炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

除染が必要なのは泥だけではないのでは?

2011-10-27 12:49:29 | Weblog
 お金を差し出したといっているのにそ知らぬ顔で受け取っていないと否定する、改ざんを報告したといっているのに聞いていないという、やらせをそそのかせたと言っているのにその意識はないという。いずれにしても、どちらかが平然と嘘をついているのは間違いない(告発側が嘘をつく必要はないと思うのだが)。嘘で日本中が汚れきっている。
 除染が必要なのは泥だけではなさそうだ。(青)

ようやく出てきた

2011-10-25 15:54:05 | Weblog
 本年5月1日に、福島原発事故時の対応マニュアルはどうなっていたのかと私が指摘してから、ようやくマニュアルの一部が公開された。
 今度は、事故対応の訓練がどのように行われていたかだ。マニュアルに書いてあっても(それも抜けがあるが)、日常的に訓練していなければ絵に描いた餅だ。
 事故調査委員会はしっかり調査してもらいたい。(ボブ)

完結していない技術

2011-10-21 16:42:40 | Weblog
 喉もと過ぎれば暑さ忘れるではないが、福島原発事故の検証が済んでいないまま、またぞろ、原発必要論が息を吹き返し始めたようだ。しかし、原発廃炉まで数十年かかるというニュースを聞いて、私の心は凍りついてしまった。おそらく私はそれを見届けることはできないであろう。いや、私の息子も見届けられない。その次の孫たちが、どうしてこうなったのかが分からないまま、災禍の後始末に苦労しなければならないのだ。
 使用済み核燃料の後始末の技術が、原発開始から半世紀が過ぎてもまだ確立されていない。使用済み核燃料を野積みにして(水の中だが)置き、それが爆発したのは象徴的だ。汚染水を浄化する装置も、単に汚染水をフィルターで濾過するだけだから、そのフィルターには核物質が高濃度に蓄積されてしまう。その始末をどうするのであろうか。青森県の核燃料の再処理工場もうまく行っていないまま、稼動させればさせるほど金がかかってしまうという話しを聞く。汚染泥を剥ぎ取っても、それを集積すれば、また高濃度の泥の山ができるだけではないのか。
 結局、原発はテクノロジーとして完結していないのだ。後始末の見込みがないまま、何故、原発導入の見切り発車をしてしまったのであろうか。その見込みがないまま原発を外国に輸出するのであろうか。廃棄物を外国に捨ててしまえばそれでよいと言うのであろうか。
 エネルギーが本当に不足するのか(何とか節電を乗り越えてしまったではないか)、エネルギーの無駄な消費をなくしもっと節約できるのではないか、新しいエネルギーの獲得が実用的に可能なのか、といったエネルギーの需給関係についての冷静な議論がどの程度なされているのか分からないので(やらせをしておいて、開き直って白を切るなようなことをしていては駄目だ)、脱原発でゆくのか否か、にわかに結論しがたい。
 しかし、廃棄物の後始末の方法がテクノロジーとして確立されることが原発使用には絶対に必要なのは明らかだ。(AO)

200年住宅とは(続)

2011-10-17 23:17:48 | Weblog
ある方から前回の話題にコメントが寄せられた。
欧州では、200年どころか何百年も前の住宅を内部改装して使っているが、最近のプレハブ住宅等は、早い物では数十年で解体しているではないか、というのである。なるほど簡易に建てられた住宅は、改装するよりも解体撤去して新築する方が費用対効果から考えても、優れている場合がある。
 観光旅行でバルカン半島を訪れた知人からは、この地域では石灰岩が豊富なことから石灰岩建築が多く、多世代にわたって住居として使っているが、日本では石灰岩が産出するにもかかわらず、石灰岩の住宅はないという。石造りの家屋は、地震に対して耐震性がないことが問題である。バルカン半島にあるクロアチアではかっての地震で大きな被害を被った都市があり、地震が少ないから石造り住宅にしているというのは必ずしもあたらない。
 欧州で石造りの多い理由の一つは、構造となる木材が少ないことがあろう。クロアチアでは石灰岩地質であるために森林が少ない。荒野に糸杉の一本立ちがところどころ生えている程度であるという。
 日本のように海洋性気候による湿気が多いところでは、石造りの家では結露に悩まされて住みにくいことも理由の一つであろう。最近では鉄筋・鉄骨コンクリートの住宅が多くなっている。コンクリートは熱伝導性がよいことから外気温の影響が大きく、湿気対策のためにエアコンが欠かせない存在になっている。一級建築士の知人からコンクリートを使った住宅の設計寿命は、50年程度であるという。コンクリートは、ほぼ1年に1ミリずつ劣化することが、その理由であるというのである。もしそれが事実ならば、日本列島改造論を唱えた田中首相のもとに日本国土全域にわたって建設されたコンクリート造りの鉄道高架橋とか高速道路は、やがて寿命を迎えることになる。少子高齢化が進む日本国にとっては、いまひとつの悩ましい課題である。
 石垣を築いた上にたたずむ城郭を見るにつけ、様々な風水害とか地震によって石垣は崩れても修復され、昔の姿をとどめていることに感動を覚えるのは、たんにノスタルジアだけではない。

 さて、200年の住宅の話題に移ろう。
 少しばかりDIYをかじった立場から、200年は保たせたい住宅のあるべき姿を考えてみた。
上に述べたように、家屋の土台は、コンクリートを使ってはならない。鳩山元首相はコンクリートを排除しようと言ったが、200年は保つ住宅については正しい。石灰岩も好ましくない。土台は、祖先が使った城壁のごとき深成岩でなければならない。岩と岩はカミソリの刃さえ差し込めないように密着させ、地震でも崩れないように組み上げるのである。このような組み上げ方は、クロアチアの石造り住宅に使われた手法が参考になろう。


ここに掲げてある写真は、知人が撮影したクロアチアの教会で、1402年から着工され、完成後1555年に献堂された世界遺産の聖ヤコブ大聖堂で、世界最大の石灰岩建造の教会といわれている。耐震のために石組みは密着させた特殊な咬合になっているといわれている。
 日本は湿気が高い。床下は特に湿気が籠もるから徹底して通風をよくする。通風をよくすると開口部か多くなるので、ネズミなどの小動物が入り込まないようにしなければならない。湿気を吸収するために床下に木炭を入れる工法もあるが、木炭を使用するとすれば定期的にこれを交換しなければならないであろう。木炭の吸湿能力が200年もあるかどうか疑わしいからである。

 現在の住宅工法は、一言にしていえば、いまだに発展途上である。
例えば、床板は合板製が主流となっている。DIYを行ったとき、40年も経った合板の床板はペコペコになり強度がなくなっている。しかし部分的に使われた檜材は、健在であった。いま市販されている合板の床材は改良されていると思われるが、どのくらいの耐用年数があるのか、これは確かめておくことが必要である。仮に100年は保つと保証されたとしよう。しかし100年経過したら交換しなければならない。このとき洋風の部屋では床板だけ交換できるかどうか。DIYを行った知識からすると、床板を交換するためには天井を外し、壁を撤去してから、床材を外さなければならない。理由は簡単で、洋風の部屋では、この逆順で内装工事を施しているからである。つまり、まず床板を張りつめ、その床板の上に壁を作りつけ、その壁を元にして天井の骨組みを作り、天井を張りこむからである。このように洋風の部屋の床板交換を行う場合、内装をすべて交換することになるから、現在の工法で構築された住宅では、このような手間をかけるぐらいならば、すべて解体して新築しても費用的には大差がないことになる。新築から30年以上経過している近くの住宅は、このような理由から立て替えられているであろうと想像している。
 200年は保つ住宅では、床板、天井、壁が個別に取り替えられる構造になっているか確かめる必要がある。古来の工法による畳を敷く和室は、この要求は満たしている。ただし最近の和室は、ビフォア・アフターの建築番組を見ていると洋風部屋に畳を置くだけの近代工法による場合も見かける。番組に寄与された建築設計士には申し訳ないが、これはいけないと言いたい。畳は湿気を吸収し、乾燥した時期には吸収した水分を排出する機能を持っている。そのために畳みの裏側には、適度の通風を行わなければならない。

 壁について言えば、すべて石造りの壁にしない限り、現在200年に耐えうる壁はない。
焼き固めた、窯業系の外壁材があるではないかと指摘されても、それではその壁を支える構造物は200年も保つだろうか。
 ラス・モルタル壁は「葉山の家のこと」で述べたように、筆者は欠陥工法であると考えている。いま主流になっている石膏ボードを貼り付けて、その上に壁紙を張る工法も200年を保つ住宅には適さない。
 壁の間にガラス・ウールを入れて断熱性をよくする工法もあるが、これには多くの批判がある。北海道地域で、部屋内部の湿度の高い空気がガラス・ウールに吸収された後に外気温でこれが結露して、壁の中に多量の水分がたまり、それがもとになってカビが発生し、さらに壁の構造物が腐敗するという事例を聞いている。DIYのつたない知識から言えば、壁は外気の通風をよくする層と、外気層とは隔離して、部屋内部の空気を壁の内部で対流させるようにした三重構造にする。真ん中の層の壁は、常に乾燥状態にさせるのである。これが、現在考えられるもっとも優れた壁構造である。最近は外断熱工法とか、内断熱工法とか宣伝しながら競っているが、ガラス・ウールを使わず、このように内外断熱構造にするのである。しかしこれで200年も保たせられるかどうかは解らないが、外壁と内壁を個々に交換・保守でき、構造物が200年保てば対応できるはずである。

 いま一つ重要なのは、電気・水道・排水・ガスなどの配線・配管である。これらの設備は200年どころか100年の間に必ず交換することになる。従ってこれらの設備をコンクリート土間の中に埋め込む工事は行ってはならない。これらの設備は交換容易なダクトのような空間に収容する。
 風呂桶なども交換することがあるから、現在普及している風呂場の一体型ユニットは、200年の住宅に対応できるかどうかは疑問である。
 電気の配線なども50年あるいは100年の間には交換しなければならない。電気工事に携わっている知人から聞くところによると、30年程度経過した住宅で湿気の多い場所の電線に緑錆が発生し、危なく漏電火災になりそうな事例があったという。

以上のような条件を満たして、いま200年住宅を新築するとすれば、現在広く用いられている建築工事よりもかなり高価になることは間違いない。200年も保たせる住宅ができれば、それはそれで子々孫々にわたり残す財産的価値があろう。
DIYの経験から言えば、200年の住宅は、やはり過大広告と思わざるを得ない。しかしながら、あえて挑戦して採用するのであれば、ここに記した内容が参考になるかも知れない。
(農)

200年住宅とは

2011-10-05 10:57:52 | Weblog
 最近配布された新築住宅のチラシ広告に200年住宅があった。200年は保つという住宅の宣伝である。まずはそのような住宅はありうるかと疑問に思う。

 私は建築後50年ほど経過した住宅をDIYにより改装を行っている。古い木材を撤去するときに、気がついたことをまず述べる。
 この木造家屋は決して高級ではないので杉材が多く使用されている。この杉材を外すときに鉄釘が錆びていないことに驚かされた。なんと鉄釘の大部分は、金属の光沢が残っていて錆びていない。湿気が木材の内部にまで浸透していないことを物語っている。ところがラワン材に打ち込まれた鉄釘はボロボロに錆び、釘の強度もなくなっている。特に台所の造作に使われたラワン材は簡単に取り外せた。しかし釘そのものは中までさび付いているために除去できない。ラワン材は湿気が浸透することがわかった。
 一般に木材と釘などの鉄器は熱伝導度が異なるから、温度が低くなると鉄の部分が冷却されて鉄の部分に結露する。このとき結露した水分が木材に浸透する。このことは、長持ちさせる住宅には木材を金属で保持する構造にしてはならないということを教えてくれる。最近になって地震が頻発することから耐震構造のために材木の内側に鉄骨を入れる工法があるが、鉄は水分を呼び、その水分は木材に吸収されて微生物の繁殖をもたらし、木材を腐らせる。さらに保持された水分のために鉄材も酸化して強度を失う。工法にもよるが、数十年程度の耐久性しかないと思われる。テレビの番組を見ていると鉄骨材を木造建築に使用しているのをみかけるが、耐久性があるのか疑問に思う。
 木造住宅は湿気対策をおこなうことで耐久性が向上する。シロアリなどに侵害された部分は、雨漏りなどで水分がたまるところに発生していた。水分が浸透しないように、また仮に暴風雨などで雨水が浸入してもすぐに乾燥するような構造にすれば、木造住宅は鉄筋コンクリートの建造物よりも長持ちする。
 50年近く経過した住宅の木造構造物は、さらに50年は保ちそうであることから、DIYにより改装することにした。この住宅と同時期に建造された近所の公団の鉄筋コンクリート住宅はすべて建て替えられている。

 つい最近になって、木造物置を作成した。間伐杉材を多用し、空気の対流をよくするために壁には隙間をあけて木材が常に乾燥するように工夫した。また雨漏りが少ないように屋根は広くして片流れ構造にした。いかなる棚も80キロの体重の人が乗ってもびくともしない構造とし、構造的にも頑丈にできるから地震対策にもなる。本宅が地震倒壊しても、この物置は倒壊せず、100年は保つと私は豪語している。
 もとより保守をしなければ、いかに耐久性を考慮したといえ100年も保つわけはない。その保守を容易にするために釘はステンレスねじ釘を使用した。湿気を呼んで腐った木材は交換できる。ちなみに木材の内側塗装はすべて柿渋にしてある。いまこの物置に入ると柿渋の異臭は消えて、果物の持つ香気に包まれている。

 さて200年の住宅の話題に戻ろう。一言でいえば誇大広告である。200年も保つ住宅とすれば、一切の金属類は排除した構造物にしなければならない。さらに木材を接合するための接着剤も近代の化学製品を使用してはならない。200年前には存在しなかった製品を使用して、これから200年も耐えられるという保証があるだろうか。保守なくして200年も保つ住宅はあり得ないはずである。このようなことは広告に一切記載されていない。ガラス・コーティングするから200年は保つ住宅とあり、ローラーハケでコーティングする様子の写真が掲載されている。このガラスは福島原子力発電所の事故で漏水防止に使った水ガラスではないかと想像している。それだけで200年は保つ住宅にできるだろうか。
 単に200年は保つ住宅との願望がチラシ広告に掲載してあるとしか思えない。
(農)