炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

超電導体内の電流について

2015-04-09 15:32:52 | Weblog
 鉄道総合研究所を見学したおりに、超伝導コイルの説明があった。次世代の東京と名古屋を結ぶリニア新幹線では超伝導コイルによる電磁石で列車を浮上させて、リニア・モーターで駆動するシステムに用いられる。
 この超伝導コイルに電流を流し込み、その電流をコイルの中に閉じこめて強力な磁力場を発生させるという。古典的な電磁気学のオームの法則によると電流は抵抗に電圧をかけて流さなければならない。超伝導では抵抗はゼロである。従って電位差はない。
 電位差がないところに、どうして電流が流れるのか。
 超伝導体ではオームの法則は成立しないと言われればそれまでだが、それでは超伝導コイルの中にどのように電流を注入するのだろうか。
 見学に同席されていた当麻善弘東京工大名誉教授は、鋭くこのことを質問された。この疑問に対する解答は、超伝導コイルの一部に超伝導でない部分をスイッチとして入れておき、その端から電流を流し込み、スイッチの別の端から電流を取り出す。このスイッチの両端に電位差があれば、オームの法則を当てはめなくとも超伝導コイルに電流が流れ込むことは理解できる。適当な電流が流れ込んだ頃に、ドーナツ状のコイルの一部のスイッチを超伝導にすると連続的に電流が超伝導コイルに流れ続けるという。
 読者は納得されるであろうか。
 筆者には、疑問が残る。
 なぜ電位差がないにもかかわらず、超伝導コイルの中に電流が流れ続けるのか。
 オームの法則が超伝導体については成立しない、という理由づけでは納得できない。筆者自信を納得させるためには、電流に慣性が生じていると解釈すれば、そうか、とうなずける。電流に慣性を考えなければ理解に苦しむ。

 さてまだ別の疑問が残る。
 リニア新幹線にこの超伝導コイルを積載して浮上走行させたとしよう。当然ながら列車は上下動するから磁界も変動する。磁界が変動すればファラデーの法則により電導物体に電流が生じる。電車の車体にも渦電流が発生するであろう。その渦電流は伝導体の中で熱エネルギーとなって消費されるから、超伝導コイルの中の電流は、消耗することになる。それであれば超伝導コイルに電流を注入しなければならない。
 これまたどのように解決しているのだろうか。
 これは杞憂にすぎず、「永久磁石であれば消耗するエネルギーはありません。それと同じです」という簡単な答えが返ってくるかも知れない。

 真実はどうなのか、解ればお教え頂きたいところである。
(応)