炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

植物と動物の違い  -炉端老人のおはなし-

2012-07-30 10:11:55 | Weblog
 やあ、今年の夏も暑いなぁ、その中にあってよくきてくれたね。
中学生の子どもさんも一緒か。
おっ、家庭菜園のミニトマトの手みやげかい。ほう、皮が固いとか、頭のところに皮の厚さ程度の十字に包丁をいれ、熱湯に二十数える程度の間浸すと、するりと剥けるというの。それから冷やすとおいしいと。
 おーい、ばあさん、料理をよろしくたのむよ。

 なに、夏休みになって、理科の課題か。ナニナニ「植物と動物とどのように違うか」っていうの。
 ウーン、植物も動物も細胞からできている。本質的に違っていることは何か、というわけだね。ちょっとまてよ、理科年表を見てみよう。中学生には難しいかも知れないが、これは参考になる。わからないところは、どんどん聞いてみることだ。
その「細胞・組織・器官」に植物と動物の細胞を対比した細胞の微細構造の図がある。これを見ると、大きな差は、植物の細胞は固くて丈夫な細胞壁であるのに対して動物の細胞は柔らかくて薄い細胞膜になっている。この図を見ると他の大部分は同じだが、細かいところは違いがある。
 中学生の程度ではわからないこともあるかも知れないが、さらに調べてみるといい。

 この老人は、神経細胞のことを調べているよ。神経細胞には電気的な作用がかかわる。神経伝達物質というものがあり、塩素、カリュウム、カルシュウム、などの金属物質が関わって電気的な性質が変化することで神経細胞に刺激が伝わる。なんと神経細胞の中を電気パルスが伝わる。足とか手を動かす筋肉細胞にも神経細胞の中をつたわる電気パルスを元にした刺激が伝わり手足が動くというわけだ。この電気パルスの伝わる早さは、神経細胞によって差があるが秒速数メートルといわれている。
 この神経細胞の中に刺激が加わることで電気信号に変換され、その電気パルスが神経細胞の中を伝わる様子、さらには神経細胞の端にあるシナップスなどから筋肉細胞にどのように作用するか、中学生の範囲でいいから調べてみてはどうかい。

 そこでだ、この老人が言いたいことがある。「動物には神経細胞があり、その中を電気パルスが伝わるようになった」ことが植物とは決定的に違う界をもたらしたと。こんなことは、書物には書かれていない。調べた範囲なので、書かれているかもしれないがね。もしあったら教えてほしい。
 クラゲも調べてみると神経細胞があり、刺激を与えると神経細胞の網目によってクラゲ全体につたわって泳ぐ様子を変えるという。クラゲには、神経細胞の指令をだす中心となる脳はないが、よくできたものだ。
 ついでだが、植物でも動物でもない生物がある。
菌類がそうだ。
 理科年表には、発生過程を含めてこの様子を表した生物の系統の図があるから、参考にするといい。

 ミニトマトの料理ができあがったか。ありがとうよ、ばあさん。
塩をまぶしてあっさりといただくことにしようか。塩は岩塩がいい。今頃の海水から採取する自然塩は、人工的な化学物質が含まれているかも知れない。岩塩は人類が発生した頃にさかのぼる時代の塩であれば、神経細胞に作用するミネラル等が、ほどよく含まれているというのが、この老人の持説なのだ。
(脳)



外国旅行でのチップの話題

2012-07-22 08:48:36 | Weblog
 我が国には、チップの習慣がない。そのために外国旅行をするときには、チップのことが気がかりになる。外国では、給料だけでは生活できないため、チップが必要な労働者は多い。
 日本人のチップの渡し方は、不器用であり、失敗も多い。

 エジプトはカイロ空港でのことであった。
ここでは手荷物の検査のために、重い手荷物をベルト・コンベアの上に自分で載せなければならない。エイヤッとばかりにコンベアの上に持参の荷物を乗せた後、同行者の荷物を載せようとしたときである。ある巨体の若いエジプト人が私に目配せをする。と、その合間に大きな荷物をドサッと割り込ませた。驚いて見ていると側にいた別の金品卑しからぬ紳士がそれとなくさっとチップを渡す。このような、いかにも美的に映る所作に、自らの荷物をコンベアに載せることを忘れて見入ったものである。巨体のエジプト人は、私に御礼ともつかない一瞥を流して去った。見事なチップが効用をもたらす、ア・ウンの所作であった。

 ある知人はイタリアのフィレンツェ駅での話しをした。
列車から、荷物を下ろそうとしたら、少しばかりウサン臭く見える男が手を貸してくれたという。他の乗客の様子を見ると1ユーロばかりのチップを渡していたことから、この手伝った男に1ユーロをチップとしてやったところ、出口まで運んでやるという。
 荷物を持ち逃げするようには思えないので、まあいいかなと運んでもらうことにして歩き出してしばらく行くと、電動車に乗ったイカツイ警官が近づいてきて、この駅では手荷物を他人に運搬させることは禁止していると叱りつけるように厳しく告げる。知人は、わかったから、自分で運ぶと警官に返答したそうである。その間、どこかに雲がくれしていた、くだんの男は警官が去るのを見届けたように、再び近づいてきて荷物運搬をしてくれたそうである。
 タクシー乗り場にまで辿り着いたら、5ユーロ請求されたので致し方なく渡したという。つい最近の出来事であったそうである。

 今年2012年1月、米国のマイアミ空港での経験である。
マイアミ空港のカートは借料が5ドルかかる。高価な借料とは思いながら、自動カート保管装置に5ドルを支払い、借り受けて手荷物を搭載運搬し、空港近くのホテルにチェックインした。ホテルの入り口の側にカートが沢山置いてある。「なーんだ、ここで借りればタダではないか」と思った。その先入観が災いのもとであった。
 明くる朝、ホテルをチェック・アウトして、カートを借りようとしたが、昨夜多くあった場所には何もない。困っているとベル・ボーイがきて私がカートを持ってきてあげようと親切にいってくれた。よろしくと頼んだ。カートをとどけてくれたので、チップのつもりで1ドル渡そうとしたところ、5ドルかかったという。手元には、あいにく10ドル札しかない。これを渡してツリをもらおうとしたが、彼は釣り銭がないと告げる。致し方なく10ドルを渡す羽目になった。
 タクシー乗り場まで行って、カートを返却しようとしたが、返却場所がわからない。うろうろしていると、その辺に置いとけと側にいた男がいう。そのようにせざるを得なかった。
 後になってから、よくよく考えてみると、カートの借用料を5ドルに設定しておけば、空港としてはカートを片付けるための人件費は節約できる。置き放しになるようなカートは空港のどこにも存在しなくなり、放置カートを必要とする客に公定価格で手渡す者がいて、その者の結構な収入源となるからである。
 マイアミ空港、日本では考えられないような空港の環境条件である。

外国旅行するときには、チップのための少額な現金を常時持参しておかなければならないという教訓を得たものである。
(応)

思慮深い先人

2012-07-20 18:40:08 | Weblog
 昔作ったダムには土砂がたまるのを防ぐために水を逃す側路がきちんと用意されていた。また、初期の水車発電機には、関西と関東両方面に電力を供給できるように、周波数を60ヘルツと50ヘルツに切り替えられるようになっていたという。いろいろ注意深く思慮をめぐらせたこのような先人の知恵には頭が下る。
 このごろは、差別化(この言葉は蔑視のニュアンスがもともと込められていて、私は嫌いだ)と称して、既存のものに新しいアイディヤをあれこれ付け加え、新規性を競い合っている。また、集積技術の進歩によってブロック化した機能部品が容易に手に入るから、それらを組み合わせて手軽に物を作る。しかし、ニューアイディヤなるものも思い付きに近く、先人のように深い思慮をめぐらせることに欠けているからか、使っていると難点が露呈することがよくある。
 物を作れば便利な反面、困ること(作ったものが壊れたときの混乱)が出てくるかもしれないという用心深さ(これは謙虚さに通じる)が先人にはあったような気がする。今、古を振り返ることの意義が言われている。これから日本は、好むと好まざるとにかかわらず、テクノロジー社会の道を進まざるを得ない。テクノロジーの開発に際して、表面的な目新しさだけではなく、先人の思慮深さを学びたいものだ。(青)

中国に進出した日本のソフトウェア企業での話題

2012-07-09 19:01:47 | Weblog
 つい最近、東京品川に本社があるIT企業を訪れた。
ある担当者の話しである。中国の上海にも企業進出しているという。
 ソフトウェア産業が急成長している中国なので、日本国内から依頼されたソフトウェア開発を人件費削減のために、中国に進出して生産していると想像し、そのように問いかけると、担当者は即座に「それは違いましてね」ときりだした。
「中国の上海には、多くの日本企業が進出しています。それらの日本企業は、中国にソフトウェアの開発を依頼できないというのです。中国のソフトウェアはどうしても品質がよくない。そこで優れた品質を誇る弊社にソフトウェア開発の依頼が、中国に進出した日本企業からあります。顧客は上海所在の日本企業です」という。
 どうして中国のソフトウェア開発の品質がよくないのかと聞くと「中国で開発されたソフトウェアは、仕様書通りに動けばいいとするのです。ところが仕様書にすべての要求事項を記述することはできません。仕様書には行間に隠されてしまっている事項が沢山あります。そのことを推量しながら、顧客の立場に沿って心のこもったソフトウェアの製品を提供しなければなりません。ソフトウェア製品は単にバグがないというだけではいけないのです」と説明する。「今の中国のソフトウェア開発技術には、このことが期待できませんから、日本企業の開発依頼があるのです」と。

 言語の相違による仕様書解釈の齟齬が問題を起こす背景とは限らない。
 筆者が1980年代に中国を訪れたとき、文化大革命で孔子廟はことごとく破壊され、廟の痕跡のみを目のあたりにした。文化大革命と共に儒教の思想も断絶させてしまったのである。
孔子は紀元前550年頃の生誕とされている。釈迦の生誕が紀元前460年頃と言われているから、孔子の思想は、釈迦の説いた仏教よりも古い歴史を持つ。
 人のあるべき姿は高い道徳にあると説いた孔子の思想、ソフトウェアも人が関わって作成することから心のこもった品質として込められて――その品質は必ずしも量的には明らかにはされないとしても――ハイテク世代に貢献をもたらす。
 あらためて筆者は、心のこもるソフトウェア開発のあるべき姿を教えられた。

 グーグルの攻撃的なソフトウェア、その宣伝文句に誘われて組み込んだところ、これまでのブラウザがグーグルに占領されてしまった。ブラウザ環境が急変して憤激をおぼえた後だけに、これを癒す薬効をもたらしたものである。
 IT世界の独占を目指すグーグルは、アメリカの開拓者精神がみなぎったソフトウェアを創出し、制覇をかけている。
(納)