屋の改築に自分で取り組み古いネジを取り外す経験をしていることもあり、いくつかの問題点に気がついている。

まずは無重力状態でネジがゆるむという現象である。
番組の当初に無重力の宇宙空間でネジをゆるめるとき、身体を固定しないとネジを回す人間の方が回転する様子を宇宙飛行士の若田光一氏がデモしていた。
これはいいとして、地上で無重力状態を模擬するため、50メートルの高さの鉄塔から落下させる実験装置を使ってネジの状態を調べた内容は、いささか問題がある。締め付け面に塗油したネジは、落下による無重力実験でゆるんだという。まるで大発見したような説明をした。

よく考えてみよう。落下による無重力実験では静止状態から自由落下させる。
落下し始める瞬間、質量をmとしたとき、重力加速度gによる力mgにより落下を始める。ここで落下する物体を中心に考えてみると自由落下開始する瞬間、上向きの方向に-mgの衝撃力が加わったことになる。ネジのボルトとボルトを支えるナットの質量には差があり、この質量の差がボルトのネジ斜面とナットのネジ斜面に加わる。放映内容では、どうやらナットの方が質量は大きいようである。質量が異なり、しかも油面のためにボルトとナットが浮いている状態では、静止状態から重力による力の作用は異なり、その差分がボルトを回す力となってゆるむ。決して無重力状態によってネジのボルトがゆるんだわけではない。

さらには、この番組はいわゆる「やらせ」と思われる内容があった。自転車の車体部分に一見さび付いたネジ、これを大の男が力ずくで回そうとしても動かない。しかし女性が木槌で叩くことによって、素手で簡単に回せるようになるとデモをしていた。
ネジのボルトとナットが互いに錆び付いている場合、はなはだ困難な状態にある。油を差し、しばらく時間をおいてじっくり油が浸みこんでから、金槌でたたく。番組でデモしたような木槌などでは、とうてい歯が立たない。単に金槌で叩くだけでなく、金槌で叩くと、その衝撃力の一部が回転トルクにもなる特殊な工具を私は用いている。それでも簡単には廻らない。場合によってはボルトの頭だけが破断する。
その様な状況をいやというほど体験した者にとっては、「やらせ」としか思えない。つまりボルトとナットが錆び付いている状態ではないと言いきれる。

公共放送としてのNHKが科学的な内容の番組に科学的に立証されていない、あたかも無重力状態になるとネジがゆるむという新発見をしたような内容とか、科学的に扱わなければならない事象に「やらせ」を行うのは適切ではない。
他には優れた内容による「ためしてガッテン」の放送もあるようだが、このような非科学的な放送があると、他の番組の内容全般にわたって疑念が生じる。
科学的な見地からすると永久保存には値しない番組である。
(応)