前回のエキスコン(3)で、スパコンはTFLOPレベルによる演算の能力、エキスコンは1000TFLOPに相当するPFLOPレベルによる演算能力を有するコンピュータと定義した。しかしNielsen氏の「再びスパコン談義」によって、exa (10の18乗)浮動小数点演算/秒の能力、すなわちEFLOPレベルが視野にあることが示唆された。エキスコンはやがてエキサコンと言い換えることになるかもしれない。いずれにしてもこの様な呼び方は、筆者の独断と偏見によるものである。もっと優れてしかも分かり易いスパコンの性能表示があればそれに越したことはない。
スパコンの規模による呼び方の定義のことはさておくとして、しばらくエキスコンの話題を進める。
筆者は脳波の時間周波数解析に興味を抱いている。いま脳波についてはほとんど顧みられていない。理由はわかるような気がするが、見捨てられて顧みられない分野の方が実り多いこともある。脳波解析を時間周波数解析によって行う手法によるプログラムを開発し、これまで知られていたことと反する現象も観測している。従来はアルファ波が消滅し、ベータ波が発生するといわれていた。このことをアルファ波ブロッキングと呼ぶようであるが、時間周波数分析を行ってみるとアルファ波とベータ波が同時に発生する現象も観測できる。これまでは、周波数分析の能力が限定的だったことによると解釈している。しかしながら、アルファ波とベータ波が同時に発生する現象から何がわかるか説明できないから、いまだ検討途上である。
そのアルゴリズムの基本となっているのは高速フーリェ変換である。高速フーリェ変換は、20世紀後半に多くの技術的革新をもたらした。MRIという医療診断機器がある。この機器には欠かすことのできないデータ処理技法として高速フーリェ変換が用いられている。MRIでは、一次元での高速フーリェ変換処理のために別の次元での物理的なスキャン操作を行っている。一次元の高速フーリェ変換を行うプロセッサは、開発されているといわれ、いますでに現存するかも知れない。あるとすれば、高速フーリェ変換専用のSIMDプロセッサである。その専用高速フーリェ変換プロセッサによってMRIの解析処理速度が格段に高速化できる。
いま仮に2次元配列のセンサーがあり、2次元の高速フーリェ変換ができれば、さらに高速処理が可能となる。もしある次元のスキャンが必要でなければMRIの構造も変更できるであろう。
脳波の周波数成分は低く、100ヘルツ以下の周波数成分解析で今のところ充分である。このように低い周波数であっても時間周波数解析を2次元の高速フーリェ変換で行うとすると実時間解析はできないのが現状である。スパコンを使えばできるかも知れないが、とても手が届かない。
先般、NHKの地震予知に関連した番組で、地震の巣の位置を突き止める内容が紹介されていた。二重積分記号が映し出されていたので振動現象を基にして地震の巣を求めるため、二次元高速フーリェ変換を行うのではないかと想像した。もしこの推測が正しければ、ここでも二次元高速フーリェ変換のSIMDが活用できる筈である。
二次元高速フーリェ変換は、トンボの目玉のような複眼処理と見なしうることから、まだまだ応用分野は広い。
二次元高速フーリェ変換のSIMDは、スパコンかエキスコンか。処理能力から計算するとエキサコンに分類されるかもしれない。その能力を持つ特殊目的の二次元高速フーリェ変換SIMDプロセッサは必要とされ、それ故に実現されることを期待したい。
今のところスーパーコンピュータの評価を行うサイト、TOP500にはそのようなスパコンは見あたらない。
(納)
スパコンの規模による呼び方の定義のことはさておくとして、しばらくエキスコンの話題を進める。
筆者は脳波の時間周波数解析に興味を抱いている。いま脳波についてはほとんど顧みられていない。理由はわかるような気がするが、見捨てられて顧みられない分野の方が実り多いこともある。脳波解析を時間周波数解析によって行う手法によるプログラムを開発し、これまで知られていたことと反する現象も観測している。従来はアルファ波が消滅し、ベータ波が発生するといわれていた。このことをアルファ波ブロッキングと呼ぶようであるが、時間周波数分析を行ってみるとアルファ波とベータ波が同時に発生する現象も観測できる。これまでは、周波数分析の能力が限定的だったことによると解釈している。しかしながら、アルファ波とベータ波が同時に発生する現象から何がわかるか説明できないから、いまだ検討途上である。
そのアルゴリズムの基本となっているのは高速フーリェ変換である。高速フーリェ変換は、20世紀後半に多くの技術的革新をもたらした。MRIという医療診断機器がある。この機器には欠かすことのできないデータ処理技法として高速フーリェ変換が用いられている。MRIでは、一次元での高速フーリェ変換処理のために別の次元での物理的なスキャン操作を行っている。一次元の高速フーリェ変換を行うプロセッサは、開発されているといわれ、いますでに現存するかも知れない。あるとすれば、高速フーリェ変換専用のSIMDプロセッサである。その専用高速フーリェ変換プロセッサによってMRIの解析処理速度が格段に高速化できる。
いま仮に2次元配列のセンサーがあり、2次元の高速フーリェ変換ができれば、さらに高速処理が可能となる。もしある次元のスキャンが必要でなければMRIの構造も変更できるであろう。
脳波の周波数成分は低く、100ヘルツ以下の周波数成分解析で今のところ充分である。このように低い周波数であっても時間周波数解析を2次元の高速フーリェ変換で行うとすると実時間解析はできないのが現状である。スパコンを使えばできるかも知れないが、とても手が届かない。
先般、NHKの地震予知に関連した番組で、地震の巣の位置を突き止める内容が紹介されていた。二重積分記号が映し出されていたので振動現象を基にして地震の巣を求めるため、二次元高速フーリェ変換を行うのではないかと想像した。もしこの推測が正しければ、ここでも二次元高速フーリェ変換のSIMDが活用できる筈である。
二次元高速フーリェ変換は、トンボの目玉のような複眼処理と見なしうることから、まだまだ応用分野は広い。
二次元高速フーリェ変換のSIMDは、スパコンかエキスコンか。処理能力から計算するとエキサコンに分類されるかもしれない。その能力を持つ特殊目的の二次元高速フーリェ変換SIMDプロセッサは必要とされ、それ故に実現されることを期待したい。
今のところスーパーコンピュータの評価を行うサイト、TOP500にはそのようなスパコンは見あたらない。
(納)